「新型ウイルスと米大統領選の行方に注目」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年2月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のドル/円ポジション動向
・2月の日・米注目イベント
・ドル/円2月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のユーロ/円ポジション動向
・2月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 2月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 1月の推移

1月のドル/円相場は107.652~110.287円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.3%下落(ドル安・円高)した。

米軍によるイラン司令官殺害の報復として8日にイランが米軍駐留基地を攻撃した「イラン・ショック」で107.65円前後まで下落。その後、「イラン・ショック」が和らぎ、米中が通商協議の第1段階で合意すると17日には110.29円前後まで反発した。

しかし110円台では上値が重く、中国で発生した新型コロナウイルスへの感染が世界に広がり始めた「コロナ・ショック」の影響で、31日には108円台前半へと押し戻された。

約2.6円という狭いレンジの中ではあったが、悲観、楽観、悲観という市場のムードの変化に合わせて上下する方向感の定まらない展開であった。

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3日
米軍がイラクの首都バグダットを空爆し、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。イランの最高指導者ハメネイ師はその後、「司令官の殺害に対して容赦ない報復措置を取る」として米国への報復を強く示唆した。ドル/円はリスク回避の円買いで大きく下落。米12月ISM製造業景況指数が47.2と、予想(49.0)を下回り前回(48.1)から低下した事も重しとなった。

8日
イランが米軍駐留のイラク基地に攻撃を開始したとの一報を受けて軍事衝突への懸念が高まり円買いが先行。しかし、イランのザリフ外相が「イランは均衡の取れた措置を終了、戦争を求めてはいない」とツイートした事や、米メディアが「攻撃前の早い段階でイランから警告があり、米兵は防空壕や塹壕に隠れることができた」と報じ、トランプ米大統領も「イランの攻撃で米国人に死傷者はなかった」などと述べた事で、本格的な軍事衝突への警戒感が薄れ円が売り戻された。

10日
米12月雇用統計は、非農業部門雇用者数が14.5万人増(予想16.0万人増、前回25.6万人増)、失業率は3.5%(予想、前回ともに3.5%)であった。また、平均時給は前月比+0.1%、前年比+2.9%と予想(+0.3%、+3.1%)を下回る伸びに留まった。

13日
NY市場終了後に米財務相は半期に一度の為替報告書を公表。報道どおりに中国を「為替操作国」から除外し、「監視対象国」とした。なお、「監視対象国」には日本、韓国、ドイツ、イタリアなどの他、新たにスイスが加えられた。

15日
米中通商合意「第1弾」の署名式が米ホワイトハウスで行われた。トランプ米大統領は「そう遠くない将来に中国を訪問する」「合意が発効し次第、『第2段階』の交渉を開始へ」「すべての関税は第2段階の合意をまとめた時点で引き下げる」などと述べた。合意文書には、中国が米国の農産品やエネルギーなどの輸入を今後2年間で2000億ドル以上増やす事や知的財産権の保護に取り組む事、為替操作をしない事などが盛り込まれた。

16日
米12月小売売上高は前月比+0.3%と予想と一致。ただ、前月分が+0.2%から+0.3%へ上方修正された他、変動の大きい自動車を除いた売上高は前月比+0.7%と予想(+0.5%)を上回り、2019年7月以来の高い伸びを記録した。

21日
中国で新型コロナウィルスによる肺炎患者が増加し、死者が出た事などを懸念して、香港株が寄り付きから急落。日本株も急速に下げ幅を拡大する中、円が全面高となりドル/円は110円台を割り込んだ。

29日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利の据え置きを予想通りに発表。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は新型コロナウイルスの感染拡大は経済活動の阻害要因になり得るとして「非常に慎重に注視する」と述べた。また、「2%を下回るインフレ率に我々は満足していない」とも発言。米長期金利が低下するとともにドルが小幅に下落した。

30日
前日に武漢からのチャーター便で帰国した邦人3人のウイルス感染が確認された事などから、ドル/円はじり安となったが、世界保健機関(WHO)が中国の新型ウイルスの感染拡大について、国際的な「緊急事態」を宣言すると持ち直した。WHOが「中国との取引や旅行の制限は提言しない」などとした事から過度な警戒感が後退した。なお、この日発表された米10-12月期国内総生産(GDP)は、前期比年率+2.1%と市場予想(+2.0%)を上回る伸びを示した。ただ、GDPの7割前後を占める個人消費は+1.8%と予想(+2.0%)を下回り前期(+3.2%)から大幅に減速した。

1月の各市場

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1月のドル/円ポジション動向

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2月の日・米注目イベント

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ドル/円2月の見通し

中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続いており、2月2日時点で中国本土の死者が361人に上り、日本国内でも20人の感染者が出ている。市場では中国経済のみならず世界経済への打撃を気にする声が挙がり始めた。外国企業による中国拠点の操業停止や、航空会社の中国便運航停止が相次いでおり、中国経済の落ち込みは避けられないとの見方が強まっている。

2002年から2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)は、世界経済に400億ドルの損失を与えたとの試算があるが、中国の国内総生産(GDP)が当時の8倍前後に膨らんでいる事を考えれば世界経済への悪影響も当時の比ではないという事だろう。ただ、いまのところ、ウイルスの毒性は弱いと見られ、SARSと比べても重症化率や致死率は低い。また、豪州の研究機関が新型ウイルスの培養に成功したとの報道やタイの医師団が治療法を発見したとの報道もある。

現時点で収束を期待するのは時期尚早ではあろうが、世界保健機関(WHO)の「緊急事態」宣言から収束宣言までに4カ月を要したSARSより収束が早まる可能性はある。いずれにしても、2月のドル/円は、新型コロナウイルスを巡って神経質な相場展開となる公算が大きいだろう。

その他、2月には米国の大統領選挙戦が正式に幕を開ける。共和党、民主党の候補者選びが3日のアイオワ州党員集会を皮切りにスタート。市場では、民主党の候補者選びが注目されており、国民皆保険や大学無償化を掲げるサンダース氏や、大企業の解体などを主張するウォーレン氏の支持が高まる事が警戒されている。

2020年最大の市場テーマは米大統領選であるとの見方が多いだけに、緒戦の動向に注目しておきたい。(神田)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 1月の推移

1月のユーロ/円相場は119.779~122.874円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.3%下落(ユーロ安・円高)した。

年始の「イラン・ショック」の影響は比較的軽微に留まり120円台前半で下げ渋ると、16日には約半年ぶりの高値となる122.87円前後まで切り返した。

米中が通商協議の第1段階に合意した事で円安が進行した他、ラガルド欧州中銀(ECB)総裁が着手した「金融政策の戦略見直し」で、ECBの金融政策が正常化に向かうとの期待がユーロ高に繋がった。しかし、中旬以降は一転してユーロ安・円高が進行。中国を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、市場でリスク回避の動きが強まった上に、ECBの金融緩和スタンスに目立った変化が見られなかった事で失望的なユーロ売りも散見された。

27日には節目の120.00円を割り込み、30日には約2カ月ぶりに119.78円前後まで下落した。

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3日
米軍が空爆によってイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。イランの最高指導者ハメネイ師はその後、「司令官の殺害に対して容赦ない報復措置を取る」として米国への報復を強く示唆した。これを受けてリスク回避の円買いが強まった。なお、独12月消費者物価指数・速報値は前年比+1.5%と予想(+1.4%)を上回り、前月(+1.1%)から伸びが加速した。

6日
独11月小売売上高は前月比+2.1%と予想(+1.0%)を大幅に上回る伸びとなった。その後、独12月サービス業PMI・改定値が52.9と速報値(52.0)から上方修正された事もあってユーロが強含んだ。

7日
ユーロ圏12月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+1.3%と予想通りに前月(+1.0%)から加速した。ただ、米12月ISM非製造業景況指数の好結果を受けてドル買い・ユーロ売りが強まったためユーロ/円は弱含んだ。

8日
イランが米軍駐留のイラク基地に攻撃を開始したとの一報を受けて軍事衝突への懸念が高まり円買いが先行。しかし、イランのザリフ外相が「イランは均衡の取れた措置を終了、戦争を求めてはいない」とツイートした事や、米メディアが「攻撃前の早い段階でイランから警告があり、米兵は防空壕や塹壕に隠れることができた」と報じ、トランプ米大統領も「イランの攻撃で米国人に死傷者はなかった」などと述べた事で事で、本格的な軍事衝突への警戒感が薄れ円が売り戻された。

16日
ECBはラガルド総裁の下で初会合となった12月理事会の議事録を公表。メンバーの何人かは「現在の金融政策措置の副作用の可能性に注意が必要」と指摘。一方で「金融政策措置がユーロ圏経済に効果を及ぼす時間を与える必要がある」との見解も示された。

21日
独1月ZEW景況感調査(期待指数)が26.7と予想(15.0)を上回り、約4年ぶりの水準に上昇するとユーロが上昇した。しかし、新型コロナウイルス感染者が、米国で初めて確認された事で米国株が軟化するとユーロ/円は下落した。

23日
ECBは予想通りに金融政策の現状維持を発表。「インフレが目標に近づくまで政策金利を現行かさらに低い水準にする」とのフォワードガイダンスも維持した。その後、ラガルドECB総裁が記者会見を行い「基調インフレに緩やかな上昇の兆しがある」と述べた事に反応してユーロは一時上昇したが、その後は急反落。ラガルド総裁が「非常に緩和的な政策が長期に渡り必要」「必要ならあらゆる手段を講じる用意」などと表明した事でユーロ買いの機運が急速に萎んだ。

24日
独1月製造業PMI・速報値は45.2と予想(44.5)を上回り前月(43.7)から上昇。ユーロ圏1月製造業PMI・速報値も47.8と予想(46.8)を上回り前月(46.3)から上昇した。なお、独1月サービス業PMI・速報値は54.2(予想53.0)、ユーロ圏1月サービス業PMI・速報値は52.2(予想52.8)であった。ユーロは独1月製造業PMI・速報値の発表直後こそ買いがやや強まったが、その後は米国で2人目の新型コロナウイルス感染者が確認された事などから米国株が下落する中で反落した。

27日
独1月Ifo景況感指数(期待指数)は92.9と、予想(94.8)に反して前回(93.9)から低下した。新型コロナウイルスの感染拡大懸念も相まって欧州株が下げ幅拡を拡大する中、ユーロ安・円高に傾いた。

1月の各市場

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1月のユーロ/円ポジション動向

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2月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 2月の見通し

新型コロナウイルスの感染拡大が2月に入っても続いており、中国の感染者は17205人となり、死者は361人に増加している(2月2日時点)。リスク回避の動きは円高と同時にドル高を誘発する傾向が見られる事から、ユーロには下押し圧力がかかりやすいと考えられる。今後、事態に改善が見られなければ、ユーロ/円は昨年9月から今年1月までの上げ幅の半値押しにあたる119.37円前後を下抜けて、61.8%押しにあたる118.54円前後まで下落する可能性もあろう。

ただ、新型ウイルスは2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスに比べれば毒性が低い模様で、致死率については一般のインフルエンザより低いとの見方もある。感染の拡大にブレーキがかかれば、足元のリスク回避の反動でユーロ/円が反発する事も考えられる。上値メドは52週移動平均線が通る121.50円台となろう。これを上抜ければ122円台の回復も見えてこようが、ユーロ圏景気の回復力が期待ほど強くない中では、1月の戻り高値122.87円の更新は難しいと見る。

その意味では独2月製造業PMI・速報値や、1月に予想外の悪化となった独2月Ifo景況感指数にも注目したい。(神田)

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