「米大統領予備選挙=混戦予想から一転 バイデン候補圧勝へ」ジャーナリスト 中岡望 米大統領選2020

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米大統領予備選挙=混戦予想から一転、バイデン候補圧勝へ

民主党の大統領予備選挙の動向は当初予想されたものとは様変わりになっている。

立候補者数が史上最高を記録し、混戦模様が予想されていた。大統領候補の決定は7月の党全国大会まで持ち越され、決選投票になるのではないかとみられていた。
その中で世論調査で他の候補を大きく引き離す支持を得ていたのがバニー・サンダース候補であった。同候補は自らを「民主社会主義者」と称し、医療保険は国民の基本的人権であると主張し、国民皆保険制度の導入を主張していた。それ以外にも公立大学の授業料無料化や学生ローン債務の免除など過激な政策を掲げ、若者世代の圧倒的な支持を得ていた。同様な左派よりの主張を展開していたのが、エリザベス・ウォーレン候補である。

こうした政策が大きな支持を得ている理由は、世代間の所得格差の拡大にあった。この数十年、大学の授業料は大幅に上昇し、学生ローンを借りなければ大学に進学できない状況になっている。アメリカは“学歴社会”で、大卒でなければホワイトカラーの仕事に就くのは難しく、管理職に就くには修士号が不可欠となっている。

だが、大学を卒業してもローンを返済するだけの給料のある仕事に就くのが困難な状況にある。学生ローン残高は最近時点で1.6兆ドルにも達している。確実に親の世代よりも生活水準が低下しており、アメリカン・ドリームは実現できない本当の夢になっている。彼らは、資本主義に失望し、社会主義に望みをかけているのである。


こうしたサンダース候補の民主社会主義の主張に対して、トランプ大統領は大統領選挙で「社会主義」を選挙の争点にする意向を示している。

アメリカでは、若者の間では社会主義に対するアレルギーはそれほど強く存在しないが、多くのアメリカ国民は社会主義に対して根強いマイナスのイメージを抱いている。民主党はトランプ打倒を大統領選挙の最優先課題に掲げている。

だが、党エスタブリッシュメントは社会主義政策を主張するサンダース候補は“勝てない候補”とみていた。それだけでなく、サンダース候補を担げば、議会で議席を減らすのではないかという懸念も抱いていた。支持者の間でも、政策で候補者を選ぶのか、トランプ大統領に勝てる候補を選ぶのか大きく分かれていた。
党首脳の意向を受けて立候補したのが、穏健派といわれるジョー・バイデン前副大統領である。だが同候補は公開討論会などで主張に冴えがなく、人気が上昇しなかった

2月末に状況が大きく動いた。バイデン候補はそれまでの受け身の選挙運動から攻めに選挙運動に方向を転換、2月29日のサウス・カロライナ州の予備選挙でサンダース候補に勝利を収めた。この勝利をうけ、中道派候補のピート・ブティジェッジ候補、エイミー・クロブシャー候補、マイケル・ブルームバーグ候補が選挙運動からの撤退を表明し、それぞれバイデン候補支持を表明した。

その結果、3月3日に15州で同時に選挙が行われるスーパーチューズデーでバイデン候補がサンダース候補に圧勝した。それを受けてウォーレン候補も選挙から撤退を発表。政策的に近いサンダース候補支持を表明するのではないかという予想に反し、同候補はバイデン支持かサンダース支持の立場を明確にしなかった。サンダース候補はウォーレン候補の支持を得て若者層の支持者を活性化するチャンスを失った。

サンダース候補はその後もバイデン候補の後塵を拝した。3月19日時点の獲得代議員の数は、バイデン候補が1,178、サンダース候補が881である。大統領候補指名に必要な代議員の数は1,991で、サンダース候補がバイデン候補を上回ることはほぼ不可能になっている。ただサンダース候補はまだ敗北宣言をしておらず、予備選挙は続くことになる。

大統領予備選挙が為替相場に与える影響は極めて限られている。まずコロナウィルス問題が株式市場、為替市場で最大の関心事となっている。またサンダース候補が敗北濃厚になったことも市場へのインパクトがなくなっている。

市場が注目するのは、コロナウィルが実体経済に与える影響、各国が講じる金融財政措置の内容であろう。短期的な為替市場の動向に限って言えば、景気の先行き不透明で、各企業は手元流動性を積み増す動きを見せており、ドル資金需要が高まり(ドル・スクイーズ)が起こっており、当面はドル高傾向に推移すると予想される。

f:id:gaitamesk:20050928094155j:plain 中岡 望 氏
ジャーナリスト、元東洋英和女学院大学副学長 国際基督教大学卒。
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て1973年東洋経済新報社に入社。『週刊東洋経済』編集委員、『会社四季報』副編集長などを務め、2002年退社。フリーのジャーナリストへ。 1981~82年フルブライト・ジャーナリスト、ハーバード大学ケネディ政治大学院フェロー。1993年、ハワイの大学院大学イースト・ウエスト・センターのジェファーソン・フェロー。2002~03年、ワシントン大学(セントルイス)ビジティング・スカラー。東洋英和女学院大学教授(国際経済学、公共選択などを担当)、同大学副学長を経て、2016年より現職。ジャーナリストとしても、様々なメディアに寄稿、本の執筆、講演活動を展開。
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