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「為替ストラテジストが考える FX投資のアイディア」エミン・ユルマズ FX特別インタビュー(後編)

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今回はテレビでもお馴染み、複眼経済塾株式会社取締役・塾頭でエコノミスト兼為替ストラテジストのエミン・ユルマズ氏にインタビューしました。
中編では証券会社でのお話や、投資のエッセンスについてお伺いしました。後編では投資のポイントについてお話しいただいています。

▼目次

1.投資とはリスクマネジメントのこと
2.テクニカルだけでは投資判断はしない 
3.イナゴは上でも下でも佃煮にされるだけ

投資とはリスクマネジメントのこと

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PickUp編集部:
それでは投資のヒントについてお話を伺いたいと思います。FX初心者の方からトレード方法など様々な相談を受けると思うのですが、普段はどういう風に答えているんでしょうか。
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エミン:
FXの場合は、いわゆる長期ポジションを持っている方はたまにいますけれど、短期のトレーディングが中心の方が多いと思うので「持っている全てのお金でテーブルに座るな」っていう意味のバンクロールマネージメントの話をします。これはポーカーの用語です。例えばポーカープレイヤーであれば、配られるカードの内容など、自分でコントロールできないことがあるので「もしかしたら今日はちょっとアンラッキーかもしれない」と考えて場から離れたりします。FXでも、負ける事によって精神状態がダメになっちゃって、どんどんお金を失う可能性があるので、FX初心者の方には、1回のトレードで負ける額を決めた方が良いと言っていますね。
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PickUp編集部:
許容できる損失の額ですか?
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エミン:
そうです。どのくらい儲けるかよりも、自分はどれぐらい損に耐えられるか、最初から考えておく。そうするとですね、心に余裕が生まれて、何かあった時にも焦らず判断が出来ます。これは株よりもFXの方が重要だと思う。言い換えれば、ワントレードで、私は自分の資産の何%をリスクにさすのか決めるっていう事ですね。
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PickUp編集部:
全体のなかの割合から考えるというのは、わかりやすいです。
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エミン:
ワントレード、ワンポジションごとに考えましょう。一回のトレードで、ドル/円をロングした(買いポジションを持った)とき、自分の資産の何%をリスクにさらしているというのをちょっと考えると、例えば10%以上っていうのはやっぱりtoo much(大きすぎ)なんでね。損の額を限定しておけば、損しても気にならない。大きな勝負するようなトレードをしてしまうと、損したときに精神が相当やられるので、いけません。
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PickUp編集部:
これまで何度も話に出てきているポーカーですが、実力者のエミンさんでも負けが続く事はあるんですか?
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エミン:
ありますよ。するとね、ポーカーでティルトって言うんですけど、合理的な判断ができなくなり、感情的になった状態になるんです。投資家さんもよくなる状態なんですよ。だからこれは、不運でたまたまストップロスに引っ掛かって、その後相場がもとに戻るような値動きとか、良くあるじゃないですか。そういうのってすごいイライラするので、ティルトしてしまう。なんとか損を取り戻そうと思ってイライラして、もっと無茶なポジションを取ったりとかしがちなので。だからこそ1回のトレードで許容できる損は決めておく。 後は、トレードをゲームだと思わないこと。勝ちや負けにこだわってしまうと、1回1回結果が出せなくなるものですので。 FXでも長期ポジションを取るなどしてある程度の余裕持って、大局観を持って動くっていう手もあります。
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PickUp編集部:
新規ポジションを持って決済するまでのトレード期間について、おすすめなどはありますか?
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エミン:
どの機関が良い悪いなどは無いので、一人一人のスタイルの問題だと思います。 さらに言うと、逆張りが良いとか順張りが良いとかそういうのはないですね。やり方はその場その場で変わるものです。ただスタイルを確立させて、その中でどれぐらいのリスクを取るかっていうのは、あらかじめ決めておくのは重要です。リスクマネジメントですね。実際に投資しているとリスクマネジメントが一番重要だと気づきます。後は負けたとしてもそこはあんまり深く考えない。精神的にやられちゃダメです。損を取り戻そうとしちゃいけない。
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PickUp編集部:
エミンさんがFXのトレード判断するときは、どのようにしているんでしょうか。
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エミン:
今の為替の場合は大局観を持つ必要がある局面にきています。イベントドリブンっていうよりも、やっぱり全体的に、米中政治ネタで結構相場が動いているので、おおきな流れを見ないといけません。最近だと、ドル/円が109.50円くらいまで上がったのにその後下がったじゃないですか。それっていうのは実は大豆の先物価格を見ていて、ずっと下がっているから、これは多分、米中の貿易合意はまだできないことを織り込んでいると判断をするわけです。そうすると109.50円ぐらいを越えると、もう普通にドル/円をショートしやすくなる。

やっぱりニュースというか全体の状況、ファンダメンタルズとは違うかもしれませんけれども、趨勢をしっかり確認しておくのも大事ですね。

テクニカル分析だけでは投資判断はしない

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PickUp編集部:
何かテクニカル指標で普段からチェックしているものはありますか?
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エミン:
基本的なテクニカル指標など、いろいろ見ています。MACDも見ていますし、RSIも見ていますよ。ただ、テクニカル分析だけでは投資判断はしないです。参考にしているだけですね。
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PickUp編集部:
テクニカルやファンダメンタルズなどを見ていて、自分で決めた判断材料が全部条件が揃ったらトレードするという方もいますけど。
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エミン:
テクニカル分析は、まあ参考程度ですね。過去のパターンのとおり相場が動いて、テクニカル分析で100%相場が動いたら、我々はマシーンに勝てないので困りますよね。
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PickUp編集部:
た、確かにそうですね。
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エミン:
マシーンは我々人間より何百パターンも早く認識できるのでね。だからテクニカル分析は参考としては使える程度です。テクニカル分析だけでトレーディングはしない方が良いと思います。

これは有名な話ですが、「ブラックスワン」を書いたナシム・ニコラス・タレブが言うには、「為替が月曜日に上昇する」という現象があったら、その上昇って言うのは長く続かないとのことです。みんなが、「為替が月曜日に上昇する」現象に気づくので、気づいた途端に月曜日に上がらなくなる。何故かと言うと今度は金曜日にみんなポジション取っちゃうから。逆に月曜じゃなくて金曜が上がることになる。単純に言うと、そういう事ですね。

イナゴは上でも下でも佃煮にされるだけ

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PickUp編集部:
トルコリラなどの高金利通貨について、注目点を教えてください。
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エミン:
高金利通貨っていうのは政治的また地政学的なところで通貨を大きく動かすので気にしたほうがいいですね。例えばトルコリラの場合は、2018年8月のトルコリラショック、アメリカの経済制裁がきっかけになって30%ぐらいの下落が一気に起きた局面がありました。高金利通貨はそういうリスクはありますね。逆に、30%急落したところで買った人達っていうのが、いま利益出てる方が多いんです。つまり新興国通貨は、主要通貨に無いボラティリティを提供しているという意味では魅力はありますし、かつスワップポイントが非常に高いという意味でも魅力があります。その意味では政治情勢の動きをフォローしながら、取引をしたほうがいいですね。ただ単に経済指標の結果で動くような特性ではないです。その意味ではやっぱりファンダメンタルよりも、ちょっとそのほか諸々の理由、地政学、政治理由で動く事っていうのは結構多いです。

後はですね、一定期間安定していて、その後ガッと下がるという特徴があるので、安定している期間にスワップポイントを得て、ちょっときな臭くなった時には少しポジションを外して、また下がった時に買いに行くみたい、ちょっと細かくやらないといけない場面もあります。
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PickUp編集部:
はい、では今回のロングインタビューも最後です。エミンさんが大事にしている相場格言などはありますか?
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エミン:
これは私が考えた格言ですが、「ブルは強気相場で、ベアは弱気相場で儲けられる、イナゴは上でも下でも佃煮にされるだけ」
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PickUp編集部:
イナゴになってはダメよということですね(笑)。
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エミン:
そうです。だからちゃんと自分の頭で判断して、なんとなくではなく、ちゃんと勉強して投資はやった方が良い。これは英語で、Bulls Make Money, Bears Make Money, Pigs Get Slaughtered. っていうのが元なんですけどね。ブルもベアも儲けられるけど豚は殺されるって言うところで、最後をアレンジしました。イナゴっていうのは、上でも下でも佃煮にされるだけだよっていうのを日本風に表現しています。
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PickUp編集部:
豚は能力が無いとか、そういう意味なんですか?
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エミン:
多分そういう意味じゃないですかね。豚が何も考えないで、Pigs get slaughtered. って英語でそう言うんだけど。私はPigsっていうのは可哀想なので日本語でイナゴって表現があるので変えました。 トレードスタイルにエッジが効いていれば、順張りでも逆張りでも、投資は問題ございません。短期でも僕は否定しない。ただし、ちゃんと自分の頭で考えて投資して物の価値を見て、自分で許容できるリスクをちゃんと分かってやらないと、ただ流されただけで終わるみたいなことです。僕ら市場関係者としても、個人投資家の皆さんがいなくなってほしくない、退場だけはしてほしくない。個人投資家が儲かると市場全体も盛り上がります。この記事をお読みの個人投資家の方、仮に今少し損出たとしてもチャンスは必ずありますので頑張って。やっぱり相場で生き残る事っていうのは凄く大事です。
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PickUp編集部:
本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

PickUp編集部より

3回にわたりお聞きした今回のインタビューも最後になりました。驚きの青年時代から、来日のきっかけ、証券会社での業務で磨かれた真の価値を見極める方法、そして投資のポイントについて幅広く伺いました。エミンさんの魅力が詰まった濃厚なインタビューとなりました。

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f:id:gaitamesk:20191205123319p:plainエミン・ユルマズ氏
エコノミスト 為替ストラテジスト
複眼経済塾株式会社 取締役・塾頭
トルコ・イスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックに優勝。翌年日本に留学し、1年後に東京大学一類に合格。 東京大学工学部卒業。同大学院にて生命工学修士を取得。 卒業後、野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務、機関投資家営業業務などに従事。 2015年に四季リサーチに入社、2016年に複眼経済塾取締役・塾頭に就任。 現在、トルコ国立報道機関アナトリアンエージェンシーの専属アナリストも務めている。