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ドル高の要因は二つ、期末も絡む

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総括

ドル高の要因は二つ、期末も絡む

ドル円=108-113、ユーロ円=117-122 、ユーロドル=1.04-1.09

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨3位、株価11位、ドル高の要因は二つ」
日本は3.1兆ドルの対外純資産国(19年末110円)、米国は10.9兆ドルの対外純債務国(19年3Q)。リスク回避が起きれば、世界中から壮絶なドル売りが起きそうな気もするが、実際起きていることは正反対だ。
中味を見る。日本は対外資産が9.3兆ドル、負債が6.2兆ドル、米国は資産が28.3兆ドル、負債が39.2兆ドル。日本の債権では株より債券のほうが多い。債券は満期まで保有する投資家が多い上、金利低下傾向にもあり処分はしない。また日本人は臨機応変に損切せず我慢しがちだ。株は損失を最小限にするために売り浴びせていくこととなる。一方、米国の資産は日本の3倍以上あることに加え、株の割合が大きい。こうなると日本が海外に投資している株を処分し他通貨売り売り円買いを行うより、米国が海外の株を処分してドル買い他通貨売りを行うほうが圧倒的に大きい。米国人の行動は速い。従って世界中でドル買いがドル売りより多く出て3月のドル相場の動きを支えている。これまでも米株が下落する時に、米株の損失を補填するために海外資産を売却しドル買いを行っていたことはあったが、このように大規模でそれが起きていることは初めてかもしれない。
 また3月は日本にとっては年度末、海外にとっては四半期末なので末超えの金利が上昇する。98年の日本の金融危機(日本の銀行破たん)の時にもマネーでドルを調達できなかった銀行が円資金をドルに換えたことがあったが、それもドル高要因。ただこの期末要因は4月になれば剥げ落ちる。また米国投資家の海外資産の損切によるドル買いも、永遠に続くわけではないのでいずれ収束するだろう。
(参照:財務省本邦対外資産負債残高、米国U.S. International Investment Position Tables)

 さてG7、G20協調の金融緩和策や景気刺激策が打ち出されている。原因はウィルスだけあって、従来の金融危機と違って効果は出にくいが、続けていくしかないだろう。止めればさらに悪化する。景気対策を出しつつ、抑制効果のあるワクチンの完成を祈るしかない。その点がこれまでの金をつぎ込めばなんとかなる経済危機と違うところだ。我慢し続けるしかない。日本はリセッション必至の状況だが、景気対策が遅れていることは否めず、日本株売りに繋がっている。米国のリパトリが終わっても景気対策の遅れが続けば、株安円高の元の傾向に戻ることとなる。救いは、2016年以降は貿易収支が均衡しており、為替の大きなブレがなくなっていることか。テクニカルでは週足がボリバン上限に達し一息ついている。

*米ドル「通貨首位、株価(NYダウ)12位、大規模経済対策と不安心理が交錯」
  米ドルは強く、年初来で最強となった(ドル高の要因は円の項で詳述させて頂いた)。米政府が打ち出そうとしている1兆ドルの景気刺激策や特定企業への政府出資に支持は市場に好感された。ただ悪いニュースが追い打ちをかける。感染者や死者の増加、ムニューシン財務長官が失業率が20%に達する恐れがあると発言したこと、ゴールドマンが2Q成長率はマイナス24%で歴史的落ち込みへ向かうと予想、海外渡航中止求める勧告やNY州での労働者の在宅勤務命令などが次々と出れば市場も嫌気を差し株価下落に繋がっている。前述の株売りの損失補填のためのドル買いは来期になれば次第に落ち着いてくると思う。またトランプ大統領も現在はコロナウィルス対策で忙しいが強含み推移するドル相場にいつ何時警告を発するかもしれない。
 もう一つ気になるのは、 全米銀行協会(ABA)やシカゴ・オプション取引所(CBOE)など全米の金融業界や各市場の団体が、新型コロナウイルスの流行が続く中、投資家心理の下支えには米金融市場を閉鎖しないことが重要とする共同声明を発表したことだ。声明が出たことによって却って不安感が醸成されてしまう。

*ユーロ「通貨5位、株価13位(DAX)、指標悪化、成長見通し引き下げで下落」
 2月20日から出てくる経済指標が好調で対ドルで1.15近くまで上昇していたが、3月9日の弊誌で既述だがボリバン上限を上抜き、反転下落した。8連続陰線で漸くボリバン下限で下げ止まった。コロナウィルス感染の主要舞台が中国から欧州に移ったこともある。経済指標も悪化し始めた。指標が良ければ上昇、悪化すれば下落と、円と違って素直な動きである。独IFO企業景況感は3月に急落した。独経済は世界金融危機以来の深刻なリセッションに向かっている恐れがある。景況感指数は87.7と、約10年ぶりの水準に低下。ZEW景気期待指数も悪化した。ドイツ銀行は2020年の経済成長率見通しをマイナス4-5%に引き下げた。従来予想はマイナス1-2%だった。
ECBが新型コロナウイルス感染拡大による経済への悪影響に対応するため、量的緩和政策を年末まで1200億ユーロ拡大すると決定したが政策金利は据え置いたことも出し渋りの感もあり裏目に出た。
後手に回ったが、ラガルドECB総裁は、利用できる全ての手段を使って通貨ユーロを守る考えを示し、ユーロへのコミットメントに「制限はない」と表明した。

*ポンド「通貨8位、株価11位、感染拡大、EUとの交渉不調」
英中銀は3月11日、政策金利を0.75%から0.25%へ緊急に引き下げた。さらに19日政策金利を0.25%から0.1%に引き下げ、債券買い取り枠を拡大すると発表した。新型コロナウイルスの流行による英経済への影響を緩和する。また英政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内の飲食店やパブ、劇場などの一時閉鎖を命じた。事実上の外出禁止令となる。同時に、企業による解雇を防ぐため、余剰となった労働者の賃金の最大80%を政府が負担すると表明した。イタリアやフランスなどでは既にほとんどの店舗が閉鎖されているが、英国もこれに追随する。新型ウイルスによる全面閉鎖は欧州の主要国に広がっている。
 英のEUの離脱後交渉では離脱後の激変緩和のために設けた12月末までの移行期間について、延長を求める声が欧州で高まっている。英国とEUが年末までに今後の関係で合意することはもともと難しかったが、新型コロナウイルスの感染拡大で欧州では一部の国で移動制限が導入されており、交渉がさらに難航している。先週予定されていた協議は新型ウイルスの影響で中止された。年末までに妥結できるわけがないと非公式に発言するEUの外交官や当局者が増えている。テクニカルでは8日連続で続いた対ドルでの陰線も先週末は陽線となりボリバン内へ戻している。

*豪ドル「通貨10位、株価7位、積極的政策打ち出す、豪ドル安は厭わない」
 RBAは3月20日、前日発表した量的緩和策(QE)に基づき、導入初日に総額50億豪ドルの国債を購入した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的な打撃の緩和を目指す。RBAは19日に政策金利を過去最低の0.25%に引き下げた。RBAは「政府は財政政策で応える必要がある。中銀が利回りを0.25%に維持するため短期債を購入できるよう、政府は国債を増発する必要がある」と指摘した。RBAは、短期金融市場のドル資金ひっ迫を和らげるため、FRBと通貨スワップ協定も結んだ。デベルRBA副総裁は「最近の豪ドル安は経済を刺激するのには役立つ」と発言している。モリソン豪首相は、既に発表ずみの170億豪ドルの財政出動に加え、追加の景気対策を講じる考えを示している。
 2月雇用統計は、失業率が5.1%に低下した。予想は5.3%と、前月からの横ばいを見込んでいたが、予想外に改善した。就業者数は前月比2万6700人増え、予想の1万人増加以上に拡大した。
2月の小売売上高は、前月比0.4%増加した。新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、日用品や食品などを買いだめする動きが広がった。
小売売上高は昨年12月と1月に減少していたが、食品を中心に売上高が増加し、プラスに転じた。
 さて1Qの経済成長見通しはマイナス成長の予想が多い。

*NZドル「通貨9位、株価3位、リセッション回避で景気対策強化、NZドルは下げ止まり」
 19年4Q・GDPは前期比0.5%増と、伸び率は3Qの0.8%(改定値)から鈍化した。足元では新型コロナウイルス流行を受け、リセッション入りのリスクが高まっている。予想の0.4%増を若干上回った。
前年同期比の成長率は1.8%と、前期の2.3%から鈍化した。
 政府は、当局は20日、市場への金融支援を拡大するとともに、国内航空会社の救済に乗り出した。リセッションに陥る事態を回避するため、対策を強化した。
中銀は、家計や企業への融資拡大に向け、銀行に期間最大12カ月のタームローンを提供すると発表。通貨スワップ市場や政府債市場に流動性を供給する方針も表明した。
NZの新型ウイルス感染者は20日に30%超増加し、39人となった。死者はこれまでのところ出ていない。感染拡大の食い止めに向け、外国人の入国を全面的に禁止し、集会に関して厳しい制限を設けている。
同国は新型ウイルスによる影響でリセッション入りがほぼ確実視されており、大幅な雇用喪失や企業の破産を招く恐れがある。

テクニカル分析

*ドル円=「週足、ボリバン上限到達」
日足、ボリバン上限へ近づく。3月19日-20日、18日-19日の上昇ラインがサポート。ボリバン上限は112.30あたり。5日線上向き。
行き過ぎのボリバン下限下抜きからは戻す。
週足、ボリバン上限越えから一気にボリバン下限下抜き。しかし戻しも速く大きく打ち返しボリバン上限に到達。3月9日週の長い下ヒゲが効く。3月9日週-16日週の上昇ラインがサポート。
月足、19年9月-20年1月の上昇ラインを下抜くも上抜き返す。上ヒゲの長い2月の月足で3月は下落スタートで一時ボリバン下限を下抜く3月もここまで下ヒゲで大きく打ち返す。
年足、4年連続陰線だが陽転。16年-19年の上昇ラインを下抜くも。16年-17年の下降ラインを上抜いた。

*ユーロドル「8連続陰線でボリバン下限で下げ止まる」
日足、ボリバン上限上抜きから8連続陰線で漸くボリバン下限で下げ止まる。3月19日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、大陰線。ボリバン上限上抜いたところから急反落でボリバン下限下抜く。3月9日週-16日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、2月はボリバン下限で下げ止まり長いヒゲで戻し3月の上昇に繋がるも、上ヒゲで打ち返される。ボリバン下限下抜く。
年足、2年連続陰線。今年も陰線スタート。17年-19年の上昇ラインを下抜く。02年‐17年の上昇ラインがサポートだが危うし。14年‐18年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロ円=「2週連続で週足は下ヒゲ」
日足、ボリバン下限から反発も上位へ行けず20日線で跳ね返される。3月19日-20日の上昇ラインがサポート。3月13日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、2週連続で長い下ヒゲだすも伸びきれずボリバン下限で越週。3月9日週-16日週の下降ラインが上値抵抗。3月9日週-16日週の上昇ラインがサポート。
月足、19年9月-10月の上昇ラインを下抜く。20年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-19年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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