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「合意なき離脱は想定済み ポンドは今後アウトパフォームか」(雨夜恒一郎氏 特別寄稿)ハードブレグジットに備えよ!英国EU離脱特集

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ユーロ/ポンド相場で現状を確認

英国のEU離脱の期限である10月末まであと1か月を切ったが、離脱の方法をめぐってジョンソン英首相と議会の合意はできておらず、合意なき離脱(ハードブレグジット)の可能性が高まっている。ハードブレグジットの場合の英国及びEUに対する経済的・社会的影響は計り知れず、そこから相場を予想することは極めて困難だ。そこで本稿では、「相場の息吹」(いわゆる「相場のことは相場に訊け」という考え方)に論点を絞って今後の相場動向を考察してみたい。

ポンド相場を分析する際に、ポンドドルやポンド円だけを見ていては判断を誤る。ポンドドルは米ドルの動きに左右されるし、ポンド円は円の影響(つまりリスクオン・リスクオフの要因)が大きすぎるからだ。ポンドの真の実力を測るには、同じ欧州通貨であるユーロとの対比である「ユーロポンド」を見る必要がある。

ユーロポンドは、ジョンソン首相が就任した今年7月下旬に騰勢(ポンド下落)を強め、8月12日には10年ぶりの高値(ポンド安値)となる0.9325を付けた。しかしその後はポンドが巻き返し、9月下旬には0.8790まで反落している。(図1)

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図1 ユーロポンド日足

 

次に、英国の国民投票の結果EU離脱が決まった2016年6月以降の動きを振り返ってみよう。ブレグジットをめぐる不透明感から、2016年10月には最初のピークである0.9270をつけている。2番目のピークは2017年10月の0.9306で、1番目よりやや高いもののほぼ同じ水準である。そして3番目のピークは今年8月の0.9325だが、これも1番目、2番目のピークとほぼ同じ水準だ。(図2)

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図2 ユーロポンド週足 

すでに織り込まれているハードブレグジット

つまり、ブレグジットをめぐる不透明感や不安感を背景としたポンド売りはすでに3年前に最初のピークに達し、その後3年間はおおむね横ばいだったのだ。そして高値圏でもみ合っているうちに、ブレグジットがもたらす弊害やリスクも織り込まれてきたと考えられる。だからこそハードブレグジットのリスクが最も高まった今年8月も、不安のピークを更新することはなかった。現在のユーロポンドの水準は、ジョンソン首相就任時よりポンド高水準である。

売り材料が出たにもかかわらず想定ほど下落しない。あるいは売り材料が出たにもかかわらず上昇する。「相場の息吹」の考え方によれば、これらは潜在的な買い手の存在を示唆しており、買いのシグナルである。今回の場合、売り材料はもちろんジョンソン首相の就任であり、想定された水準とは過去2回のピークのクリアなブレイクであった。

ポンド相場は少なくともハードブレグジットの短期的ショックを織り込んでいる。このまま10月31日に合意なき離脱を迎えたとしても、相場の反応は「悪材料出尽くしのポンド買い」となる可能性が高い。もちろんそれまでに合意が形成され「秩序ある離脱」となれば、ポジティブサプライズとなり、ポンドは急騰するはずだ。

テクニカルにも、ユーロポンドは0.93前後で3回ピークをつけ、トリプルトップの大天井を形成した。現在取りうる戦略は、0.8900でユーロポンドの売り(ストップロス0.8980)。そして0.8780割れと0.8470割れで追撃売りということになるだろう。

なおポンドドル、ポンド円に関しても、2016年秋の最初のボトムを下回らなかった(図3、図4)という点において、ポンドの底値感や買い妙味が出てきているのではないかと思う。

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図3 ポンドドル週足

 

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図4 ポンド円週足

 

<英国EU離脱特集>

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amaya_96_130.jpg 雨夜恒一郎 氏
為替アナリスト スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。