発症元の中国は収束へ 人民元(CNH)中長期見通し 新型コロナショック

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1.人民元(CNH)の置かれる現状整理

新型コロナウイルスの感染がグローバルで広がり、需要減から原油先物価格が急落、各国で株価が大きく値を下げるなか、為替市場では全般クロス円が下落、人民元/円も一旦下値を拡大した。その後、3月に入り米国の中央銀行であるFRBが大規模な量的緩和を再開、米国議会が約2兆米ドルの総合経済対策を可決、金融市場のリスクセンチメントは大幅に改善した。

こうしたことから、3月9日(月)に人民元/円は14.54~55円付近までの急落を演じていたが、ここまで急回復、足元で15.32~33円(本稿は4月6日午前執筆)水準で推移している。

2. 人民元(CNH)の中長期見通し

新型コロナウイルスの感染者は、南欧や米国では依然として増え続けているが、ここまでの報道等から、発症元の中国では早くも収束に向かう傾向がみられている。3月以降、感染者数の増加がピークアウトしたことから、中国の3月製造業PMI(注)は歴史的な落ち込みとなった2月より大幅改善、企業活動は正常化に向かう。
(注)購買担当者景気指数、企業の購買担当者を調査対象にした景況感の調査。先行きの景気動向を示す指数で、金融市場の見通しを占うために広く使われる。

中国共産党の執行部は、未曽有の金融危機を招いたリーマンショック以来となる大型の財政政策の発表を視野に入れる。早ければ今月にも開催予定の全人代(全国人民代表大会、国会に相当)で、具体的な政策が示される予定だ。これにより、景気の落ち込みの急回復が期待されるが、依然として世界景気の減速が中国経済への足かせとなる可能性は排除できない。

米国のトランプ大統領が「今後1-2週間は非常に厳しい状況が続く」と話すように、この先もグローバルで感染拡大の封じ込めが難航することが予想される。金融市場の動揺はまだ完全に収まっておらず、リスク通貨の一角を占める人民元/円は、再び売り優勢の展開となる可能性もある。ただ、他地域に先立ち感染が収束に向かい、経済が正常化し始めたことは確かであり、一定の優位性を確立するだろう。

以上をまとめると、金融市場の安定に伴い、人民元/円は底堅く推移するとみている。

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チャート:中国国家統計局より筆者作成

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チャート:中国国家統計局より筆者作成

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元HSBCチーフディーラー
竹内のりひろ氏

明治大学法学部1989年卒、以後一貫して外資系金融機関で為替 /金利のトレーディング歴任。専門はG7通貨及び金利のトレーディング。1999年グローバル金融大手英HSBCホールディングス傘下HSBC香港上海銀行東京支店入行、取引担当責任者(チーフトレーダー)を務め、現在主流となっている、E-commerce(FX.all.com)の立ち上げにも参画。
相場展望をする際、極力、恣意的な自己判断、感情移入を排除する独自のアプローチを持ち、欧州事情にも精通している。2010年に独立し大胆なトレードを日夜行っている。
メルマガSmartLogicFXでは、ファンダメンタルズ、テクニカル分析に基づいたリアルタイムな相場観を毎日配信中

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