日本には世界に負けない実力がある"esports"の可能性 ~esports専門会社 ウェルプレイド株式会社 代表取締役社長 谷田優也氏に聞く~(前編)

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テレビや新聞で、まだあまり取り上げられることが少ないためか、まだまだ、お茶の間には浸透していないが、多くの愛好家が集い、巨大マーケットが形成される業界がある。プロゲーマーたちがゲームの画面上でぶつかり合い、その技術の高さに賞賛を送るファンが集まる世界。これをスポーツと捉えて「esports」と呼び、さまざまな業界を巻き込みながら、世界で1億人以上が熱狂する一大産業にまで成長している。日本では今、esportsはどのような状況にあり、今後どのような可能性を秘めているのだろうか。esportsの大会運営からプロプレーヤーの育成・マネジメントなどを手がけるウェルプレイド株式会社の代表取締役社長である谷田優也氏に話を聞いた。

例えるならば、esportsは陸上競技だ

PickUp編集部:
ゲームで戦う競技が"esports"ということですが、スポーツでいうと、どんなジャンルになるのでしょうか?
谷田社長:
みなさんがご存知のスポーツ競技に置き換えて考えると分かりやすいかもしれませんね。たとえば、陸上には100m走があればマラソンもあり、ハンマー投げ、110mハードル走、砲丸投げ、やり投げなど、いろんな種目があります。ゲームにも『ストリートファイター』シリーズや『リーグ・オブ・レジェンド』など多岐にわたるタイトルがあります。『ストリートファイター』シリーズのように、昔も、今も、これからも、ずっと人気があって観戦者が多い、いわばマラソンのようなタイトルもあれば、コアなファンがついている種目にあたるようなタイトルや、何かがきっかけで急に人気が出るタイトルもあります。いろんな種目が、それぞれ盛り上がったり、衰退したりしていきながら、「陸上ってやっぱり面白いよね」っていう楽しみ方をしている世界が、"esports"と考えていただけたらいいのではないでしょうか。競技を見て楽しむ人もいるし、競技を見て、「プロを目指したい」という人もいる。同時に、支える側に回りたい人もいるわけです。
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ウェルプレイド代表取締役社長 谷田優也氏

 

PickUp編集部:
『ストリートファイター』シリーズのブームは1990年代でしたが、今でも人気なんですね。
谷田社長:
『ストリートファイター』はesportsの中の"ど真ん中"です。今、日本人で最もプロゲーマーが多いゲームです。毎年ラスベガスで8月に「EVO(Evolution Championship Series)」という世界最大級の格闘ゲーム大会が行われます。2015年には、その同時視聴者数150万人のうち、全体の10%にあたる15万人が日本の視聴者で、世界で2番目の人数でした。

世界的に盛り上がるesports

PickUp編集部:
esportsの盛り上がりを実感するときはありますか?
谷田社長:
弊社『ウェルプレイド』は、esports専門の会社です。現在は、esportsの関連事業が中心です。2015年11月にウェルプレイドを設立してから、現在では社員は30人を超えています。そのことが、一番の証明ではないでしょうか。いろんなゲームメーカーさんと一緒に大会を企画・運営・主催などさせていただいていますが、たとえば4~5カ月かけて予選を実施する規模の大会になると、参加申し込み数が4万人にもなるんです。競技に熱中する4万人が、それぞれ「トップをとりたい」という思いで参加する。僕は日々、肌で盛り上がりを実感しています。

最近では、大会の様子をインターネットで生放送する事例が増えています。5年前は生放送の同時視聴者数が数千人規模でしたが、去年や今年は、注目度が上がったタイトルでは、3万人から5万人が同時視聴しています。トップクラスのゲームでは、8万人〜9万人が見ることもあります。また、国外に目を向けると、『リーグ・オブ・レジェンド』というゲームは、世界中で約9900万人のユニーク視聴者数を記録したそうです。このような参加者数、視聴者数で競技が成立している状態を見るにつけ、盛り上がりを感じますね。

僕たちがesports専門会社を起業したわけ

PickUp編集部:
そうした盛り上がりを感じて起業されたと。
谷田社長:
前述した2015年の『EVO』という大会の熱を、私は日本にいながら感じていました。だからその年に、現在の共同代表(COO髙尾恭平氏)と、この会社を設立しました。 彼とは9年ぐらい前に、渋谷のゲームセンターで『ストリートファイター』で対戦したのをきっかけに知り合った仲なんです。(笑)「ゲームをオリンピックの種目にしたい。そうなったときに、自分たちがその業界にいないのは考えられないよね」という話を、当時からしていました。2015年当時は、専業の会社も存在しておらず、「数年後に盛り上がったときに、みんなが働きたいと思えるesportsの会社をやろう」と起業しました。
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ウェルプレイドで働く社員たち。オフィスには自由な雰囲気が広がる

日本は世界に負けない実力がある

PickUp編集部:
日本でのesportsの認知度はどの程度なのでしょうか。
谷田社長:
日本では、家庭用ゲーム機やゲームセンターで遊ぶという文化はありましたが、esports競技人口が多い、PCゲームについては、例えば韓国では、ネット回線が普及する25年以上前から、家庭用ゲーム機ではなく、PC ゲームで遊ぶ文化があったので、PC ゲームが上手な人は賞賛される対象で、昨年実施された「大人になったらなりたい職業アンケート」ではesportsプロプレーヤーが上位に入っていました。英会話のテレビ CM でもeプロプレーヤーを起用するぐらいです。ただ、ゲームで対戦して、勝った、負けた、悔しい、嬉しいという体験は日本人にもありますし、実際『ストリートファイター』では、世界で一番強いプレーヤーは日本人なんです。
PickUp編集部:
景品表示法とか、賭博法とか、風営法が障害となり、以前は少額の賞金しか出せなかったそうですね。
谷田社長:
アメリカで行われる世界大会は、賞金が50億円に上るものもあります。ご指摘の通り、日本では、まねができませんでしたが、2018年に「日本eスポーツ連合」が、この問題を整理しました。そのおかげでメーカーはライセンスホルダーに対して、自由に賞金が出せるようになりました。そんなことから、2018年は「esports元年」と呼ばれています。
PickUp編集部:
ここ数年、モバイル端末で行うゲームが爆発的に普及して、誰もがゲームに触れられる環境に変化してきました。
谷田社長:
日本国内のゲーム市場で、最大規模となっているのがモバイル端末です。 日本はモバイルゲームの売り上げが世界一なんです。スマホ所有者があふれる中で、その人たち全員が、モバイルゲームを楽しめる状況にあるということです。

大きく変化するマーケティング戦略

PickUp編集部:
ゲームを取り巻く環境が変化したことで、マーケティング戦略も変化してきたのでしょうか?
谷田社長:
今、最もマーケターの頭を悩ませているのは、いかにユーザーの可処分時間を、自分のプロダクトに使ってもらうかなんです。YouTube、Hulu、Netflix、Amazon Prime Video、さらに録画したテレビのバラエティやアニメ番組など、動画だけでも良質なコンテンツが大量にあります。Kindleは読み放題、Apple Music も聴き放題の中で、私たちは、自分の時間を何に使うかという選択を、めちゃくちゃ迫られているのです。
PickUp編集部:
どうやってその"壁"を突破するんですか?
谷田社長:
ちょっと前まで、テレビCM を見たことある人、たくさんいたと思うんです。 ところが、現在はテレビCMだけ打っていればいいという世界ではなくなりました。だから、ゲーム会社も求めることが変化してきました。初動1000万ダウンロードしてもらって、それっきりになることよりも、さまざまな方法を駆使して10〜30万人にダウンロードしてもらい、一日でも多く、一回でも多く、遊び続けてもらえることのほうが、ゲームのマーケターにとって重要になったんです。これまでゲームを遊び続けた理由は、ただ面白かったからなんです。ゲームのパッケージを8000円で購入したら、その分だけはすべて遊びきっちゃおうと。エンディングにたどり着いて、「ああ、楽しかった」って言って、ゲームは終わっていました。
PickUp編集部:
現在はどのゲームもほとんど無料ですね。
谷田社長:
動画サービスもほぼ無料ですから、「このゲームに時間を費やしていいのか」という問いに迫られているんです。それに、今どき"面白くないゲーム"って、なかなかないんですよ。そんな中で、遊ぶゲームをどれにするのか、さらに、ずっと遊び続けてもらうためにはどうするのか、実はゲームの面白さ以外のものが、求められているんです。
PickUp編集部:
一体それは何ですか?
谷田社長:
その答えが"esports"です。「このゲームを遊んでいたらいつかプロになれるかも」とか、「賞金がもらえる可能性がある」とか、「全国大会で有名になれる可能性が3カ月に一度ある」とか、ユーザーのみなさんに思ってもらうことです。これがゲーム以外の面白さです。ユーザーは、この"仕掛け"を求めています。だからこそ、国内の名だたるゲームメーカーが、2018年に"esports"に関わる部署を作ったんです。「ゲームにチャレンジし続けてもらうためのマーケティングとして、"esports"っていうコンテンツを考えないといけないね」って、ゲームメーカーが本気で考え始めたということが、日本でesportsが流行りだした大きな理由だと思っています。


(後編に続く)

PickUp編集部

インターネットの登場で、個人が楽しむために使ってきた時間の使い道を大きく変化させました。ソーシャルゲームと呼ばれるSNS上で提供されるオンラインゲームが、爆発的に広がったことは、すでに多くの人たちの共通認識でしょう。しかし、ネット上で競合するビデオやゲームコンテンツとの差別化を図り、一般消費者に同じゲームを選択させ続けるために、 早くも"esports"というカテゴリーが登場した事実は、ソーシャルゲームという市場が、まだまだ今後も大きく成長することを示唆しているのではないでしょうか。後編では"esports"プレーヤーという存在やesportsの将来について、谷田社長に伺います。

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代表取締役社長 谷田優也氏
ソーシャルゲームのプロデューサーを経て、渋谷のゲームセンターで『ストリートファイターIV』をやりこみ、"ザンギエフ使いのアカホシ"として名が知られているときに出会った髙尾恭平とともに、2015年11月にウェルプレイドを設立。「ゲームが上手い人、上手くなろうと頑張っている人が世間で高く評価される時代にしたい」という思いから、日本初のesports専門会社としてesportsに関する企画、プロデュース、運営、コンサルティング、配信などを行う。

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ウェルプレイド株式会社
URL:https://wellplayed.jp/
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷 3-13-7 原宿OMビル2F
設立:2015年11月19日
代表取締役:谷田優也 髙尾恭平
事業内容:esportsに関する企画、プロデュース、運営、コンサルティング、配信など

 

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