今年は米大統領選の為替市場への影響度も「コロナショック」次第 橋本 将司(国際通貨研究所 上席研究員) 米大統領選2020

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今年は米大統領選の為替市場への影響度も「コロナショック」次第

 為替市場では、米大統領選挙は通常その年の大きなイベントとなるが、今年は「コロナショック」の影響から、これまでのところ今1つ盛り上がりを欠く展開となっている。市場では、米景気の好調を背景に現職のトランプ大統領の再選を有力視する向きが多かったが、「コロナショック」による米景気後退リスク浮上で、トランプ大統領の再選の可能性もここへ来て不透明感が浮上。大統領選自体も「コロナショック」次第の状況となって来た

通常為替市場で米大統領選が注目されるのは、民主・共和どちらの大統領が誕生するかによって、米国の次の4年間の経済政策や外交・通商政策、延いては米国や世界の経済・金融市場動向も大きく影響を受ける可能性があるためだ。この点、事実上民主党の大統領候補として確定したバイデン氏の経済・外交政策をみると、まず中国に対する厳しいスタンスは維持するとしているものの、トランプ大統領が導入した制裁関税を含む通商政策は支持しないとしている。また、中国と対峙するにあたっては、日本や欧州など西側同盟国との協調を再構築すると述べている。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や気候変動に関するパリ協定への復帰も目指すとしており、トランプ大統領が志向した米国第一主義、保護主義的な傾向は緩和する見通しだ。トランプ大統領は貿易不均衡是正のためにドル安を志向しているが、同大統領による保護主義的な通商政策は、米国以外の国の経済に打撃を与え(さらに市場もそのように織り込む結果)、結果的にドルを押し上げて来たと筆者はみている。こうした観点からは、バイデン氏の融和的な外交・通商政策への回帰は、米国以外の国の経済を支援する結果、ドル安材料になり得る

また、バイデン氏は、トランプ大統領が実施した法人税率引き下げの一部を撤回するとしている。最低賃金の引き上げや、環境規制も再び強める方向で、全般的に米企業収益や米株価に対してはマイナス材料となる。これらも米国以外の国々に大きな悪影響を与えることがなければ、やはりドル安的な材料だ。このように、予想されるバイデン氏の政策自体は、大局的にみて今後4年間ドル安を支援する側面が強い

一方、大統領選挙のような大きなイベントの数か月前くらいから、市場は何らかのシナリオを織り込み、その結果を受けてその後数か月程度大きく変動する場合がある。この点、「コロナショック」を受けて、大統領選では医療政策に焦点が当たる可能性も指摘されるなど、市場がどのようなテーマに着目して行くかは現時点では定かではなく、注意深く観察して行く必要がある。足元は「コロナショック」による未曾有の景気の落ち込みを回避するため、当面は個人や中小企業の資金繰り支援を始め、政策を総動員するという点で党派による意見の違いは大きくなり難いと思われる。万一深刻な景気の落ち込みが11月の大統領選までずれ込んだ場合は、そのまま大統領選の市場への影響が限られる展開もあり得よう。

米大統領選では、当選する大統領に加え、同時に実施される米連邦議会上下両院選挙における勢力図も、政策の実現度を図る上で重要だ。例えば大統領が共和党でも、上下院どちらかでも民主党が過半数をおさえれば、法案は可決・通過し難く、大統領が目指す政策を実現し難くなるためだ。2016年の前回大統領選挙では、事前には民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢とみられていた。しかし、実際には大幅な減税を主張していたトランプ大統領が当選すると共に、上下両院も共和党が過半数を獲得。大規模減税が行われる可能性が一転高まると、米景気拡大観測から同年末にかけて米株価・金利とドルは急上昇した。

このように、まずは「コロナショック」の帰趨と、その世界景気への影響が今後どの程度深刻な形で顕在化して来るかどうかが、今年の為替市場の最大の注目材料であり、米大統領選の為替市場への影響度もそれに左右され易いだろう。景気後退が深刻化すれば、円とドルがユーロや資源国・新興国通貨に対して強含み易く、特に円がより上昇し易いのではないかとみている。

橋本将司氏 国際通貨研究所 上席研究員  1994年慶應義塾大学卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。国際通貨研究所研究員、グローバルマーケットリサーチ・シニアアナリスト、経済調査室ニューヨーク駐在などを歴任し、グローバルな為替市場やマクロ経済に加え、米国金融規制など幅広い分野の調査業務に従事。2020年より再び国際通貨研究所へ出向し、為替市場や主要国の金融政策・マクロ経済動向の分析を担当。日経CNBC為替電話レポートにも出演中。理論的な観点からの為替市場分析を得意とする。
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