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「為替は需給だ」野村雅道氏 特別インタビュー <中編>

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前編で就職から為替の出会いまでをインタビューしましたが、この中編では、元プロトレーダーの野村雅道さんに、FXトレードに必要な需給の考え方を語っていただきました。

▼目次
1.為替は需給だ
2.為替を動かすほどの力は、ない 投機筋の実態は・・・
3.外為注文情報は使える
4.「激安15銭」で決意 個人投資家デビューのいきさつ

為替は需給だ

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野村雅道:
為替で需給が大事だという話をしたいんだけど。


PickUp編集部:
ぜひ伺いたいです。
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野村雅道:
前編で話した通り、東京銀行にいるっていうことは凄い有利だったわけよ。日本での為替取引シェアが、東京銀行はたぶん20~30パーセントあったんのだよ。つまり東京市場全体の20~30パーセントのシェア。あと、インターバンクの取引が10パーセント超えてたの。つまり、これくらいの規模で為替の注文が見られると、いま何で為替が動いてるのか、分かるわけ

言い換えると、国際収支の表が自分のディーリングルームにあるみたいで、誰が売って誰が買って、相場がこうなっているから、この後ドルが上がるなー、下がるなーとか、分かるんだ。

為替変動の期間も、一過性なのか、継続するのかというのが、需給を見ると分かるんだなっていうことに気づいたんだ。

PickUp編集部:
為替取引の注文を見ているだけで先が見通せちゃうって、すごい能力だと思いますけど。
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野村雅道:
ニューヨークにいた時は、東京銀行は日本円ではメジャープレーヤーだけど、他の通貨の動きは分からない時が多いわけよ。だから私は勘でディーリングやってた部分がある。まあ勘でもうまくいったから良かったんだけど。東京に戻ってきたら、勘でやるディーリングとは全然違うっていうのがわかった。

要するに、全体の取引ボリュームがどれくらいあるか、いろいろなところと情報交換して、全体の流れがわかっちゃう。注文状況のチェックや、情報交換を何カ月もやっていると、東京銀行が今時点で全体の何割の取引を行っているか、割り出せちゃうわけよ。

PickUp編集部:
インターバンクや輸出入企業からの注文を見て、わかってしまうものなんですね。
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野村雅道:
仲値も、例えば東京銀行が20本持っていたら、取引シェアが全体の20パーセントだと分かっていれば、今マーケットには全体では100本あるんだな、とか計算してわかるわけ。そうすると、だんだん値動きのカラクリが見えてくる。今のディーラーやトレーダーは、それが分からないから多分悩むんだよね。

PickUp編集部:
カラクリなんて、わかりません…。
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野村雅道:
あと、普通の銀行は注文が偏っているんだよ。例えば三菱の銀行は三菱系のお客が多いわけよ。三井は三井系でしょ。興銀(日本興業銀行)は自動車会社とか重工、製鉄会社とか。東京銀行は、カラーがないわけよ、中立なの。だからどんなところからもお客が来る。あと、東京銀行は東京市場を束ねる存在だったから、例えば政府が1億ドル売りたいと他の銀行に言っても、カバーは東京銀行で取られるわけ。そうするとね、最初からいろいろな客が来るし、客が来なかったとしても他の銀行から注文が来るわけよ。だから、全ての動きがわかる。

PickUp編集部:
すべての道はローマに通ず、じゃないですけど、繋がっているんですね。
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野村雅道:
前編で言ったシンジケートローンみたいに、一番情報を持っているところが、一番おいしい。日本の情報は日本人が一番早く知るじゃない。日本語の新聞が手に入るから。欧州の情報なんか全然入ってこないわけよ。テレビのニュース見ていても遅いじゃない。特にドイツ語やフランス語の情報は入ってこないから。南アフリカやトルコの情報なんで、入ってこないままで終わるからさ。 そんな感じで、東京に配属になって、為替は需給で動くっていうのが分かった。

PickUp編集部:
需給って、使い慣れない言葉なので、もう少しかみ砕いて教えてください。
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野村雅道:
そうか。需給って何かって言うと、「おいしいりんご」と「まずいリンゴ」があったとき、どっちが売れるかという問題と同じなんだよ。「おいしいりんご」は、ファンダメンタルがいいってことだとして、「まずいりんご」はファンドメンタルが悪いっていうことにしようか。実際大事なのは、何人が食べたがってるか、それだけの話なんだ。「おいしいリンゴ」でも2、3人しか欲しい人がいなかったら売れないから値段は下がるし、「まずいリンゴ」しかなくても、飢えてる人が100人いたら、だれもが買いたくなるから値段は上がるって言うこと。

そう考えると、金利もあんまり関係ないんだよね。今までの相場を見てみれば、金利の低い国ほど通貨がずっと強いわけ。一番強いのはスイス、これは1973年から変わらない。次に強いのが円でしょ。マイナス金利グループばっかりが強いじゃん。

PickUp編集部:
言われてみれば確かにそうですね。経済の教科書にのっている、金利が高いと通貨が上がるって言うのは、実際はあんまり関係ないっていうことですか。
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野村雅道:
まあ金利は一時的には為替変動に影響があるけどね。長い目でみると関係ないと言っていいと思う。だから、やっぱり需給が大事なんだ。

PickUp編集部:
ではその需給について知るには、どうすればいいんでしょうか。
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野村雅道:
具体的には各国の貿易収支とかになってくるんだけど、その辺は私のレポートや動画で伝えているからそっちを見てほしいな。

為替を動かすほどの力は、ない 投機筋の実態は・・・

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野村雅道:
あと、よく聞く「投機筋が為替を動かす」とかいう話だけど、そんなに力を持つ投機筋なんかいないから、嘘なんだよ。貿易収支は投機筋に比べて10分の1の出来高しかないから、貿易収支なんかで為替は分からないって言われるんだけど、結局は貿易赤字の国の通貨が弱くて、貿易黒字のスイスとか日本とかの国の通貨が強いわけなんだ。 投機筋って言われている出来高って、大半は為替のスワップ取引なんだよ。 例えば外為どっとコムの1日の出来高が10として、スワップ取引は毎日かけるわけだからそれまでの累積のやつを500とかやるでしょ。純粋な出来高も、ロールオーバーも一緒なっちゃっているわけよ。だから10と500で510になるでしょ。500という、実際の取引に関係ないが入っちゃっている。

PickUp編集部:
分けて考えないといけないんですね。
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野村雅道:
私は東京銀行と、そのあとにいろいろな外銀で務めたけど、どこのディーリングルームにいても、投機筋からはたまにしか注文が来ないんだよ。だから投機筋は為替を動かしていないってことを知ってほしいね。ちなみに投機筋と呼ばれるヘッジファンドって、わりと取引は手硬いんだよ。損切りとかは、取引金額の1パーセントくらいやられると、だいたいカットしていたよ。

外為注文情報は使える


PickUp編集部:
そんな中、外為どっとコムでFX取引をされている方の指値・ストップ注文が、売り・買いそれぞれどのレートにどのくらい出されているかを一覧で確認できる外為注文情報を野村さんご覧になった時、どう思われましたか。
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野村雅道:
はじめて外為注文情報を見たときは「FX会社1社の小さい金額で、FXのトレード戦略をたてるのに役に立つのかな」と思っていたんだけど、実際に活用してみると、意外と使えたんだよね。長年見てきたインターバンクの注文も、個人投資家の注文も、だいたいセンチメントって、似てくることに気づいたんだ。つまり、大なり小なり、人間が考えることはだいたい同じなんだってことだな。

詳しい解説は・・・

【外為注文情報 一歩先行く相場分析】
https://www.gaitame.com/srvlist/market/gaitame_borad/movie.html

「激安15銭」で決意 個人投資家デビュー


PickUp編集部:
銀行を長くお勤めになったあと、なぜFXを中心とした個人投資家になったのでしょうか。
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野村雅道:
FX市場は、外為法が変わった1998年でしょ。その時に私、疲れたから銀行を辞めてもいいかなとか思ってて、この後どうしようかなとか考えていたんだけど、いいタイミングでFX市場が始まってくれたんだよね。その時の取引条件がね、ドル/円のスプレッドが5銭で、手数料が10銭だった。あわせて15銭でしょ。それ聞いて大喜びだったわけよ。そんないい条件でやらせてくれるのなら、これいつでも銀行辞めれるなと思った。

PickUp編集部:
いい条件、ですかね…。今だとFXのドル/円スプレッドは0.3銭や0.2銭、手数料0円というのが普通になっているので、割高に聞こえましたが。
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野村雅道:
今ならそう感じるよね。でも、銀行時代にお客さんだった企業の話をすると、基本はTTS、TTBでレートを提示するんだよ。今がドル/円104円だとすると、お客が買う時に105円で、お客が売ると103円になる。

PickUp編集部:
あいだのスプレッドは、2円、200銭…。
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野村雅道:
そうそう。それで、ある企業を私が担当だった時に「5銭優遇」をとるのが大変だったわけよ。5銭優遇というのはTTS、TTBから5銭引くっていうこと。 つまり、手数料として95銭取っているんだよ。ほかにも、商社とか物産とか、得意先でもスプレッドは35銭だったよ。個人が為替をやるにしても、TTS、TTBでやるしかなかったんだ。往復2円取られて、200銭のコスト。そんな中、あたらしく始まったFXでは15銭で出来るって言うからさ、これなら個人でもできるじゃないかと思って喜んだんだよ。

PickUp編集部:
いまと状況にだいぶ違いがあったんですね。
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野村雅道:
得意な為替が個人投資家として出来るって分かって、これで飯食っていけるな、じゃあ辞めちゃおうと言う感じだったね。情報が乏しい中南米のことも銀行で仕事していたから、何か事件があっても、例えば債務危機の話とか出ても、わりとすぐ理解できるし、これは大丈夫だと思った。報道では騒いでいても、過去の経験から何でもないと思ったらすぐ買ったけど。これまでの銀行の仕事が役に立っていたんだよ。

PickUp編集部:
海外企業の考え方とかがわかるんですか。
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野村雅道:
そう。東京銀行で良かったのは、その海外の企業と付き合ったりしたから彼らの動きもわかってよかった。為替って結構いろんなことに繋がっているから。 そんな感じで、ああこれ一人でできるなぁと思って銀行をやめたのよ。はれて個人投資家になった瞬間だね。

PickUP編集部より

為替に必要な需給の考え方や、FX黎明期のお話をお聞きしました。 後編では、FXの初心者やお悩み投資家へのアドバイスを伺います。

↓↓↓前編はこちら
https://www.gaitame.com/media/entry/2019/10/09/180808

野村雅道 氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。