「1月ドル安アノマリーの再現は?」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年1月

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ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 12月の推移

12月のドル/円相場は108.426~109.728円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.7%下落(ドル安・円高)した。前月の流れを引き継いで2日には109.728円まで上昇したが、米11月ISM製造業景況指数が予想外に悪化した事で109円台を割り込んだ。ただ、108.50円台を割り込むと押し目買いが入り108.40円台で下げ渋った。

その後、米中通商協議・第1段階の合意がほぼ確実となった12日には109円台を回復。中旬以降は109円台で高止まりとなったが、クリスマス休暇が明けた月末にはポジション調整と見られるドル売りが強まり108円台半ばに押し戻されて2019年の取引を終えた。

なお、12月の米国株は主要指数が揃って史上最高値を更新するなど大幅に値上がりしたが、ドル/円の支援材料にはならなかった。

一方、米下院はウクライナ疑惑などを理由にトランプ大統領の弾劾決議案を19日に可決したが、これがドル/円の圧迫要因になる事もなかった。

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2日
米11月ISM製造業景況指数は48.1と予想(49.2)に反して前回(48.3)から低下。内訳の新規受注指数が49.1から47.2に低下した他、雇用指数も47.7から46.6に低下した。これを受けてドル売りが活発化。

中国が、「香港人権法」を成立させた米国に対する報復措置として米軍艦の香港への寄港拒否や一部の米非政府組織(NGO)への制裁を発表した事も重しとなった。

4日
米通信社が「米中、通商合意に近づく」と報じた事を受けてドル/円は上昇。米国の交渉当局者は、15日に対中追加関税を発動する前に第1段階の合意を完了できると考えているとされ、交渉の懸案には中国による米農産品購入の保証の仕組みや具体的にどの関税を巻き戻すのかなどが含まれるとの事。

米11月ISM非製造業景況指数は53.9と予想(54.5)を下回り、前回(54.7)から低下した。ただ、内訳の雇用指数や新規受注指数が上昇したため、ドル売りは一時的だった。

6日
米11月雇用統計は非農業部門雇用者数が26.6万人増と予想(18.0万人増)を上回る伸びを示すとともに、失業率は3.5%と予想および前月(3.6%)を下回って改善。また、平均時給は前月比では+0.2%と予想(+0.3%)に届かなかったが、前年比では+3.1%と予想(+3.0%)を上回った。

しかし、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、米中通商協議について「合意は依然として近い」としながらも、まとまらない場合は対中関税を発動するとの考えを示した事を受けてドル/円は失速した。

11日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利を1.50%-1.75%に据え置いた。声明では「現行の金融政策スタンスが、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率を支えるために適切だと判断する」とした。なお、前回の声明に用いた「この見通しに対する不透明感は残る」の文言を削除した。その他、注目された政策金利見通しに大きな変更はなく、2020年末にかけて現在の政策金利を維持するとの見方が示された。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見で引き締め政策に戻るには「大幅かつ持続的なインフレ加速が必要」と述べて利上げのハードルが高い事を強調。これを受けて、ドルは小幅に下落した。なお、米11月消費者物価指数は前年比+2.1%となり、市場予想(+2.0%)を上回った。また、コア指数(除食品・ネルギー)は前年比+2.3%と予想通りであった。

12日
トランプ米大統領が「中国との大きな合意に非常に近づいている」とツイート。その後、米通信社が関係者の話として「米国は中国との貿易取引で原則合意、トランプ大統領の承認待ち」と報じた。

13日
米11月小売売上高は前月比+0.2%と予想(+0.5%)を下回り、自動車を除いた売上高も前月比+0.1%に留まった(予想:+0.4%)。

その後トランプ米大統領は、中国との第1段階の通商合意を受けて、15日に発動を予定していた対中追加関税の発動を見送るとした上で、直ちに「第2段階」の協議に入る事を発表。ただ、「(現行の)25%の関税はそのまま残る」とも述べた。米中通商協議への期待と不安が交錯する形でドル/円は乱高下したが最終的に「出尽くし売り」が優勢となった。

20日
米7-9月期国内総生産(GDP)・確定値は前期比年率+2.1%と予想通りで、改定値と同じだった。内訳の個人消費は+3.2%と改定値および予想(+2.9%)を上回る伸びとなった。米11月個人消費支出(PCE)は前月比+0.4%と予想通りの伸びとなった。

また、米11月コアPCE価格指数(デフレーター)は前年比+1.6%と、予想(+1.5%)を上回って上昇した。

12月の各市場

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12月のドル/円ポジション動向

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1月の日・米注目イベント

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ドル/円 1月の見通し

ドル/円は、2019年末から2020年始にかけての約1週間で2円近くドル安・円高に振れている。年末のポジション調整と見られるドル売りに加え、年始の米軍によるイラク空爆(イラン司令官殺害)を受けたリスク回避の円買いで、6日早朝にはおよそ3カ月ぶりに107.70円台まで下落する場面もあった。イランによる報復措置への警戒も高まる中、「1月のドル安・円高アノマリー」が今年も再現される可能性が意識されている。当面は、中東情勢ウォッチが必須となりそうだ。

一方で、米中の対立が和らいでいる点はドル/円にとってポジティブ要因だろう。トランプ米大統領は、米中通商協議の「第1段階」合意について、1月15日にホワイトハウスで署名式を行う事を明らかにした上で、「第2段階」の協議に向けて訪中する意向も示している。足元で中国の製造業PMIが持ち直している事もあって、米中の対立緩和は世界的な製造業の景況感底入れ期待に繋がりそうだ。

中東の地政学リスクによる円高と米中の対立緩和による円安のせめぎ合いで、どちらに軍配が上がるかが1月のドル/円相場の見どころとなろう。現時点では、中東情勢よりも米中関係のほうが世界経済への影響が大きいと考えられるため、ドル/円の下値リスクは限定的と見ている。(神田)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 12月の推移

12月のユーロ/円相場は119.987~122.647円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.0%上昇(ユーロ高・円安)した。ユーロ高の背景は主に、欧州中銀(ECB)の追加緩和観測が後退した事と、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る混乱が収束するとの期待が高まった事であった。

12日にラガルドECB総裁が発表した「戦略見直し」は、マイナス金利の副作用などに配慮した動きとの見方が多く、市場はECBがハト派姿勢を弱めたと受け止めている。

Brexitについては、12日に投開票された英総選挙で、ジョンソン首相率いる与党・保守党が圧勝した事から、EUとの離脱協定案が英議会で批准される可能性が極めて高まっている。このため、2020年1月末に「合意なき離脱」が実現するリスクはほぼなくなったと見られ、Brexitによるユーロ圏経済への打撃も最小限に留まるとの期待が広がっている。

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5日
ユーロ圏10月小売売上高は前月比-0.6%と予想(-0.5%)以上に落ち込んだ。なお、同時に発表されたユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・確定値は前年比+1.2%と予想通りであった。

6日
独10月鉱工業生産は前月比-1.7%と予想(+0.1%)に反して大幅に低下した。ただ、ユーロ相場の反応は限定的だった。その後、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が米中通商協議について、合意がまとまらない場合は対中関税を発動するとの考えを示した事から円買い主導で弱含んだ。

10日
12日の英総選挙で与党・保守党が勝利し、Brexitを巡る混乱が収束するとの期待が強まる中、ポンド高に連れてユーロも上昇した。なお、独12月ZEW景況感調査(期待指数)は10.7と市場予想(0.3)を上回り前回(-2.1)から改善。ユーロ圏12月ZEW景況感調査(期待指数)も11.2と前回(-1.0)から改善した。

12日
ECBは予想通りに主要政策金利(リファイナンス・オペ金利0.00%、預金ファシリティ金利-0.50%など)を据え置いた。声明では「インフレ見通しが2%に近いが、2%未満のレベルにしっかりと近づくまで政策金利を現行かさらに低い水準にする」「必要な限り債券買入れを継続」などと表明した。ラガルド総裁は「リスクは下方向も、(以前に比べ)やや顕著ではなくなった」などと比較的明るいトーンの会見を行った。これを受けてユーロは小幅に上昇したが、同時に公表したスタッフ予測で20年の成長率見通しを下方修正した事などから伸び悩んだ。なお、20年のインフレ見通しは9月時点の+1.0%から+1.1%に引き上げた。ラガルド総裁は「ECBの戦略検証は20年1月中に開始。20年末までに完了することを目指す」事も表明した。

13日
英総選挙の投票締切と同時に英BBCが報じた出口調査の結果で、ジョンソン英首相率いる与党・保守党圧勝の見通しが強まるとポンドが急伸するとともにユーロも上昇した。ユーロ/円は約5カ月半ぶりに122.60円台まで上伸したが、買い一巡後は出尽くし売りで反落。なお、トランプ米大統領は、中国との第1段階の通商合意を受けて、15日に発動を予定していた対中追加関税第4弾の発動を見送ると発表したが「(現行の)25%の関税はそのまま残る」とした。

16日
仏12月製造業PMI・速報値が50.3(予想:51.5)となり、続いて独12月製造業PMI・速報値も43.4(予想:44.6)、ユーロ圏12月製造業PMI・速報値も45.9(予想:47.3)となった。ただ、前週末に米中が第1段階の通商合意に達した事を好感して欧米株が上昇する中、ユーロ/円は堅調だった。

18日
独12月Ifo企業景況感指数(期待指数)は93.8と予想(93.0)を上回り、3カ月連続で上昇した。低迷していたドイツ景気が底入れするとの期待からユーロに買いが入ったが一時的だった。

27日
年末を控えたポジション調整と見られるドル売りが対ユーロを中心に活発化。ユーロ/ドルの上昇とともにユーロ/円は122.50円前後まで上昇した。

12月の各市場

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12月のユーロ/円ポジション動向

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1月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 1月の見通し

1月のユーロ/円相場は、①中東の地政学リスク、②米中通商協議、③英国の欧州連合(EU)離脱=Brexit、を睨んで神経質な展開となりそうだ。

①米軍がイランで英雄視されている司令官を空爆で殺害した事を受けてイランは報復を強く表明。軍事的な衝突に発展すれば、リスク回避のユーロ安・円高に振れる可能性がある。

②米中は1月15日に「第1段階」の通商合意について書名式を行う予定。トランプ米大統領はその後、「第2段階」の交渉に向けて訪中する考えを示しており、米中は融和方向に舵を切ったように見える。こちらは、リスク選好のユーロ高・円安に繋がろう。

③英国は1月31日にEUから離脱する事がほぼ確実と見られ、焦点は、2020年12月末を期限とする「移行期間」のうちに新たな貿易協定を結べるかに移っている。市場では約11カ月という短い「移行期間」内の合意は困難との見方が多く、仮に時間切れとなれば関税の復活などで「合意なき離脱」と似た状況に陥るリスクがある。一方で、ジョンソン英首相は「移行期間」を延長しない(1回限り最大2年の延長が可能)方針を示しており、1月上旬に英議会で採決される離脱協定案に「移行期間」の延長を封じる条項を盛り込む見通しだ。この離脱協定案が可決されれば、市場は少なからず動揺すると考えられるが、その後に始まる英国とEUの貿易交渉の行方を見極めたいとのムードも広がりそうだ。

いずれにせよ、1月のユーロ/円相場は値動きが不安定化する場面が増えそうだ。(神田)

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