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「クロス円の上昇は継続か終息か」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2020年1月

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ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 12月の推移

12月のポンド/円相場は140.831~147.952円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.7%上昇(ポンド高・円安)した。英総選挙の出口調査が伝わり、ジョンソン首相率いる与党・保守党の圧勝が濃厚となる中、13日には147.95円前後まで上昇して約9カ月ぶりの高値を付けた。

しかし、開票が進む中で「出尽くし売り」が強まり、この日は145円台まで押し戻されて取引を終えた。その後も、ジョンソン首相が欧州連合(EU)離脱=Brexitの「移行期間」を延長しない方針を改めて強調したため141円台まで上値を削った。

「移行期間」内に新たな貿易協定をまとめ上げるのは困難で、延長がなければ2020年12月末に「合意なき離脱」と同様の事態に陥るとの懸念が再燃した。ただ、月初に付けた安値(140.831円)は割り込む事なく下げ渋ると、クリスマスから年末にかけてはポジション調整と見られる動きで144円台を回復した。

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9日
英調査会社You Govが前週末に発表した政党支持率に関する世論調査は、与党保守党が最大野党労働党に10ポイントの差をつけてトップを維持。

保守党が選挙で過半数議席を獲れば2020年1月末に英国がEUから混乱なく離脱できるとの期待でポンドが上昇。なお、対ユーロでは2年7か月ぶりの高値(ユーロ/ポンドの安値)を更新した。

10日
英10月国内総生産(GDP)は前月比±0.0%と予想(+0.1)を下回る伸び。同鉱工業生産も前月比+0.1%と予想(+0.2%)に届かなかった。ただ、12日の英総選挙で与党・保守党が勝利し、Brexitを巡る混乱が収束するとの期待からポンドは底堅く推移した。

なお、英10月貿易収支は144.86億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(116.73億ポンド)を上回った。

11日
英調査会社YouGovが12日の総選挙を前に最新の世論調査結果を発表。同社の最新予測モデルによる政党別の獲得議席予想では、与党・保守党が339と絶対過半数(326)を上回ったものの、前回の調査に比べると20議席少なかった。

一方、最大野党・労働党の獲得議席予想は231(前回:211)だった。これを受けて一時ポンドが売られたが、保守党勝利の見通しに大きな変化はなかったため売りは続かなかった。

13日
英総選挙の投票締切と同時に英BBCが報じた出口調査の結果で、ジョンソン英首相率いる与党・保守党圧勝の見通しが強まると、ポンドが急伸。2020年1月末に英国がEUから円滑に離脱するとの期待が広がり、ポンド/円は約9カ月ぶりに147.90円台まで上昇した。

なお、この日遅くに確定した選挙結果は、全650議席のうち保守党が365議席を獲得、最大野党労働党203議席、スコットランド国民党48議席、自由民主党11議席、北アイルランド民主統一党8議席、などとなった。

16日
英12月製造業PMI・速報値は47.4、同サービス業PMIは49.0と、いずれも予想(49.2、49.5)を下回った。これを受けてポンドは一時売りが強まった。

17日
ジョンソン英首相は、EU離脱後の移行期間の延長がない事を確実にする法改正を目指す方針だとする報道を受けてポンドが下落した。

法改正が実現すれば、EUとの通商合意がないまま、来年12月末に移行期間が終了すれば、新たな「合意なき離脱」の危険が生じかねないとの見方が広がった。

18日
英11月消費者物価指数は前月比+0.2%、前年比+1.5%(予想:+0.2%、+1.4%)、同生産者物価指数は前月比-0.2%、前年比+0.5%(予想:±0.0%、+0.8%)であった。

19日
英中銀(BOE)は予想通りに金融政策を据え置き、同時に公表した議事録で、据え置きが賛成7名、反対2名(利下げを主張)による決定だった事を明らかにした。

また、「リスクが具体化せず経済が全体的に予想通り回復すれば、段階的な利上げが必要となる可能性」として緩やかな引締めスタンスを維持した。

20日
英7-9月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.4%、前年比+1.1%にそれぞれ上方修正(速報値:前期比+0.3%、前年比+1.0%)された。

なお、英下院はこの日、ジョンソン首相が提出したEU離脱関連法案の基本部分を賛成多数で可決。同法案には、離脱後の激変緩和措置として設定された2020年12月末までの移行期間の延長を禁じる条項も含まれている。

12月の各市場

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12月のポンド/円ポジション動向

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1月の英国注目イベント

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ポンド/円 1月の見通し

12月12日に投開票された英総選挙はジョンソン首相率いる与党・保守党が、絶対過半数(326)を大幅に上回る365議席を獲得。これにより、1月9日前後に行われる離脱協定案の議会採決は賛成多数で可決される公算が大きく、1月31日付けで英国が欧州連合(EU)から離脱する可能性が高まった。ただ、離脱協定案には2020年12月末までの「移行期間」を延長しない条項(英・EUの取り決めでは最大2年の延長が可能)も盛り込まれると見られ、新たな懸念を呼んでいる。

英国とEUは「移行期間」内に新貿易協定をまとめ上げる必要があり、まとまらないまま「移行期間」が終了すれば、関税の復活などで「合意なき離脱」とほぼ同様の事態に陥るリスクがある。ジョンソン政権としては、「移行期間」の延長を排除する事で、EUからの瀬戸際の譲歩を引き出す狙いがあると見られるが、上手く行かなかった場合の代償は大きいと言わざるを得ない。市場には、わずか11カ月程度の「移行期間」で新たな貿易協定を締結するのは困難との見方が多い。

英国の政治が安定した事や、国民投票から3年半以上を経てようやく離脱が実現する運びとなった事はポンド相場にとってポジティブだろう。しかしながら、2020年末の「合意なき離脱」リスクが浮上した事は明らかにネガティブ要因だ。ポンド/円は当面、英議会の動向やEUとの協議の行方に一喜一憂しながら不安定な相場展開となる公算が大きい。(神田)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 12月の推移

12月の豪ドル/円相場は73.823~76.548円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.0%上昇(豪ドル高・円安)した。米中が「第1段階」の通商合意に至るとの期待を支えに、12日には75円台を回復。

合意に伴い、発動が予定されていた米国の対中関税が見送られると、材料出尽くし感から売り戻される場面もあったが、米国の主要株価指数が史上最高値を連日で更新するなど、リスク選好ムードが広がる中、豪ドル/円も堅調を維持。年末を控えたポジション調整的な豪ドル買い戻しも見られ、クリスマス休暇明けの27日には76.50円台に上伸して、約7カ月半ぶりの高値を付けた。

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2日
豪10月住宅建設許可件数は前月比-8.1%と予想(-1.0%)を大幅に下回ったが豪ドルの反応は限定的。その後、中国11月財新製造業PMIが51.8と予想(51.5)を上回ると豪ドルはやや上昇した。

しかし、中国外務省が米国の「香港人権法」成立に対する報復措置として、米軍艦の香港への寄港拒否や、一部の米非政府組織(NGO)への制裁を発表した。

3日
豪中銀(RBA)は予想通りに政策金利を0.75%に据え置いた。声明では「労働市場を含めた動向を監視し、経済の持続的成長と完全雇用、長期にわたるインフレ目標の達成を支援するために必要であればさらなる金融緩和を行う用意がある」と改めて表明した。一部のハト派化予想に反してRBAのスタンスに大きな変化がなかったため、豪ドルは買いが優勢となった。

しかし、トランプ米大統領が、中国との通商合意に期限はないとした上で、「2020年11月の選挙が終わるまで待ったほうが良いかもしれない」と発言したため豪ドルは上げ幅を縮小した。

4日
豪7-9月期国内総生産(GDP)は前期比+0.4%と予想(+0.5%)を下回った。米下院が、ウイグル人権法案(人権侵害で中国政府当局者に制裁を科す法案)を可決した事もあって、豪ドルは弱含んだ。

しかし、米通信社が「米中、通商合意に近づく」と報じた事を受けて反発。報道によると、米国の交渉当局者は、15日に対中追加関税を発動する前に第1段階の合意を完了できると考えているという。交渉の懸案には、中国による米農産品購入の保証の仕組みや具体的にどの関税を巻き戻すのかなどが含まれるとの事。

5日
豪10月小売売上高が前月比±0.0%と予想(+0.3%)を下回ると豪ドルは売りがやや優勢となった。なお、同時に発表された豪10月貿易収支は45.02億豪ドルの黒字と、黒字額は予想(65.00億ドル)に届かなかった。

NY市場では米紙が「米中は農産物の購入額を巡って依然として対立」と報じた事も重しとなった。

12日
トランプ米大統領が「中国との大きな合意に非常に近づいている」などとツイート。米中の対立緩和期待で米国株が大幅高となる中、豪ドル/円が上昇。その後、米通信社が関係者の話として「米国は中国との貿易取引で原則合意、トランプ大統領の承認待ち」と報じた。

13日
トランプ米大統領は、中国との第1段階の通商合意を受けて、15日に発動を予定していた対中追加関税の発動を見送るとした上で、直ちに「第2段階」の協議に入る事をツイッターで発表。

ただ、「(現行の)25%の関税はそのまま残る」とも述べた。米中通商協議への期待と不安が交錯する形で豪ドル/円は乱高下したが最終的には出尽くし売りが優勢だった。

17日
RBAは12月の理事会の議事録を公表。「必要であればさらなる刺激策を提供する能力がある」「雇用・インフレ目標のため長期に渡る低金利が必要」などとする認識を示し、「次回2月会合で経済見通しを再評価する事が重要との認識で一致」とした。

これを受けて2020年2月の利下げの可能性が意識されると、豪ドルが小幅に下落した。

19日
豪11月雇用統計は、新規雇用者数が3.99万人増と予想(1.50万人増)以上の伸びとなり、失業率も5.2%と予想(5.3%)を下回る好結果となった。これを受けて豪ドルは買いが優勢となった。

ただ、前月分の雇用者数が下方修正(1.90万人減から2.48万人減へ)された事などからやや伸び悩んだ。

12月の各市場

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12月の豪ドル/円ポジション動向

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1月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 1月の見通し

昨年末にかけて米中通商合意への期待で上昇していた豪ドルは、年明け早々に下落した。1月3日に米軍がイラクで空爆を行い、イラン精鋭部隊の司令官を殺害した事で中東情勢が緊迫化したためだ。米中は1月15日にワシントンで第1段階の通商合意について署名式を行うとともに、直ちに第2段階の交渉に入る。こうした米中の融和姿勢は豪ドル/円相場のプラス材料だろう。その反面、英雄格の司令官を米軍に殺害されたイランは報復を強く示唆しており、米・イラン関係は緊張が高まっている。

こうした中東の地政学リスクは豪ドル/円相場にとってマイナス材料となる。相反する2つの材料のうち、市場がどちらをより重要視するかによって、1月の豪ドル/円相場の展開は180度違ったものになりそうだ。世界経済への影響という観点に立てば、現時点では米中融和のほうが大きな材料だろう。ただし、中東の地政学リスクには「目新しさ」があるとともに、今後の展開次第という面が強い。現状は、成り行きによって豪ドル/円相場の見通しを変更せざるを得ない局面と言えそうだ。

その他、2月の豪中銀(RBA)の利下げ観測も相場テーマのひとつになる可能性がある。1月7日時点の豪政策金利先物が織り込む2月利下げの確率は5-6割程度となっており、今後は23日の12月雇用統計や29日の10-12月期消費者物価指数が織り込みのカギになると見られる。(神田)