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「10月はドル上昇の季節性」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2019年10月

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ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 9月の推移

 9月のドル/円相場は105.739~108.475円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.7%上昇(ドル高・円安)。米中の対立激化を受けて市場心理が悲観に傾いた8月の反動が出た。
米中が7月以来の閣僚級通商協議の10月開催に合意した事をきっかけに上昇すると、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げを決めた18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後もドル高・円安基調が継続し、108.475円の高値を付けて8月1日以来の高値を更新した。
その後は日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られた事などもあって、一時調整局面に入ったが、106.90円台で下げ渋ると月末にかけて再び強含んだ。

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3日
米8月ISM製造業景況指数は49.1と、市場予想(51.3)に反して前月(51.2)から低下。景気拡大と縮小の分岐点とされる50.0を3年ぶりに割り込んだ。これを受けて米国株が急落し、米長期金利も急低下する中、ドル売り・円買いが優勢となった。

5日
米中は、10月前半にワシントンで閣僚級通商協議を開催する事に合意。また、米8月ADP全国雇用者数は19.5万人増と市場予想(14.8万人増)を上回る伸びとなった。米8月ISM非製造業景況指数も、56.4と市場予想(54.0)を上回り前回(53.7)から上昇。これらを受けてドル/円は終日買いが優勢の展開となった。

6日
米8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が13.0万人増(予想:16.0万人増、前回:15.9万人増)、失業率は3.7%(予想、前回ともに3.7%)、平均時給は前月比+0.4%、前年比+3.2%(予想:+0.3%、+3.0%、前回:+0.3%、+3.3%)。雇用者数の伸びが鈍化した事を受けてドル売りが優勢となった。ただ、その後はパウエルFRB議長の講演を受けてドルに買い戻しが入った。議長は「景気拡大の維持に向けて『適切に』行動する」として利下げに前向きな姿勢を示しつつも「米経済は非常に良好で、FRBは景気後退を予想してない」として楽観的な見方を示した。

12日
トランプ米大統領は10月1日に発動を予定している対中関税の引き上げを10月15日まで延期するとツイッターで発信。これを受けて米中対立懸念が和らぐと円売りが強まった。その後、米8月消費者物価指数が前年比+1.7%と予想(+1.8%)を下回った事で弱含む場面もあったが、下値は限られた。

18日
FOMCは予想通りにFFレートを1.75-2.00%に引き下げた。声明では米経済への前向きな評価が示された他、10人の投票メンバーのうち2人が政策金利据え置きを主張して反対票を投じた事も明らかになった。また、経済・金利見通しでは2019年から2020年にかけて追加利下げを見込んでいない事が示された。その後、パウエルFRB議長は定例会見で、今回の利下げについて「米景気見通しを支え、リスクへの保険になる」と説明。「景気が悪化すれば、追加の利下げも適切になりうる」としたものの「現時点ではそうした事を考えていない」とした。

19日
日銀は金融政策の現状維持を決定。声明で「海外経済の減速が続き(中略)、より注意が必要な情勢になりつつあると判断」「次回会合で経済・物価動向を改めて点検」として10月緩和に含みを持たせた。なお、黒田日銀総裁は会見で、「前回の会合時よりも追加緩和に前向き」としつつ、「追加緩和の場合でも、大きな変更が必要だとは思っていない」と述べた。

24日
米9月消費者信頼感指数が、125.1と市場予想(133.0)を下回るとドル売りが優勢となった。その後、米民主党のペロシ下院議長は、バイデン前副大統領(次期大統領選の民主党有力候補)の身辺調査に協力するようウクライナに圧力をかけた疑惑を巡り、トランプ米大統領の弾劾訴追に向けた審議の開始を正式表明すると米紙が報道した事でドル売りが加速した。

25日
トランプ米大統領はNYの国連本部で記者団に向けて「中国との合意は、あなた方が考えているよりも早く実現するかもしれない」と発言した事で円が売られた。なお、この日は日米首脳会談で日米貿易協定の締結に最終合意。日本は72億ドル相当の米国産農産物の関税を撤廃・削減する事が決まった。また、協定履行中は自動車・同部品への追加関税は発動されず、数量制限や輸出自主規制も科されない事になった。一方、為替条項については言及されなかった。

9月の各市場

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9月のドル/円ポジション動向

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10月の日・米注目イベント

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ドル/円 10月の見通し

10月のドル/円相場は、過去10年で月足陽線を8回記録しており、上昇傾向が見られる。第4四半期(10-12月期)のスタートとあって、年末に向けたドル需要などが意識されやすく、下半期入りで日本の機関投資家が対外投資を行いやすくなるとの思惑もある。
また、年末に向けていわゆる「クリスマスラリー」で米国株が上昇基調を強める傾向も見られる。

こうした中、今年も10月はドル高・円安の流れを見込むのが自然であり、8月高値の109.315円前後を超えられればチャート面の上昇余地も広がりそうだ。
仮に「10月のドル/円上昇アノマリー」が不発に終わるとすれば、阻害要因となり得るのは以下のケースであろう。
(1)10-11日にワシントンで行われる米中閣僚級通商協議が決裂する、(2)29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げ観測が高まる、(3)30-31日の日銀金融政策決定会合の追加緩和見送り観測が強まる、(4)31日の期限に向けて英国の合意なき欧州連合(EU)離脱(ハードブレグジット)の可能性が高まる。

いずれも、現時点ではメインシナリオには据え難い内容だが、10月相場のチェックポイントとして挙げておきたい。(神田)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 9月の推移

9月のユーロ/円相場は115.861~120.006円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.9%上昇(ユーロ高・円安)した。前月の軟調推移を引継ぎ3日には115.86円前後まで下落して2017年4月以来の安値を更新した。
しかし、米中閣僚級協議の再開が決まり(5日)市場心理が改善すると、ユーロ買い・円売りへと流れが反転。欧州中銀(ECB)がマイナス金利の深堀りと資産買い入れや長期資金供給オペの再開を組み合わせた包括緩和を発表したにもかかわらず、出尽くし感からユーロ高が継続し13日には1カ月半ぶりに120円台にワンタッチした。
ただ、欧州景気の弱さが意識されると、仏独PMIの悪化を受けて再び117円台へと反落。27日には四半期末を控えたポジション調整と思しき買いが入ったものの、戻りは限られた。

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4日
イタリアのマッタレッラ大統領はコンテ暫定首相を正式な首相として任命。新政権が5日にも発足する見通しとなった。極右「同盟」を抜きにした連立政権の樹立により、同国の政局不安はひとまず後退した。

5日
前日終盤に英下院議会が欧州連合(EU)離脱延期法案を賛成多数で可決した事を受けてポンドとともにユーロの上昇が継続。法案は、10月19日までに新たな離脱案が議会で承認されなければ、10月末から2020年1月末への離脱延期をEUに申請するよう、政府に義務づける内容。

9日
「ドイツ政府は、連邦予算には含まれない新たな債務を引き受ける独立した公共団体の設立を検討している」と報じられた事を受けて独長期金利の上昇とともにユーロ買いが強まった。報道によると、ドイツ政府は、厳格な財政ルールに抵触しない「影の予算」創設で、低迷する国内経済への投資を行うとの事。

12日
欧州中銀(ECB)は預金ファシリティ金利を-0.4%から-0.5%へ引き下げた他、11月から月間200億ユーロの債券買い入れを再開するとした。また、長期資金供給オペ(TLTRO3)の条件を緩和し、銀行の超過準備の一部についてマイナス金利を免除する金利階層化システムの導入を決めた。
市場予想を上回る規模の包括緩和の決定を受けて一時ユーロ売りが活発化したが、ドラギECB総裁の会見中に下げ止まると、その後は急速に切り返した。材料出尽くし感によるユーロ買い戻しに加え、ドラギ総裁がマイナス金利の副作用に言及した事などがユーロの切り返しに繋がったと見られる。

17日
独9月ZEW景況感調査(期待指数)は-22.5と、予想(-38.0)ほどには悪化せず、前回(-44.1)から改善した。

23日
仏9月製造業PMI・速報値が50.3と予想(51.2)を下回ったのに続き、独9月製造業PMI・速報値も41.4と予想(44.0)を下回った。なお、独9月サービス業PMI・速報値も低下したため、独9月総合PMIは49.1となり、約6年半ぶりに好・不況の分岐点である50.0を割り込んだ。これを受けてユーロ売りが活発化した。

24日
独9月IFO景況感指数は94.6と、予想(94.5)を僅かに上回り6カ月ぶりに前回(94.3)から上昇した。もっとも、内訳の期待指数は90.8と予想(92.0)を下回り、前回(91.3)から低下したためユーロ買いは続かなかった。米下院議長がトランプ米大統領のウクライナ圧力疑惑で弾劾調査を開始すると発表した事を受けてリスク回避の円買いが強まるとユーロ/円は反落した。

25日
12日のECB理事会で債券買い入れ再開に反対していたラウテンシュレーガーECB専務理事が任期を待たずに辞任すると表明。翌日にはECBスタッフに宛てた電子メールの内容が明らかとなり、任期を全うしないことを遺憾としつつも、「実に難しい決定だが、現状を踏まえると、退任は最善の行動」と説明した。

9月の各市場

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9月のユーロ/円ポジション動向

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10月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 10月の見通し

ユーロは域内の景気後退懸念が根強く弱含みの展開が続いており、9月30日には対ドルで2017年5月以来の1.08ドル台に沈んだ。中核国であるドイツの経済低迷や、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る不透明感に加え、ドルが強含みやすい季節性も考慮すると、当面はユーロが下値を探る展開になりやすいと考えられる。

10月のユーロ/円は、ドル/円の上昇に支えられる場面があっても上値は限られそうだ。テクニカル面でも、右肩下がりの13週移動平均線に抑え込まれる展開が続いており、執筆時点で118円台後半に位置する同線を明確に上抜けない限り反発局面入りの見方は強まりそうにない。仮に上抜けても、121円前後を通る26週移動平均線がさらに強力な上値抵抗として控えている。

ユーロ/円相場が最後に13週移動平均線を上抜けたのは5カ月以上前の4月だが、この時も26週移動平均線に上値を阻まれており、翌週には失速した。
なお、欧州中銀(ECB)のドラギ総裁は10月31日付けで退任する。後任は国際通貨基金(IMF)専務理事のラガルド氏。24日の理事会は前月の包括緩和の直後とあって政策変更は見込まれないが、ドラギ総裁の最後の花道となるだけに、理事会後の記者会見には注目が集まりそうだ。(神田)

 

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