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「ジョージ・ソロスに見たマーケットの真実」井上義教 FX特別インタビュー(前編)

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今回は「明快!テクニカルレビュー」「チャートリーディング FX Weekly Technical Report」 などでお馴染み、株式会社チャートリーディング代表の井上義教氏にインタビューしました。
井上氏がディーラーに憧れたきっかけや日本経済がバブルだった時代のお話、そしてロンドンへの赴任で感じたことなど、様々なお話をお伺いしてきました。

▼目次

1.学生時代
2.ディーラーに憧れて
3.最初はリクルーターでヨーグルトを食べる日々

学生時代

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PickUp編集部:
本日は、よろしくお願いいたします。早速ですが、井上さんの大学生時代について伺います。どんなことをしていたんですか?
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井上:
「パチンコ」を、勉強と同じくらい熱心にやっていましたね。
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PickUp編集部:
意外ですね。
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井上:
当時は、新装開店で開店前から並んでいればよい時代だったんです。「マーケット的に言うと、リスクとリターンが極端に偏っていた」ということなのでしょう。今のようにインターネットですぐ情報が伝わることが無かったので、簡単に攻略できる機種があっても、攻略法がしばらく有効だったんですよ。思えば、当時から、私はマーケットの歪んでいるところを見つけて、ほぼノーリスクで儲けるということに興味があったようです。

効率的にお金を増やすため、1時間アルバイトして1000円もらうのと、パチンコ屋で座って1万円相当の景品がもらえるのと、どっちが効率がよいかを当然考えますよね。理屈としてはそういうことです。
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PickUp編集部:
学生時代からお金に対する意識が高く、どう効率的にお金を得るのか、増やすのかは常に考えていたんですね。
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井上:
そういうことなのかもしれません。

ディーラーに憧れて

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PickUp編集部:
大学卒業後、大和銀行へ入行されたきっかけは何だったのでしょうか。
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井上:
はい、大学の先輩が債券(日本国債)のチーフディーラーとして活躍されていらっしゃったんです。自分もディーラーになりたいと思ったのがきっかけです。
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PickUp編集部:
そのとき、他の業界に進む予定は無かったんですか?
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井上:
当時はバブル景気の真っ最中ですから、どの業界も学生は引く手あまたでした。家にいると企業の採用担当者からの電話が鳴りやまないので、ずっと外出していたくらいです。正直、どこでも就職できるので、将来のことをしっかり考えるという切迫感が生まれなかった(笑)。

そんなとき、1年上の先輩に呼ばれ、大和銀行のディーリングルームを訪問したんです。これがショッキングでした。だって、売ったり買ったりのディーリングをしているだけで、あとは他に何もしない、みたいな世界だったので。銀行でこんなことが行われていたことを知らなかったんです。
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PickUp編集部:
がぜん銀行に興味が出てきたんですね。
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井上:
そうですね。他の銀行の方からは、マーケット業務の話はお伺いできませんでしたので、この銀行に入りたいな、という気持ちが高まるばかりでした。

最初はリクルーターでヨーグルトを食べる日々

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PickUp編集部:
銀行に入って最初の仕事はどんな感じでしたか?
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井上:
入行して初めての仕事は、次の年の卒業する学生と会ってリクルーティングすることでした。学生と喫茶店で会って、銀行の説明をするというものです。1日に7回くらい、喫茶店と銀行の本店を往復するんです。
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PickUp編集部:
ちょっと待って下さい。7回?本店に報告をするんですか?
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井上:
ええ。文字通り、喫茶店と本店をピストン運動します(笑)。喫茶店のメニューにあるブルーベリーヨーグルトを何回食べられるかというチャレンジをしていました(笑)。

内定が出た学生にも同行し、エビのフルコースを振る舞っていましたけど、何度もエビのフルコースを食べるうちに、私はエビが食べられなくなってしまいました(笑)。
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PickUp編集部:
・・・。新卒一年目の前半は、ヨーグルトとエビが思い出なんですね。
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井上:
その後、支店に配属されました。当時は、バブル真っ盛りの頃で、過剰流動性を背景に「貸せ貸せどんどん(金なら、本店にいくらでもある!)」という時代でした。かなりムチャもしましたが、今となってはよい思い出です。

ただ、その後、「総量規制」という、不動産業者への融資を絞るという政策決定が行われた頃から、「バブルが崩壊する」という現象を間近で見ることができた点は、自分にとってすごく勉強になりました。
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PickUp編集部:
さて、日本での支店営業の後、海外へ赴任されたそうですが、そのあたりの経緯を聞かせて下さい。
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井上:
支店で営業しながら、ディーリングルームに早く行きたいという思いは強かったんですが一足飛びには行けませんので、「まずは海外へ行くしかない」と思っていました。なので営業を本当に頑張り、英語の勉強もそこそこ頑張っていました。そのお陰もあってか、入行から2年ほど経ったとき、急に辞令が出て、でロンドン勤務が決まったんです。やったぞ、これで今の仕事から抜け出せる、と安心したのを今でも覚えています。
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PickUp編集部:
おめでとうございます。
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井上:
ありがとうございます。それで、1991年からロンドンへ行くんですが、その前に2カ月ほど籍を置かせてもらった年金信託運用部での経験は、かなり貴重なものでした。年金で預かった資金を運用するため株や債券、不動産といった、色んなものに投資するんですけど、株を買うとき、運用成績をよくするためより安く買おうとするのかなと思いきや、先輩の皆さんは朝からいきなり成行で株を買ったりしているんです。驚いてなぜかと聞いてみたら「どこで買っても成績は変わらないから」という話でした。要は、下がったところを買いたくても、下がらないと買えないのだから、買おうと思ったらその瞬間にその値段で買うのが大事であると。トータルのリターンで見たら、値下がりを待って買うのと比べても大して変わらないということに気づいたんです。これは、私にとって非常に大きな気付きでした。
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PickUp編集部:
そうなんですね。では、ロンドン赴任のときのお話を伺います。
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井上:
1991年に赴任しまして、1992年の9月に、ジョージ・ソロスがイングランド中央銀行を打ち負かした事件が、ロンドンの思い出で一番大きなものです。
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PickUp編集部:
当時からジョージ・ソロス氏は有名だったんですか?
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井上:
はい。ファンドマネージャーとして、飛ぶ鳥を落とす勢いでよく知られていましたね。ただ、相手が英中銀では、さすがに負けるだろうと思っていました。

しかし、英中銀がポンドを買い支える資金を集めると、ジョージ・ソロスも色んなところから資金を集めてきて、対抗していました。結果はご存じの通り、ソロスが勝つんですが、決着のついた最後の日に、「英中銀は介入することを放棄した」と情報ベンダーの画面に出たんです。放棄したと聞いても、明日どうなるのか、想像ができませんでした。
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PickUp編集部:
最近ですと、2015年のスイスショックと似た感じでしょうかね。
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井上:
ええ。構図としては同じですね。英中銀が負けるなんて、こんなことが起きるんだな、と頭を殴られたかのようなショックでした。考えてみると、ジョージ・ソロスだけの力ではなく、ソロスの側についた多勢があったことも大きかったんじゃないかと思っています。FXでもそうで、相場の均衡の崩れる瞬間に強い方に付くのが大切です。
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PickUp編集部:
英中銀VSジョージ・ソロスを見ていて、相場に入るタイミングの大事さを知ったということですね。
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井上:
もうひとつショックを受けたことがあります。勤務していたビルが爆破されたんですよ!
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PickUp編集部:
えっ!
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井上:
もう、飛行機が突っ込んできたのかと思うくらい、バーンと爆発しました。IRAの爆弾がビル前で爆発したので、爆風ですべてのフロアの窓ガラスが全部吹き飛びました。
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PickUp編集部:
うわ・・・
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井上:
私たちは6,7人で仕事をしていたんですが、天井が落ちてきて、同僚は頭を怪我して血を流していました。
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PickUp編集部:
・・・。
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井上:
その時のことよく覚えていますよ。「みんな冷静になろう、頭から血が出ているときは何をしたらいいんだろう・・・そうだ、頭を高くしなければいけない。・・・! 『枕』を探そう!」となり、全員で枕を大捜索(笑)。枕なんて、職場にあるわけないのに。
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PickUp編集部:
冷静じゃなかったんですね(笑)。
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井上:
ほんと、ショックすぎて混乱していました。ただ、この時に私は思い知ったのです、「何が起きても、どんな時でも、冷静に対処しなければいけない。」ということを。この事件のお蔭かどうかは分かりませんが、私は、どんな相場を目の前にしても、冷静になれるようになりました。
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PickUp編集部:
ショック2連発でしたが、通常業務はどのようなものだったんでしょうか。
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井上:
主な業務は、日本時間の夕方に間に合うよう、早い時間から出勤して、NYタイムも相場を見て、東京タイムが開けるまで会社に居ることも多く、労働時間は短くありませんでした。Tボンド先物のトレードでアウトライトのデビューをしましたが、当時の記憶は全くありません。勝ったか負けたかも覚えていません。恐らく、その時は、「本気でやっていなかった」のだと思います。
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PickUp編集部:
その後、日本に帰った後のことをお聞かせ下さい。

PickUp編集部より

ロンドンでの一番大きな出来事は「イングランド銀行を潰した男」の異名を持つジョージ・ソロスの、イギリス政府の為替介入に対抗しポンドへ空売りを行い、15億ドルとも言われる利益を得た出来事だと仰っていました。そこで、「相場の均衡の崩れる瞬間に強い方に付くのが大切」であることを学ばれた井上氏。中編では帰国後に晴れてディーラーデビューとなりますが、いったいどのような出来事が待ち受けているのでしょうか。また、テクニカル分析についても掘り下げます。

 

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井上義教 氏
株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。