「コロナ禍でクロス円の不安定な展開続く」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2020年4月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のポンド/円ポジション動向
・4月の英国注目イベント
・ポンド/円 4月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月の豪ドル/円ポジション動向
・4月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 4月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 3月の推移

3月のポンド/円相場は124.025~139.188円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.7%下落 (ポンド安・円高)した。

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、英国でも感染が拡大する中、 18日には3年5カ月ぶりの安値となる124.025円まで下落した。リスク回避の円高・ポンド安に加え、ド ル資金確保の動きも相まってドル高・ポンド安に振れたため、ポンドに強い下落圧力がかかった。

月末にかけてドル資金確保の動きが一巡するとポンドは全般的に反発したが、新型コロナウイルス禍 で英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る協議がとん挫する可能性も意識された事などから134円 台後半で伸び悩んだ。この間、英中銀(BOE)は新型ウイルス対応として総裁の交代を挟んで2度の 緊急緩和を行った。なお、ジョンソン英首相やハンコック英保健相も新型ウイルスに感染した事が明 らかになった。

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3日
BOEのカーニー総裁は「景気支援のためにあらゆる措置を講じる」「新型肺炎に適切に対応する」と述べ、「G7、G20、国際通 貨基金(IMF)とコンタクトを取っている」事を明らかにした。

5日
EUと英国は、自由貿易協定(FTA)など将来関係を議論する第1回会合を終えた。会合後にEU側のバルニエ首席交渉官は 「いくつかの分野で大きな意見の不一致があった」と述べ、初交渉が難航したとの見解を示した。

9日
前週末にサウジアラビアが原油の増産を表明した事で時間外のNY原油(WTI)が急落。日経平均株価の下げ幅が1000円を超えた他、NYダウ平均の下げ幅は寄付き直後に2000ドル超に達した。

11日
BOEの金融政策委員会(MPC)が全会一致で50bp(0.5%)の緊急利下げを決定し、政策金利は0.25%となった。決定直後は ポンドが急落したものの、その後は利下げ前の水準へ値を戻した。

カーニーBOE総裁は「英国のためにあらゆる必要な追加 措置を講じる」と発言。ベイリーBOE次期総裁の「必要ならばBOEにはさらなる政策余地がある」との発言も伝わった。

17日
英2月失業率は3.5%、同失業保険申請件数は1.73万件であった。また英11-1月ILO失業率は3.9%(予想3.8%)、同週平均 賃金は前年比+3.1%(予想+3.0%)であった。

18日
NYダウ平均が19000ドル台を割り込んで下落した他、NY原油(WTI)は約18年ぶりに20.0ドル台へと下落した。米長期債やNY金も売られるパニック商状の中、基軸通貨のドルに買いが殺到。

ポンド/ドルが1985年以来約35年ぶりに1.15ドル台を割り込 むとともにポンド/円は2016年10月以来の安値となる124.025円前後まで下落した。

19日
BOEはこの月2度目の臨時MPCを開き、政策金利を0.10%に引き下げ、資産買い入れプログラムの規模を6450億ポンドに増額した。16日に新総裁に就任したベイリー氏は「BOEは指標が出た後ではなく、今行動をとる」「マイナス金利は賛成していな いが、排除することはない」と述べた。

24日
英3月製造業PMI・速報値は48.0(前回51.7、予想45.0)、同サービス業PMI・速報値は35.7(前回53.2、予想45.0)であった。ポ ンド相場は目立った反応を示さなかった。

26日
BOEは政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラムの規模(6450億ポンド)をいずれも据え置いた。議事録では決定が全会一致であった事が明らかになった他、「極めて著しく経済活動が後退する可能性が高い」などとする見解が示された。

なお、 これ以前に発表された英2月小売売上高は前月比-0.3%と予想(+0.2%)に反して減少した。

27日
英国のジョンソン首相が新型コロナウイルスに感染した事が判明するとポンド売りが強まる場面があった。なお、その後ハンコック保健相・社会福祉相もウイルスに感染した事が明らかになった。

30日
前週末27日のNY市場クローズ後に格付け会社フィッチは、英国の長期格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」とした。新型コロナウイルスの流行や緩和的な財政スタンスを受け、財政が大幅に悪化すると指摘した。これを受けて、ポンドは前週末の終値から値を下げて取り引きが始まった。

3月の各市場

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3月のポンド/円ポジション動向

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4月の英国注目イベント

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ポンド/円 4月の見通し

欧州連合(EU)から離脱した英国とEUは、自由貿易協定(FTA)などを巡る交渉を3月に始めたが、EU側のバルニエ主席交渉官が新型コロナウイルスに感染するなどしたため交渉日程に崩れが生じている。4月第2週から電話での交渉再開を予定しているが、英政治の最優先課題は言うまでもなく新型ウイルスの感染拡大防止であり、ジョンソン英首相が交渉期限のメドとしている6月末までに交渉が進展する公算は小さいと見られる。

ジョンソン首相は、年内いっぱいの移行期間の延長を申請しない考えを示しており、6月末までに交渉がまとまらなければ、合意がないまま移行期間を終える(限りなく合意なき離脱に近い)準備に動く方針を示している。こうした英・EU交渉を巡る不透明感はポンドの上値を抑える事になりそうだ。英国は全土で3月23日から3週間の外出禁止措置が取られており、新型コロナウイルスの感染拡大による経済的なダメージは避けられない見通しだ。

英国に限らず、世界的に新型ウイルスの感染拡大が続いており、市場のリスク回避ムードも当面は続く公算が大きい。リスク回避の動きはドル買いと円買いを誘発しやすいため、相対的にポンドに下落圧力がかかりやすくなる。4月のポンド/円相場は 下値不安が大きいと言えるだろう。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 3月の推移

3月の豪ドル/円相場は59.875~71.513円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約6.1%の大幅な下落(豪ドル安・円高)となった。

新型コロナウイルスの世界的な流行を受けたリスク回避の動きで株価や原油価格が急落する中、豪ドルに強い下落圧力がかかった。リスク回避の動きが円買いだけ でなくドル買いをも誘発すると、19日には豪ドル/米ドルが2002年10月以来の安値に沈むと同時に、 豪ドル/円も2009年2月以来の60円割れを示現した。その後は、ドル資金確保の動きが一服した事な どから豪ドルが反発したが、円も対ドルで強含んだ事から豪ドル/円は67円台で伸び悩んだ。

なお、 豪中銀(RBA)は、3月に政策金利を2度に渡り引き下げ、史上最低水準の0.25%とした。また、豪州史上初めて国債買い入れにも踏み込んだ。

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3日
RBAは政策金利を0.75%から0.50%に引き下げた。

声明で「コロナウイルスの世界的な発生は完全雇用とインフレ目標への進展を遅らせると予想」「理事会は雇用と経済活動に追加支援を提供するため、金融政策をさらに緩和することが適切であると判断」「今後もコロナウイルスの経済への影響を確認し、進行についても注意深く監視を続ける」「豪経済を支援するた め、金融政策をさらに緩和する用意がある」とした。想定内の利下げとの見方から材料出尽しとして豪ドルは買い戻された。

4日
豪10-12月期GDPは前期比+0.5%、前年比+2.2%と予想(+0.3%、+1.9%)を上回る伸びとなった。その後、中国2月財新サービス業PMIは26.5となり、新型コロナウイルス流行の影響で前月(51.1)から大幅に落ち込んだ。

5日
米カリフォルニア州知事が新型コロナウイルスの感染拡大を巡り非常事態を宣言。これを受けてリスク回避の円買いが優勢となった。

なお、豪1月貿易収支は52.10億ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(48.00億ドル)を上回ったが豪ドルの反応は 限定的だった。

6日
新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念から日本株が下げ幅を拡大する中、円買いが優勢となった。豪1月小売売上高 が、前月比-0.3%と予想(±0.0%)を下回り、前回分が-0.5%から-0.7%に下方修正された事も豪ドル/円の重しとなった。

9日
前週末にサウジアラビアが原油の増産を表明した事で時間外のNY原油(WTI)が急落。石油輸出国機構(OPEC)プラス会合で協調減産協議が決裂した事を受けて原油に売りが殺到した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米NY州が前週末 に非常事態宣言を発動した事も不安視され、NYダウ先物が1000ドル超下落するなどリスク回避の動きが強まった。

16日
米連邦準備制度理事会(FRB)が100bp(1.00%)の緊急利下げを発表。また、今後数カ月間で7000億ドルの国債買い入れを行う事も発表した。また、RBAは「国債を流通市場で購入する用意がある」「追加の政策措置について19日に発表する予定」とする声明を発表。日銀も緊急会合を開き上場投資信託(ETF)の年間購入目標額の増額を決めた。

しかし、こうした中銀の金融緩和にもかかわらず世界的に株価が下落する中、豪ドル/円は軟調に推移した。

17日
RBAは2月理事会の議事録を公表。「新型コロナウイルスの感染拡大が世界全体の経済活動に大きな混乱をもたらす事がますますはっきりしたと確認」「豪州経済を支援するため、更なる金融緩和を行う用意がある」として追加利下げを示唆した。 また、豪10-12月期住宅価格指数は前期比+3.9%と予想(+4.5%)を下回ったが7-9月期(+2.4%)からは伸びが加速した。

19日
豪3月雇用統計は新規雇用者数が2.67万人増、失業率が5.1%と、いずれも予想(0.63万人増、5.3%)より良好だった。ただ、アジア株が総崩れとなるリスク回避の動きの中で、豪ドル/円は下落。一時60円台を割り込んで2009年2月以来の安値を付けた。

なお、RBAは臨時会合を開き、政策金利を0.50%から0.25%へ引き下げた他、3年債利回り0.25%をターゲットとして国 債買い入れを行う事も発表した。その上で、ロウRBA総裁は「今後数年間、金利は同水準を維持する」と述べた。

25日
米上院とホワイトハウスは、新型コロナウイルス感染拡大による経済的打撃への対策費の規模について2兆ドルで合意に達 した。これを好感してアジア株が全面的に上げ幅を拡大すると、豪ドル/円は一時67円台を回復。しかし、先行き不透明感は 拭えず欧米市場では反落した。

3月の各市場

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3月の豪ドル/円ポジション動向

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4月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 4月の見通し

4月の豪ドル/円は不安定な相場展開が続こうが、底入れのタイミングを計る事になりそうだ。

新型コロナウイルス禍は公衆衛生上の危機にとどまらず、世界的な金融危機に発展しそうな気配もある。各国が金融と財政の政策を総動員する形でなんとか市場を支えているが、新型ウイルスの感染拡大に終息の兆しが見えない事には市場の不安が完全に収まる事はないだろう。

このため、一時的に楽観ムードが広がっても次のターンでは悲観ムードが広がりやすく、市場のムードに相場展開が左右され がちな豪ドル/円も不安定な値動きが続く公算が大きい。ただ、ウイルス発生源であり豪州と経済関係が深い中国では、感染が沈静化しており、4月に入り発表された3月製造業/非製造業PMIが好・不調の分岐点である50.0を上回るなど経済も復調気配だ。

世界的なウイルス危機が収束に向かえば、各国中銀と政府が放出した「ジャブジャブ・マネー」が豪ドルに向かいやすくなると考えられる。そうした局面では、豪州の長期債利回りが米国の利回りを再逆転して上回っている事も豪ドルの支援材料になり得るだろう。ただ、現時点ではそうした局面がいつ訪れるのか見通しは立ちづらい。

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