FXは投資なのか、投機なのか?元FX会社の社員はこう考える

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FXの話をすると「FXはギャンブルだ」という認識をもった人が多いことに気がつきます。
以前、私は「FXを『投資?ギャンブル?』と比べる自体ナンセンスです」という記事を書かせていただきました。
その記事では、FXは本質的にギャンブルとは異なること。
そして、ハイレバレッジで勝って、大儲けしたり、負けて大損をしたりする取引だったとしても、FXはギャンブルではないことをお伝えしました。
(詳細は前回の記事をご確認ください)

調べてみると、「FXはギャンブルである」という人、「FXは投資ではない。
投機である」という人も一定数います。
また、「株式は投資でFXは投機」という人もいます。
この言葉の裏には、「投資は善であり、投機は悪である」といったニュアンスが含まれているように感じます。
そこで、私は投資と投機について、一度、整理をしたいと考えました。

投資と投機の違い

東京証券取引所が運営しているサイトに「投資と投機の違いについて」の解説がありました。

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この分類は、一見、明確に分かれているようで、実は非常に曖昧です。
投資のイメージは「じっくり育てる」とありますが、じっくり育てたとしても、勝つこともあれば負けることもあります。
保有期間についても、どこまでが短期で、どこからが長期かは、まったく不明です。

利益、リスク、短期の価格変動の説明で、投機の説明内容が、少し悪意があるように感じるのは、私だけでしょうか。
まあ、参考ページのタイトルを考慮すると、「長期保有」を推奨しているページなので、仕方がないのかもしれません。

なお、以下のように損益構成者の和を紹介されることもあります。

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このゼロサムやプラスサムを引用し、投機と投資の違いを紹介する場合でも、参加者全体がプラスになる株式投資を推奨するような文脈で語られていて、「投機的だ」と紹介されるFX取引は少し分が悪いように思えます。
ただ、一言、これに意見をつけ加えるならば、株式投資はマイナスサムにもなり得るということです。

例えば、日経平均株価は1989年(平成元年)12月29日に最高値となる38,915円87銭をつけてから、「アベノミクスの始まり」といわれる第2次安倍内閣発足の2014年まで、株価はずっと下落トレンドでした。

“失われた20年”といわれるこの期間は、「平均」株価が、下落トレンドを続けているということで、多くの投資家が保有する株式が、平均的に下落していることを意味します。

これはプラスサムではなくマイナスサムです。
ゼロサムだと評価されたFXのほうが、実は“まし”なのではないでしょうか。

FXは投機?

さて、掲題の「FXは投資なのか?投機なのか?」という問いに対して、私はどのように考えているかというと、私は「FXは投機だ」と考えています。

外国為替は2国間の通貨ペアの交換比率です。
交換比率は、その時々の2国間の経済情勢や政治情勢などによって変化します。
言い換えると、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円を長期的に保有する根拠が見当たりません。

逆に、日本の政治情勢、経済情勢が劇的に変化して、長期デフレから脱出し、金利が上がり始め、円高になる可能性もあります。
このようなシナリオでは、ドル/円などの「買い」ポジションを持っていたら、損をしてしまいます。
こう考えると、長期保有に向かない性質を持つFXは、「投機」と呼ばざるを得ないのではないかと思っています。

これは私の考えになりますが、世間一般からあまり良い評価と言えない「投機」にFXは分類されてしまいますが、投機と投資の違いは、曖昧であり、しっかりとした区別がつけられないものなので、その点について、あまり気にしなくていいと思っています。

それでも自分の資産運用が、「投機だ」とか、「ゼロサムゲームだ」とか、揶揄されてしまうことが気になる人は、金融システムといったマクロの視点から、FXの社会的意義を考えてみるといいかもしれません。

『我々が食事をとれるのも、肉屋や酒屋やパン屋の博愛心によるものではなくて、自分自身の利益にたいするかれらの関心によるものである』

これは近代経済学の祖アダム・スミスの「国富論」の中にある、「世の中がどのように豊かになっていくのか」についての一節です。

例えば、おいしくて安いパンは、パン屋さんの博愛心によって分け与えられているのではなく、あるパン屋さんが、他のパン屋さんのパンよりもおいしく、安くすることによって、他のパン屋さんよりも、多くのパンを販売しようとする自己利益を追求した結果であるということを説明しています。

アダム・スミスは、このパン屋さんのような自己利益を追求する人々が集まった結果、「神の見えざる手」に導かれて、社会全体の利益が最大化されていると言いました。

FXも同じではないでしょうか。
「投機」や「スキャルピング」「デイトレーダー」など、短期売買について、いい印象が持てないような紹介の仕方がされていますが、短期売買をする投機家たちも、金融市場に流動性(売買の機会)を与える担い手なのであり、安定した金融システムを支える不可欠な存在なのです。

彼らがいなければ価格のボラティリティ(変動性)がもっと大きくなり、相場の暴落時の谷がもっと深くなるかもしれないのです。

自己利益を追求しよう

アダム・スミスの言葉の通り、これからFXを始めようと考えている人たちは「社会全体の利益の最大化」や「金融システムを支える」などを考える必要はありません。
ただ、自分の利益の追求のみに注力しましょう。
社会全体のことは「神の見えざる手」が自動的にやってくれるからです。

これまで「投機」「ゼロサムゲーム」「デイトレード」といった言葉に悪い印象を持っていて、自ら心理的なブレーキをかけていた人は、ぜひアダム・スミスの一節を読み返して、「投機」の社会的意義を確認してみてください。
心にブレーキをかけたままで、FX投資はうまくなりません。
「投機」家は資本主義経済において、大切な存在であり、誰も否定することのできない存在なのです。

sakou.jpg 岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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