【ファイナンス】確定申告で賢く税金対策 ~株式投資やFX 取引の確定申告について~

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急速に進む少子高齢化などの影響で、年金だけで老後生活を維持するのは、かなり難しいと考えられています。
そのため自助による資産形成が欠かせないと考えられるようになりました。
その手段のひとつは、FX取引や株式投資といった「金融商品の売買」による資産運用を始めようと、証券会社などの金融機関で取引口座を開設する人が増えているそうです。
そこで今回は、FX取引と株式投資に関連する税金と確定申告について考えてみましょう。

サラリーマンと資産運用

金融商品の売買による資産運用には、種々のリスクが伴います。
ただ、いわゆる労働からの収入とは違って、肉体への負担が少なく、自分自身のタイミングで行えるという特徴があります。
時間に追われながら、毎日の仕事をこなさなければならないサラリーマンにとって、これは魅力的な特徴だと思います。

当然のことですが、資産運用で利益が出れば、納税の義務も発生します。
給与収入のみのサラリーマンなら、税金関係は年末調整で完結しますが、株式投資やFXで利益を獲得したり、不動産投資で家賃収入を得たりした場合は、自分自身で年間の収入額を明らかにし、支払うべき税金を申告する「確定申告」が必要になります。
また、確定申告を行うことで、納め過ぎた税金の還付を受けられることもあります。

そもそも確定申告とは?

通常、何らかの所得を得ている人は、所得税や住民税などの納付税額を確定するために、1月1日から12月31日までの1年間の収入について、収入と税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの期間に、管轄する税務署に確定申告書を提出する必要があります。
これが「確定申告」です。

そして、おもな収入が給与や退職金の場合、税務処理の負担軽減のために、勤務先の企業が社員の収入と税額を、本人の代わりに計算し、納税を代行します。
この制度が「年末調整」です。

年末調整では、まず、1月から12月までの給与と賞与の合計から、給与所得控除額を引いて、給与所得控除後の金額を算出します。
給与所得控除後の金額から所得控除額を引いて、給与所得金額を算出します。
そして、給与所得金額から所得税の年税額を求めます。
この年税額が最終的な所得税額です。
この年税額と毎月納税していた源泉徴収税額を比較して、年税額が少なければ、払い過ぎていた所得税を還付し、年税額が多ければ、不足していた納税額分の所得税を追加で支払うことになります。

なお、給与や退職金以外の所得が20万円を超える場合や、2カ所以上から給与を得ている場合は、年末調整が行えず、確定申告が必要になります。
また、個人事業主のように年末調整制度がない人は、金額にかかわらず、確定申告が必要です。
確定申告は、税務署の窓口で行う以外に、郵送や電子申告も行えるようになっており、平日に時間の取れないサラリーマンの負担も少なくなるように配慮されています。

確定申告で利用できる制度

株式投資の税制(証券税制)では、確定申告をすることで、いくつかの節税効果が得られます。

1.損益通算

本来、投資による利益(譲渡益)には、20.315%の税金(所得税など)がかかります。
例えば、複数の証券会社で投資を行っている場合、ある証券会社の口座では利益が出ていて、別の証券会社の口座で損失が出ていれば、確定申告を行うことによって、その利益と損失を相殺することができます。
これを「損益通算」といいます。

2.譲渡損失の繰越控除

上述の損益通算を行い、それでも損失が出た分については、確定申告によって、最大3年間、損失の繰越が行えます。
例えば、ある年に株式投資で300万円の譲渡損失を出してしまい、その翌年に100万円、翌々年に250万円の譲渡益が出たとします。
毎年、確定申告をしていれば、翌年度は、譲渡益の全額を控除することができ、翌々年も繰り越した譲渡損失(300-100=200万円)分を控除した50万円の譲渡益にのみ課税されることになります。

3.配当控除

株式投資を行うと、企業活動の純利益の一部を配当金として受け取れる場合があります。
この配当金の確定申告においては、「総合課税」または「申告分離課税」のいずれかの方法を選択します。

総合課税とは、配当金を他の所得(給与所得など)に組み込んで申告する方法、一方の申告分離課税とは、配当金を他の所得と分けて申告する方法です。

配当金による収入を総合課税で申告した場合、「配当控除」が適用されます。
これは配当所得金額に応じて、所得税と住民税の控除を受けられる制度です。
控除率は課税総所得金額によって異なり、所得税は配当所得の10%または5%、住民税は配当所得の2.8%または1.4%が控除されます。

ただし、申告分離課税を選択すると配当金と他の損失との損益通算(上述)が可能になります。
総合課税を選ぶべきなのか、それとも、申告分離課税を選ぶべきなのかは、総合的に判断する必要があります。

FXの税制

ちなみに、FX取引では、申告分離課税(雑所得)が適用されて、利益に対する税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%)および住民税5%です。
また、取引業者を問わず、FX取引(店頭、取引所)、CFD取引での損益通算が可能です。
なお、株式取引などの所得とは損益通算ができません。
損失が発生した場合は、取引所先物取引なども含めて損益通算を行い、さらに損失がある場合は、翌年以降の3年間、取引で発生した利益から、過年度の損失額を控除することができます。
ただし、損失を計上した年から、継続して確定申告を行っている必要があります。

証券会社で口座を開くときの注意

証券会社などで株式投資用の口座を開設する際は、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3つから選択します。

このときに「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶと、年間の利益と損失を合算した最終的な利益に対して20.315%の税金が自動的に源泉徴収されるので、確定申告の手間が省けます。
初心者には便利ですが、上述した損益通算や配当控除などの節税が行えないのでご注意ください。

また、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」の場合は、自分で確定申告を行います。
なお、FX口座には特定口座の制度はありません。
基本的に自分自身で確定申告を行い、納税することになります。

さて、今回はFX投資や株式投資で得た収益の確定申告と節税対策についてご説明しました。
もちろん、支払うべき税金は、しっかりと納めるのがルールです。
しかし、支払う必要のない税金まで納めていては、損をしてしまいます。
こうした制度を正しく活用し、適正な納税を行うことで、資産運用の効率を高めましょう。
給与収入、株式投資の収入やFX取引の収入は、すべて税金の算出方法が異なります。
確定申告は慣れるまでは大変かもしれませんが、確定申告でしか得られないメリットもあります。
なお、税率や納税のルールなどは、頻繁に変更される性質のもので、最新の税率やルールについては、お近くの税務署や税理士などの税務の専門家にご確認、ご相談することをお勧めします。
「税金は難しいから」と言わずに、ぜひ、正しい知識を身につけ、自分自身でも頑張れるようにしてください。


PickUp編集部

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