“ドル争奪戦。”

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先週のレポートで、前週のドル・円相場の動きを受けて、“安値101.19、金曜日には高値108.49を付けて実に7円30銭の値幅を付けると言う怒涛の1週間となった。”とやや自嘲的な感想を述べたが先週もそれに劣らぬ動きを見せ、ドル・円相場は週初の安値105.14から金曜日の高値111.50と6円36銭の値幅を付けた。
この2週間で安値101.19から高値111.50の10円31銭の値幅を記録し、既に昨年1年分の7円96銭のレンジを軽く破ってしまった。

それにしても凄まじい値動き、いやドルの上昇であるがその背景を探ってみたい。

-保有資産の売却とポジションの巻き戻し。

ダウ30種平均株価は2月12日の高値29,551.42ドルから先週金曜日の終値19,173.98ドルへと10,377.44ドルへと約35%の大幅な下落を記録したが、商品価格も大きく下落している。
2月12日と先週金曜日の価格を比較すると一時“有事の買い。”で買われていた金でさえ1,571.6ドルから1,484.6へと870ドル(約5.5%)下落し、原油価格に至っては51.17ドルから22.63ドルへと28.64ドル(約56%)も下落した。
同じくリスク回避の目的で一時0.3%台にまで下落した(価格は上昇)米国10年債の利回りも一時1.183%まで上昇し(価格は下落)、投資家による保有資産の売却が顕著となった。

何故こういう現象が起きたのか?
今回の株価、債券価格、そして商品価格の下落で全世界で総額12兆ドル(約1,400兆円)のマージン・コールが発生したと言われており、投資家(投機家?)が一斉にドルの調達に入り、価格下落=さらなるマージン・コール発生=さらなる保有資産売却=さらなる価格下落の負のスパイラルが起きたのではなかろうか?
そしてドルの争奪戦が始まった。

我々が金融取引を行う場合、信用リスク(取引相手の信用度を計る。)、レート・リスク(相場が上下するリスク。)、そしてリクイディティー・リスク(取引する際の市場の流動性の高低、或いは有無。)を考えるが、通常はレート・リスクを一番重要視する。
言い換えれば相場の上下に一番気を使う。
ところが今回のコロナ・ウィルス騒動の様に、突然市場が大荒れに成ると保有資産の売却が出来るのか、或いは保有するポジションの反対取引が出来るのかが最も重要な要件となる。
そしてリクイディティー(流動性)が有る限り、売却と反対取引が続き当然価格が一方向(今回は下げ方向)にオーバー・シュートすることになる。

-中央銀行の外貨準備調整。

今朝、対ドルでインド・ルピーが史上最安値を更新したニュースが流れたが、今回のドル上昇の煽りで新興国通貨の下落が激しい。
インドは約4,700億ドル、お隣の韓国は約4,000億ドルの外貨準備を保有するが、これらの国々は通貨防衛の為に自国通貨買い&ドル売り介入を行う。
外貨準備の構成はSDR.のそれとよく似ていると思われ(中国人民元を外貨準備に組み入れている国は多くは無かろう。)、大体ドルが60%、ユーロが20%、円が10%、そしてポンドなどのその他通貨が10%くらいと思われる。

ある国、例えば韓国がウォン防衛の為に400億ドルのドル売り&ウォン買い介入を行ったとすると外貨準備総額は3,600億ドルに減り、ドルの外貨準備は(4,000億ドル×60%=2,400億ドル)から400億ドルをひいた2,000億ドルとなり、これは外貨準備総額の56%でこれを将来の介入準備の止めに元の60%に戻すには、他の構成通貨であるユーロ、円、そしてその他通貨を売ってドルを購入する必要が出て来る。
韓国以外にも割合外貨準備の潤沢なブラジル(約3,600億ドル)、メキシコ(約1.900億ドル)、そしてインド(約4,700億ドル)などの新興国が同じ様なオペレーションを行った可能性は大であろう。

中々目に見えない中央銀行による壮大なドル買いである。

これ等の要因であれよあれと言う間に終値ベースで2週間の内に対円で約10%(ドルの安値101.19から高値111.50)、対ユーロで約7%(ドルの安値1.1493から高値1.0695)のドルの上昇を見ることとなった。

世界各国で入出国制限、国境封鎖、外出禁止などが続く中、今暫く“よく理解出来ない”相場展開が続きそうである。


さて以前から触れようと思っていた、我々の年金の運用を司る世界最大の投資家と言われるGPIF. =(年金積立金管理運用独立行政法人)の事だが、今回のコロナ・ウィルスによる世界の金融市場の激動ですっかり興味を失ってしまった。

GPIF.は4月の新年度から現在の基本ポートフォリオである国内債券35%、国内株式25%、外国株式25%、外国債券15%の割合を見直すと言われているが、今回のごたごたで果たしてどうなるのであろうか?

国内債券の利回りは最近やっとプラス圏内に戻したが、それでも限りなく0%に近い。
国内株式は日銀によるマーケット・メカニズムを無視したETF.の購入で何とか健闘しているが、それでも年初から約29%も下げている。
外国株式は、ダウ30種平均を見るとここ2週間で約35%下げているが他の欧州、英国のパフォーマンスも似た様なものだ。
外国債券はどうか?
10年債利回りが0.3%のレベルまで下げた(価格が上昇した。)時はほくそ笑んだことであろうが、今は再び1%近くに戻している。(価格は下落している。)

ドルが下落する度にGPIF.のドル買いが噂されるが、やはり外国債券の割合を増やすのであろうか?
個人的には(たった?)1%前後のドルと円の金利差で為替リスクを取った大胆な米債購入を行うとも思えないのだが….

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