「基軸通貨・ドルの動きがカギに」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年4月

【外為総研 House View】

外為総研 House View。外国為替(FX
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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 3月の推移
・3月の各市場 
・3月のドル/円ポジション動向
・4月の日・米注目イベント
・ドル/円 4月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のユーロ/円ポジション動向
・4月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 4月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 3月の推移

3月のドル/円相場は101.174~111.718円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.5%下落(ドル安・円高)した。

新型コロナウイルスの感染が欧米に広がった事で株や原油などのリスク資産が暴落するとリスク回避の円買いが強まり、9日には約3年半ぶりの安値となる101.174円まで下落した。しかし、その後は一転してドル買いの流れが強まり、わずか11営業日後の24日には111.718円まで10円超反発した。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、株などのリスク資産だけでなく国債や金などの安全資産も売られる「現金化」の動きが強まると、基軸通貨であり決済通貨であるドルに買いが殺到。第1四半期末を前にドルの資金調達を巡る不安が広がった事も為替市場でドルを押し上げる要因になった。もっとも、ドル調達の動きが一巡すると30日には107.10円台に押し戻されるなど神経質な展開が続いた。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は3回以上の緊急連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、利下げや量的緩和(QE)を矢継ぎ早に発表した。

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3日
FOMCは政策金利を0.50%ポイント引き下げる「緊急利下げ」を発表。パウエルFRB議長は利下げ後の会見で「1月の会合以降、新型コロナウイルス感染は新たなリスクになった」「FOMCは見通しへのリスクが大きく変わったと判断」と説明。「注意深く監視を続け、経済を支援するために適切に行動する」「FRBは他の中銀と積極的に協議」「公式な協調行動、追加で実施する可能性もある」などと述べた。

4日
米2月ADP全国雇用者数は18.3万人増と予想(17.0万人増)を上回った。ただ、前月分は29.1万人増から20.9万人増に下方修正された。その後、米2月ISM非製造業景況指数は57.3と予想(54.9)に反して前回(55.5)から上昇した。

6日
米2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が27.3万人増と予想(17.5万人増)を上回り、失業率も3.5%に改善して予想(3.6%)を下回った。平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.0%と予想通りの伸びとなった。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念が強い中、良好な米雇用統計を受けたドル買いの動きは限定的だった。

9日
前週末にサウジアラビアが原油の増産を表明した事でNY原油(WTI)が急落。石油輸出国機構(OPEC)プラス会合で協調減産協議が決裂した事を受けて、OPECの盟主であるサウジアラビアが方針を大転換したため原油に売りが殺到した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてNY州が前週末に非常事態宣言を発動した事などから米国株が急落し、2013年の制度創設以来初となる「サーキットブレーカー」が発動。ドル/円は2016年9月30日以来の安値となる101円台まで下落した。

16日
FRBは100bp(1.00%)の緊急利下げを発表。政策金利であるFFレートの誘導目標を0.00-0.25%に引き下げた。また、今後数カ月間で7000億ドルの国債買い入れを行う事も発表した。FRBのゼロ金利と量的緩和(QE)の復活を受けてドル売り・円買いが先行。日銀も緊急会合を開き、上場投資信託(ETF)の年間購入目標額を6兆円から12兆円に増額した他、コマーシャル・ぺ-パー(CP)・社債の買い入れ枠もそれぞれ1兆円ずつ増額。

また、中小企業支援に向けて金融機関にゼロ金利で資金を供給する「企業金融支援特別オペ」を新設。一方でゼロ金利の深堀りは見送った。

23日
ソフトバンクグループが、最大4兆5000億円の資産売却の方針を決めた事が円買いを誘った他、FRBが緊急FOMCを開き「米国債とMBSで必要な額だけ購入へ、終了期限を設けず」と発表した事で一時ドル売りが強まった。しかし、ドルへの資金逃避的な買いは根強く、ドル/円は売り一巡後に111円台を回復した。

26日
東京都で新型コロナウイルスの感染者が急増した事を嫌気して日経平均株価が大幅安となる中、ドル/円は一時110.50円を割り込んだ。パウエルFRB議長が米テレビ番組に出演し「米経済はリセッションに陥っている可能性がある」と発言した事も重しとなった。

なお、米新規失業保険申請件数は328.3万件と市場予想(170.0万件)を大幅に上回り前週(28.2万件)から10倍以上に増加した。新型コロナウイルスの感染拡大による外出制限などでサービス業を中心に失業者が急増した。

27日
NY市場は終盤にかけてドルが全面的に下落。米国の新型コロナウイルス感染者は、前日時点で中国とイタリアを上回り世界最多となった。なお、2兆ドル規模の米経済対策法案は、下院の可決を経てトランプ大統領が署名して成立した。

3月の各市場

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3月のドル/円ポジション動向

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4月の日・米注目イベント

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ドル/円4月の見通し

ドルと円はともにリスク回避の局面で買われる通貨として市場に認知されているが、3月のドル/円相場の動きから推測するに、市場が緊張状態にある場合は円が選好される一方、市場が「極度」の緊張状態に陥ればドル買いのほうが強くなるようだ。

新型コロナウイルスの世界的な流行が早期に終息する公算が小さい中、各国の金融緩和・財政拡大によって市場が「極度」の緊張状態から脱するとすれば、ドル安・円高が進みやすくなると考えられる。無論、新型ウイルスの感染拡大が加速すれば、市場が再び「極度」の緊張状態に陥る事は考えられる。しかし、3月末=第1四半期末を通過した事もあって、過剰なドル不足感は和らいだと見られるため、ドル高圧力は3月ほどには高まらないだろう。

本来なら4月は本邦勢の外国投資が活発化する時期として円安期待が高まりやすいが、各国ともに株価は不安定で緊急利下げによって中長期金利が低下している事から、今年についてはそうした期待も薄いと見られる。

米3月雇用統計をはじめ、米国の3月分の経済指標が著しく悪化する公算が大きいだけに、4月のドル/円は下値を探るシーンが増えそうだ。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 3月の推移

3月のユーロ/円相場は116.125~121.142円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.5%の下落(ユーロ安・円高)となった。

ドル/円とユーロ/ドルの乱高下による綱引きで荒い値動きが続いたものの方向感に乏しく、小幅安で取引を終えた。値幅も5円程度と小さく、ドル/円の10円程度の半分に留まった。新型コロナウイルスの世界的な大流行を受けてドル/円が101円台に下落した9日には6カ月ぶりに116.10円台まで下落したが、ユーロ/ドルは同じタイミングで13カ月ぶり高値を付けており、ユーロ/円の下値を支えた。その後、ドルへの逃避的な買いが強まりドル/円が111円台へと切り返した一方、ユーロ/ドルは35カ月ぶり安値まで下落したため、ユーロ/円の上値は121.10円台止まりだった。

なお、欧州中銀(ECB)は臨時会合も含めて2度の追加緩和に動いたが、米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀など世界の中央銀行も金融緩和に動いたため、ユーロ相場の材料にはなりにくかった。

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3日
G7は財務相・中銀総裁緊急電話会議を開催し「新型コロナウイルスの感染拡大と市場・景気への影響を注視」「あらゆる政策手段を用いて、世界経済を下ぶれリスクから守る」などとする声明を発表した。ただ、具体策への言及がなかった事で市場はやや失望的と受け止めた模様。

9日
前週末にサウジアラビアが突然の原油増産を表明した事でNY原油(WTI)が急落。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米NY州が前週末に非常事態宣言を発動した事も不安視され、ユーロ/円は売りが先行。欧州市場でも株価が大幅安となり、独10年債利回りは過去最低水準の-0.90%前後まで低下した。

一方で、新型ウイルスの感染者が大幅に増えたイタリアの10年債利回りは大幅に上昇(価格が下落)。ユーロ/円は116.10円台まで下落して2019年9月以来の安値を更新した。

12日
ECBは、新型ウイルスの世界的流行による経済への悪影響に対応するため、量的緩和の規模を年末まで1200億ユーロ拡大すると発表。一方で、一部の予想に反してマイナス金利の深堀りは見送った。

その後、ラガルドECB総裁は「新型ウイルス感染拡大は成長見通しに対する深刻なショック」とした上で、「野心的かつ協調的な財政出動が求められる」と述べた。

13日
ショルツ独財務相が「経済的衝撃の緩和のため『巨額』の財政支出を行う」と述べた事などを受けて欧州株が上昇する中、円売りが活発化した。

その後、トランプ米大統領は新型ウイルスの世界的大流行への対応で「国家非常事態」を正式に宣言した事も安心材料となり米国株が上げ幅を拡大するとユーロ/円は120円台を回復した。

17日
独3月ZEW景況感調査(期待指数)は-49.5と、予想(-30.0)以上の落ち込み(前回8.7)を記録。2011年12月以来の低水準となった。

19日
ECBは臨時会合を開き、7500億ユーロ規模のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を導入。ラガルド総裁は会見で「責務においてあらゆる措置を講じる決意」「我々のコミットメントに限界はない」などと述べた。

23日
独政府は新型ウイルス対策として総額7500億ユーロ規模の財政パッケージを承認。また健康観察のため自宅隔離となっていたメルケル独首相は新型ウイルス検査の結果が陰性であった事も明らかになった。これらを受けてユーロが上昇した。

24日
仏3月製造業PMI・速報値は42.9(前回49.8、予想40.6)、同サービス業PMI・速報値は29.0(前回52.5、予想40.0)であった。続いて、独3月製造業PMI・速報値は45.7(前回48.0、予想39.9)、同サービス業PMI・速報値は34.5(前回52.5、予想43.0)であった。新型コロナウイルスの感染拡大でサービス業が大打撃を受けた事を物語る結果となった。

なお、ユーロ圏3月サービス業PMI・速報値は28.4となり、過去最低を記録した。ただ、ユーロ相場への影響は限定的だった。

25日
ECBはメンバー間で「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」と呼ばれ、ほぼ無制限の国債購入が可能になる債券買い入れ措置の発動に幅広い支持があると伝わった。

また、ドイツ議会は憲法で定められた債務上限規定を停止する事を認め、新型ウイルス対策としてメルケル政権がまとめた大規模な景気刺激策を承認した。

3月の各市場

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3月のユーロ/円ポジション動向

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4月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 4月の見通し

ユーロ/円相場は、方向感の出にくい展開が続くと見られる。

イタリアやスペインに広がった新型コロナウイルスの感染が、ドイツやオランダにも波及しており、ユーロ圏景気に著しい下押し圧力がかかる事は避けられそうにない。もっとも、これはユーロ圏に限った事ではなく、米国や日本でも状況は同じだろう。したがって、為替市場でユーロだけが弱含む展開にはならないと見られ、ユーロ相場は基軸通貨のドルに左右されやすくなると考えられる。3月に見られた逃避的なドル買いが再燃すればユーロ/ドルは下落する公算が大きいが、一方でドル/円は強含むと考えられるためユーロ/円の値動きは限られるだろう。

反対に、過剰なドル需要が緩めばユーロ高・ドル安に振れやすくなる半面、ドル安・円高にも振れやすくなる。ユーロ/円が上昇するには、新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトしてドル安・ユーロ高と、ユーロ高・円安が同時に進む必要があると考えられる。

4月1日の現時点では、そうしたリスク・オンの相場展開が近い将来に実現する公算は小さいように思われる。

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