FXを「投資?ギャンブル?」と比べること自体がナンセンス

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FXは投資か?それともギャンブルか?

私が以前、証券会社のFX部門で働いている間は、規則によりFXの取引ができませんでした。
ただ、毎日上下する為替レートを見ているうちに、「今日は円高になるだろう」「今日は円安になるだろう」と予測するようになり、「実際に自分がFXをやったらどうなるかな」と思っていました。

そんな毎日を送っていた私は、あるとき先輩社員との会話の中で、
「FXって、やってみたいですよね」といったところ、
「私はギャンブルはやらないと決めている。だからFXはやらない」
という返事が返ってきたのです。
正直にいえば、「証券会社の社員でさえ、FXとギャンブルの区別がついていないのか」と思い、とてもショックでした。

また、祖父には「お前は証券会社に勤めているのか。オレは博打が嫌いなんだがなぁ・・・」と言われたこともあります。

FXとギャンブルは違います。
それなのに、そのことを理解している人は本当に少ない。
私はそのとき、「いつか、投資とギャンブルの区別を、きちんと伝えなければいけない」と思いました。

ネット上にあるFXとギャンブルの違いに対する説明

インターネットで、「FX ギャンブル」というキーワード検索をしてみると、「FXはギャンブルであるか、否か」を説明するサイトがたくさんありました。
その理由について、抜粋して紹介してみます。

1)「FXはギャンブルだ」

・FXもギャンブルのように、大儲けしたり、大損したりするから
・FXも勝つか負けるかの予測が不可能で、サイコロや丁半博打のように運まかせだから
・FXもギャンブルも「胴元」と呼ばれる主催者・運営者が存在し、胴元は絶対に損をしないように手数料を徴収して報酬を決めているから

2)「FXはギャンブルではない」

・リスクを適切にコントロールすれば、大儲けはしにくくなるが、大きな損失を回避できる可能性も高められるから
・ギャンブルは勝敗が、「丁か、半か」という運で決まるが、FXは分析などで、勝率を高められるから
・ギャンブルは手数料が高く参加者への還元率は低いが、FXは手数料が安いので還元率は高い

FX会社は「胴元」ではない

上述したように、多くのサイトが、「損益の大きさ」や、「勝敗が運任せかどうか」、そして「胴元が徴収している手数料の大きさ」といった視点で解説されています。
しかし、それよりも、もっと本質的なところから、FXとギャンブルの違いについて考えてみるべきです。

まずはっきりさせたいのは、FX会社は「胴元」ではありません。

ギャンブルの運営者である胴元は、勝敗のルールを決め、勝敗に参加するための参加料や、参加者が買ったとき、負けたときの報酬もすべて決めます。
一方、FXではFX会社がFXを管理・運営している「胴元」のように見えますが、FX会社は市場を主催したり、運営したりしていません。
投資家の注文をインターバンク市場(世界中の金融機関の間で外国為替取引が行われている市場)に取り次いでいるだけです。
そのとき、スプレッドとして徴収される手数料が「取次手数料」となりますが、ギャンブルを主催する胴元が取る手数料とは意味が異なります。

続いて「損益の大きさ」や「勝敗が運任せかどうか」ですが、金額の差、勝率の差なので、FXとギャンブルの本質的な違いではありません。
それでは、「本質的な違い」とは、何なのでしょうか?

ギャンブルはゲームで投資はビジネス

FXはギャンブルではありません。
FXは投資です。
それでは、一体ギャンブルとは何なのでしょうか?

ギャンブルとは、胴元が定めたルール上で勝敗を決め、勝った場合は、胴元から報酬を受取る「ゲーム」です。

ギャンブルのルールは胴元が決めます。
勝った場合、負けた場合の報酬も、胴元が決定し、胴元が提供します。
『○○が競争で1位になったら、掛け金の1.5倍の報酬がもらえます。
』や『○○のカードの組み合わせになったら、他のどの組み合わせよりも強く、場に出したチップの2倍の報酬がもらえます』など、ルールも、勝敗も、参加料も、報酬も、すべて主催者・運営者が決めるこの仕組みは、まさに、パソコンやスマートフォンで遊べるコンピューターゲームと同じではないかと私は思います。


一方の投資とは何なのでしょうか?

投資とは、価値のある商品を安いときに購入し、それが値上がりしたときに売却するという「ビジネス」です。

価値ある商品の価格が上がるか、下がるかは、(胴元のようにみえる)金融機関が決定しているわけではありません。
商品を買いたいと思う人が、売りたいと思う人よりも増えたとき、その価格は上がります。
逆に、その価格で売りたいと思う人が、買いたいと思う人よりも増えたとき、価格は下がるのです。
価格が上がったから、下がったからといって、金融機関が報酬を提供しているわけではありません。

ただ、投資家は保有している金融商品を、現金と交換しているだけなのです。

言い換えると、投資家から見れば、将来の需要増を予測し、金融機関を通して「仕入れ」を行い、価格が上がったときに、金融機関を通して「商品を販売する」というような「ビジネス」をしているわけです。

FXは需要と供給を予測し、売買を行う「ビジネス」

例えば、FXでは、アメリカの金利が上がるという観測が報道されたら、将来、ドルの需要が上がると予測して、ドルをロングポジションで持ち、十分に上がったときに決済します。
だからFXはビジネスであり、つまり投資なのです。

そして、FXとは、金融システムを構成する枠組みのひとつです。
FX市場があるから、世界中の財やモノ、サービスは円滑にやり取りできるのです。
また、株式、債券、金利などの金融市場安定化にも、大いに貢献しています。

このように、FXとギャンブルの間には、本質的な違いがあります。
それにもかかわらず、「大儲けしたり、大損したりするから」とか、「勝つこと、負けることが、運任せのように見えるから」とかいう理由で、「FXは投資か?それともギャンブルか?」などと比較するのは、本当にナンセンスなことなのです。

sakou.jpg 岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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