「人民元トレードで必ず押さえておきたい情報」若竹コンサルティング代表 戸田裕大

f:id:gaitamesk:20200327103415p:plain

みなさんこんにちは。上海の戸田裕大です。

本日は人民元トレードで必ず押さえておきたい情報についてまとめました。
前回寄稿分「トレードに役立つ人民元の特徴」と合わせて確認して頂くとより一層理解が深まると思います。それではさっそくみていきましょう。

1.中国は世界第二位の経済大国

まずは以下添付の画像をご覧ください。IMF(世界通貨基金)公表、2019年時点のGDP(国内総生産)を可視化したバブルチャートです。

f:id:gaitamesk:20200327103408p:plain

※IMF DataMapper より2019年時点のGDP散布図

現在の世界には米国と中国の大きな二極が存在していることがわかります。したがって世界中の投資家や事業家などが米中関係に大変興味・関心を持って見守っています。その中国の通貨、これが人民元です。

もともと米国が相対的に、また圧倒的に影響力が強かった経緯があります。そこで法人・個人問わず、危機に備えて米ドルを保有しておくという動きが現在まで続いています。

ところが最近では危機に備えて人民元を保有しておくという動きも徐々に出始めています。それが各国の中央銀行による人民元保有です。

中央銀行は非常事態に備えて外貨準備預金というものを保有していますが、欧州・アジア各国の中央銀行が2017年ごろから、もともと保有している米ドルに換えて人民元保有を増やし始めています。

米ドル→人民元への切り替えの動きそのものが人民元高要因であることもさることながら、人民元は中央銀行からの信任を得ているということは特筆に値すると思います。もはや新興国通貨と言う分類が適切ではない、それが現在の人民元です。

2.中国は経常収支黒字国

続きまして世界の経常収支を可視化した以下添付画像をご覧ください。 オレンジ色が経常黒字国、緑色が経常赤字国です。

f:id:gaitamesk:20200327103427p:plain

※IMF(世界通貨基金)公表、2019年時点の経常収支を可視化した画像。濃いオレンジ色になっている地域が大幅な経常黒字国。単位=10億ドル

ご覧の通り、中国は世界でも有数の輸出大国で、経常収支黒字国です。昨年(2019年)は米中貿易摩擦の影響を受けて黒字幅が大きく縮小したものの、そのような状況下でも+1,477.1億ドルの黒字を維持しました。

実はこの経常収支、外国為替レートの先行きを占う上で伝統的に重要視されている指標です。なぜかと言うと、経常収支黒字国は外貨を持ち帰れる、つまり恒常的に外国通貨→人民元の両替が発生するため、経常収支黒字国の通貨(人民元)は自国通貨高(人民元高)に働きやすいのです。

なお経常収支赤字国の場合は反対に自国通貨安が進みやすくなります。海外への支払い超となるので、自国通貨売り→外国通貨買いが恒常的に発生するからです。

<経常収支の解説>
経常収支とは自国と他国の貿易収支(物とサービス)と金融収支(お金)を足し合わせ、黒字であったか、赤字であったかを集計したものです。為替相場を占う上で非常に重要な指標ですので、ご存じない方はこの機会に覚えてしまいましょう。

3.人民元は高金利

今回の新型コロナウイルスの影響を受けて中国も金融緩和に踏み切っていることから、人民元金利は低下傾向にありますが、それでもオフショア人民元は1年が2.79%の金利水準で取引が行われています。※2020年3月26日時点のHIBOR(香港の銀行間取引の参考金利)

日本円の1年の金利は概ねゼロですから、人民元を対日本円でロングにすれば年利で約3%弱のキャリー(金利収益)を狙うことが出来ます。経常黒字国で、且つ3%弱のキャリーを取れるのであれば、人民元をロング(買い持ち)にしたいと思う方が多いのではないでしょうか。

4.人民元国際化

人民元が国際決済に使われる割合は2020年2月時点で2.2%と、国の経済規模と比較するとあまり広く使われていないのが現状です。これを世界中で使って頂けるように改善していこうという動きを「人民元国際化」と呼び、これを国策として取り組んでいます。

例えば一帯一路を通じた中央アジアや東欧・中東・アフリカへのインフラ投資の決済を人民元建てで行う、それからアリペイ(アリババ)、ウィーチャットペイ(テンセント)を通じて個人が世界中で人民元を使えるようにする、こう言った動きを精力的に行っています。極めて野心的な政策で、本当にそんなことが実現できるのか?と考える方も多いのではないかと思いますが、どうでしょう、実際に日本のコンビニやレストランなどでも目にする機会が増えてきているのではないでしょうか?

通貨はさまざまな場所で使用可能になれば、その分だけその通貨を保有するインセンティブが働きます。つまりこれも人民元高要因になると考えています。

まとめ

さて、それでは要点を振り返りましょう。

・人民元は世界第二位の経済大国に裏付けされた通貨
・各国中央銀行も人民元保有を増やしている
・中国は経常黒字国で自国通貨高になりやすい
・人民元を対円で保有すると3%弱のキャリーが狙える
・人民元国際化政策を通じて、人民元保有者が増える可能性

いかがだったでしょうか?ここまで言われると人民元を対円でロング(買い持ち)したくなってしまったと思うのですが、実際にはドル円の上下にもかなり振らされますので、エントリーポイントには十分お気をつけください。

それでは、またお会いしましょう。

戸田裕大

<参考文献>
IMF:GDP, current prices, Billions of U.S. dollars
https://www.imf.org/external/datamapper/NGDPD@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD

IMF:Current account balance U.S. dollars
https://www.imf.org/external/datamapper/BCA@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD/CHN

IMF:Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves
http://data.imf.org/?sk=E6A5F467-C14B-4AA8-9F6D-5A09EC4E62A4

Bank of China HK: CNY HIBOR
https://www.bochk.com/en/investment/rates/cnyhibor.html

f:id:gaitamesk:20200214172637p:plain若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
留意事項・リスク
店頭通貨バイナリーオプション取引は、期限の定めのある取引であり、取引対象である通貨の価格等の変動により損失が生ずることがあります。また、価格変動が予想通りとなった場合には多額の利益が得られる反面、予想が外れた場合には多額の損失を被ることもあります。当社が提供する店頭通貨バイナリーオプション取引の口座開設および取引を開始されるにあたっては、取引説明書、および取引約款をよく読み、ご理解のうえ、ご自身の判断と責任で取引を行っていただきますようお願い申し上げます。
詳しくはこちら
top