「Brexitは英総選挙待ち、米中協議に関心」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2019年11月

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ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 10月の推移

 10月のポンド/円相場は130.432~141.492円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約5.2%上昇(ポンド高・円安)した。
8月に付けた底値からは2カ月余りで12%近く反発を記録した事になる。
引き続き、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る楽観的な見方がポンド相場を支えており、英国とEUの間で離脱協定に関する新たな合意が成立した17日には、約5カ月ぶりに141.49円前後まで上値を伸ばした。
その後、Brexit期日が2020年1月31日に延期され、12月12日には総選挙を実施する事も決まった。

 改めてBrexitの是非を国民に問う事になり、選挙を巡る不透明感などからポンドの上値は重くなったが、「合意なき離脱」の可能性は著しく低下したとの見方から下値も堅く、ポンド/円相場は高止まりした。

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1日
英与党保守党大会向けのジョンソン英首相の演説原稿が公表され、官邸は「いかなる状況の下でも首相が離脱延期を交渉する事はないだろう」と説明。
「ジョンソン首相は、Brexitに関する最終提案を2日にEU側に送り、EU当局が積極的に協議に応じない場合は、合意がないまま英国をEUから離脱させると警告する方針だ」と報じられた。

2日
ジョンソン首相はBrexitに関する「最終」協定案を公表し、「英国は何があろうとも10月31日にEUを離脱する」「合意なき離脱の準備できている」などと述べた。新協定案では北アイルランドに関する「バックストップ(安全策)」条項を削除。
独自の税関制度を一時的に導入し、物品がアイルランド共和国との国境を越える際には「検査」でなく「申告」を行い、検査は国境から離れた場所で行う仕組みを提示した。

10日
英8月国内総生産(GDP)は前月比-0.1%と予想(±0.0%)に反して減少。英8月鉱工業生産も前月比-0.6%と予想(+0.1%)に反して落ち込んだ。一方、英8月貿易収支は98.06億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(100.00億ポンド)より少なかった。これらに対するポンドの反応は限定的。
その後、ジョンソン英首相とバラッカー・アイルランド首相が首脳会談後に「離脱合意を成立させる事があらゆる関係者の利益にかなうと引き続き確信」「合意への道筋が見込めるとの点で一致」などとする共同声明を発表。国境を巡るバックストップ(安全策)問題の進展を窺わせる声明にポンドは全面的に上昇した。

17日
「Brexitを巡る協定案の修正で英とEUが合意」と伝わったのに続き、ユンケル欧州委員長も合意が成立したと発表。これを受けてポンド/円は141.49円前後まで急伸して5月半ば以来の高値を付けた。
しかし、「(英与党・保守党政権と閣外協力関係にある)北アイルランド民主統一党(DUP)は、英とEUが合意した修正離脱案に支持票を投じない方針」とする党関係者の発言が伝わると、19日に予定されている英議会の採決に対する不透明感が広がり、ポンドは上げ幅を縮小した。

22日
英下院は、ジョンソン政権が提出した「EU離脱合意の一般原則」を承認。これを受けてポンド買いが強まった。しかし、その直後に英下院はEU離脱協定関連法案を3日間で迅速審議するための議事進行動議を否決。
ポンドは一転して売りが強まり、ポンド/円は139.50円台まで急落した。

25日
EUの英国を除く27カ国は、Brexitについて10月31日に迫った離脱期日の延期を認める事で原則合意。ただ、延期期間に関しては28日に英議会で行われる前倒し総選挙実施の動議採決の結果を確認した上で29日までの決定を目指す事とした。

28日
トゥスクEU大統領は「EU加盟27カ国は英国の要請を受け入れ、離脱期限を2020年1月31日に延期しつつ離脱を柔軟に認める事で合意した」とツイート。
その後英下院は、ジョンソン首相が提出した早期総選挙の実施を求める動議を採決したが、可決に必要な3分の2の賛成票を獲得できずに否決された。

29日
英最大野党・労働党のコービン党首が「総選挙実施を支持する条件が整った」と表明。選挙によって政治の混乱が収束し、Brexit問題にも決着がつくとの期待からポンドは下げ幅を縮小。
なお、その後英下院は12月12日に総選挙を実施する法案を賛成多数で可決。上院送付を経て成立する見込みとなった。

10月の各市場

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10月のポンド/円ポジション動向

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11月の英国注目イベント

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ポンド/円 11月の見通し

 英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitが「合意なき離脱」となるリスクは大きく低下したままのため、ポンド相場は11月も底堅く推移しそうだ。
ただ、12月12日に行われる総選挙を睨んでこれまでのような上昇は期待しにくい。
総選挙はジョンソン英首相が率いる与党・保守党が第1党を維持する見込みで、仮に過半数議席(326)を獲得できれば、EUとの離脱協定案の可決を経て2020年1月末(あるいはそれ以前)に「合意あり」の離脱が実現する可能性が高まる。

 一方、選挙結果がいずれの政党も過半数を獲得できない「ハング・パーラメント」となれば、Brexitを巡る堂々巡りが繰り返される可能性が高まり、場合によっては「合意なき離脱」のリスクが再燃する恐れもある。
ただ、最大野党・労働党を中心とする野党連合による連立政権の樹立に漕ぎ着けられれば、離脱後もEUの関税同盟に残留する事など、よりソフトな離脱を目指すと考えられる。
こうした中、11月のポンド/円相場は総選挙を巡る世論調査の結果などに一喜一憂しながらも方向感が出にくい展開が見込まれる。(神田)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 10月の推移

10月の豪ドル/円相場は71.735~75.292円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.1%の上昇(豪ドル高・円安)となった。
豪中銀(RBA)の利下げを受けて下落して始まった豪ドル/円相場は、米中の通商問題を巡る対立に緩和ムードが広がった10日を境に上昇に転じた。
17日の豪9月雇用統計で失業率が低下した事を受けて11月の追加利下げ観測が後退した事や、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitが「合意なき離脱」に陥るリスクが低下し、市場心理が改善した事も支えになった。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年3回目の「予防的利下げ」に動き、ドル安(豪ドル高)に振れた事で30日には3カ月ぶりに75円台を回復した。

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1日
RBAは大方の予想通りに政策金利を1.00%から0.75%に引き下げた。>声明で「雇用は力強い成長を続けている」としながらも「労働需要の先行指標は、雇用の伸びが最近の速いペースから鈍化する可能性が高いことを示している」と指摘。
その上で「労働市場などの動向を引き続き監視し、経済の持続的成長と完全雇用、長期的なインフレ目標の達成を支えるために必要に応じて金融政策をさらに緩和する」 と改めて表明した。
RBAの発表直後は出尽くし感などから豪ドル買いが入る場面もあったが、追加利下げの可能性を睨んで次第に豪ドル売りが優勢となった。

3日
豪8月貿易収支は59.26億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(61.00億豪ドル)を下回った。

4日
豪8月小売売上高は前月比+0.4%と予想(+0.5%)を下回る伸びにとどまった。ただ、前月分が上方修正(-0.1%から±0.0%へ)された事もあって豪ドル相場の反応は小さかった。

8日
前日に、米国が複数の中国企業を人権侵害の疑いで「ブラックリスト」に掲載した事について、中国外務省が「強く反対」するとした上で、報復措置に「乞うご期待」と表明。これを受けて10-11日の米中閣僚級通商協議の進展期待が薄れ豪ドル/円が下落。
米国務省は、中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒らの弾圧に関与した中国当局者へのビザ発給を制限すると発表した事を受けて下げが加速した。

10日
米政権が一部企業に中国通信機器大手ファーウェイへの部品供給を許可したと報じられた事を受け円売りが強まった。さらに、米国は中国との部分的合意に通貨協定を含める事を検討していると伝わり人民元が強含む中、豪ドルも上昇した。

11日
米中通商協議についてトランプ米大統領は「米中は重大な第1段階の合意に達した」「合意に知財や金融サービス、農産品購入が含まれる」「第1段階の合意に署名したあと第2段階の交渉を開始。第3段階になる可能性もある」と発表した。

17日
豪9月雇用統計は失業率が5.2%と予想(5.3%)を下回って前回(5.3%)から改善。新規雇用者数は1.47万人増と概ね予想通り(予想1.50万人増)ながらも、その内訳で正規雇用者数が2.62万人増加した事が明らかとなった。これを受けて11月利下げ観測が後退すると豪ドル買いが強まった。

28日
トランプ米大統領は「中国との合意署名に関して予定より早く進んでいる」と述べて、中国との通商協議「第1段階」について11月の首脳会談での合意署名が可能との見解を改めて示した。
これを受けて米株価指数S&P500が約3カ月ぶりに史上最高値を更新するなどリスク・オンの流れが強まった。

30日
豪7-9月期消費者物価指数は前年比+1.7%と予想通りの結果となった。なお、RBAが重視する基調インフレ率は前年比+1.40%となり、市場予想および前回(いずれも+1.45%)を小幅に下回った。

31日
豪9月住宅建設許可件数が前月比+7.6%と予想(±0.0%)を上回った事を受けてやや上昇していた豪ドルは中国10月製造業PMIが49.3と予想および前回(いずれも49.8)を下回ったため小反落した。
その後一部通信社が関係者の話として「中国、トランプ政権との長期の貿易合意到達を疑問視」と報じると米中通商協議への懸念が再燃し下げ幅を急拡大した。

10月の各市場

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10月の豪ドル/円ポジション動向

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11月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 11月の見通し

 米連邦準備制度理事会(FRB)は10月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ休止を示唆。豪中銀(RBA)も11月5日の理事会で政策金利を0.75%に据え置く公算が大きい。
長らく豪ドルの重しとなってきた米豪金利差の拡大は、ひとまず止まる事になりそうだ。
こうした中、11月の豪ドル/円相場の焦点は、米中通商協議となるだろう。各種報道によれば、中国の習国家主席が11月中に訪米して通商協議の「第1段階」に合意署名する模様。
首脳会談の日時や場所が正式に決定すれば豪ドルの支援材料になりそうだ。

 また、米政権は9月1日に発動した1120億ドル相当の中国製品に対する15%の関税を撤廃するかどうかを議論しているとの観測報道もある。今年5月にも合意間近と伝えられながら破談となった経緯があるだけに、正式決定までは「ちゃぶ台返し」への警戒も怠れないが、中国の「技術移転」や「構造問題」を抜きにした「第1段階の合意」は比較的ハードルが低いと見られる。
豪ドル/円相場は、米中の対立緩和期待で底堅い推移が見込まれるとともに、「第1段階の合意」および「関税の撤廃」が実現すれば5月以来の上値抵抗である76円台前半の突破を試す可能性もある。(神田)

 

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