総括
上昇続かず反落。苦難続く
通貨最下位、株価6位
予想レンジ 南アランド円 5.2-6.2
（ポイント）
＊緊急利下げを実施
＊コロナウイルス感染は拡大
＊中国が物資を支援
＊南アはIMFに支援を求めず
＊米国のWHOへの資金提出停止はアフリカ大陸へ悪影響
＊原油高、中国武漢再開を好感し一時上昇
＊3月の企業景況感指数が悪化
＊まだ悪材料のほうが多い
＊通貨は年初来最弱
＊2020年はマイナス4％成長か
＊外出制限期間を延長
＊中銀が銀行に配当中止を勧告
＊ムーディーズに続きフィッチも格下げ
＊通貨安で株価は上昇
＊3月民間購買担当者景気指数（PMI）は悪化
＊直接投資が減少、海外投資家は株式を売り越した
＊中銀は国債購入を開始、流動性を供給
＊BMWに続きトヨタに続きも工場稼働を停止した
＊4Q・GDPはマイナス成長でリセッション入り
＊電力大手のエスコム社、南アフリカ航空ともに財政難
＊12月と2019年は貿易黒字
＊南アの最大貿易相手国は中国
＊中銀はランドの平均的な水準を1ドル14.5としている
（緊急利下げした背景）
月足(対円）はボリバン下限下抜き、週足、日足はボリバン下限で推移し、依然弱い。年初来の最弱通貨だ。南ア中銀は4月14日、5月に予定していた金融政策委員会を前倒しで開催し、主要政策金利であるレポレートを1.0％引き下げ、過去最低の4.25％とした。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響に対応する。中銀は一段の利下げを実施する可能性を示唆した。
ラマポーザ大統領が全土を対象としたロックダウン（都市封鎖）の2週間延長を決定したことを受け、景気支援に向けた一段の措置を導入するよう声が高まっていた。中銀は今年の南ア経済が6.1％のマイナス成長に陥ると予想。ロックダウンの延長で短期的な経済成長が阻害され、雇用喪失も悪化し、総需要が一段の影響を受けるとした。
3月下旬にムーディーズの格下げで完全にジャンク債格付けとなったが、その後も良い材料が出ない。アフリカ全体でもコロナウィルス感染拡大が欧米に遅れて拡大、かつ十分な対応が出来ない環境にあるだけに、暫くは苦難が続く。頼りは貿易を依存している中国の景気回復と、中国からの援助か。
(中国が支援物資提供）
保健相は4月14日、新型コロナウイルス感染者が新たに143人確認され、累計2415人になったと明らかにした。保健相は「前途は長い。これは短距離走でなくマラソンだ」と語った。また、中国から支援物資が到着したと明らかにし、これらが「新型コロナウイルス感染症という見えない敵との戦いにおいて助けになる」と述べた。支援物資には、医療現場などで使われる高機能マスク「N95」と使い捨て手袋１万組、医療用使い捨てマスク5万組（6-8週間分）、医療用防護服とゴーグル2000組が含まれている。
（IMFに支援求めず）
ムボウェニ財務相は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で今年、リセッションが深刻化するとの見通しを示す一方、財政支援は必要としていないと述べ、構造調整を伴うIMFの支援を求めない考えを示した。
南アは3月に国内初の新型コロナ感染者が出る前から景気後退入りしていた。今年の財政赤字が対GDP比10％を超えるとみているが、政府がどのように資金を確保するかは不透明だ。
ムボウェニ財務相は、政府の追加資金調達の方法について手掛かりはほとんど示さず、すべての国際金融機関にアプローチすることについて「オープンマインドだ」と述べるにとどめた。IMF融資の可能性については「財政支援は求めていない。新型コロナ感染症に関連した特定のパッケージは検討するだろう」とコメント。「構造調整を伴わないプログラムを検討する。南アの構造改革で何をすべきかわれわれは分かっている」と述べた。
IMFをはじめとする多国間組織に融資を要請することに対しては、与党アフリカ民族会議（ANC）やその支持基盤である労働組合の一部で反発が強い。IMF幹部はラピッド・ファイナンシング・インストルメントの下で最大42億ドルの融資を受けることができるが、現時点で要請は受けていないと明らかにした。
（アフリカ地域の新型コロナ感染、3─6カ月で1000万人＝WHO）
WHOは、アフリカ地域の新型コロナウイルス感染者数は向こう3-6カ月で1000万人に膨れ上がる恐れがあると警告した。ただ、こうした予測は暫定的なもので、感染動向は今後変化する可能性もあると指摘。エボラ出血熱の感染が拡大した際は人々が行動を変えたため最悪のシナリオは回避できたことに言及し、「公衆衛生面での措置が完全に実施されれば実際に効果が出るため、長期的な見通しを提示するのは難しい」と述べた。
アフリカ地域の新型ウイルス感染件数はこれまでのところ約1万7000人、感染による死者数は約900人と、世界の他の地域と比べると抑制されている。
トランプ米大統領がWHOへの資金拠出の停止を決めたことについて、ポリオ、マラリア、ＨＩＶ感染症など他の疾病への対応が阻害されるとし、「ポリオウイルス根絶などに大きな影響が及ぶ」と述べた。
テクニカル分析（ランド/円）
4連続陽線から反落
日足。久々の4連続陽線から下落。ボリバン下限近いが4月14日-16日の下降ラインを上抜けるか。4月6日-17日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足。ボリバン内へ戻るが下限。6.00円がダブルトップ。4月6日週-4月13日週の上昇ラインがサポート。
月足。3か月連続陰線、ボリバン下限以下で推移。2月-3月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
酒の販売禁止で略奪相次ぐ
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため外出制限が続くが、酒の販売も禁止されるなか、略奪が相次ぐなど不満が広がっている。
政府は、外出制限を今月末まで延長し、買い物や病院への通院以外は、ジョギングや犬の散歩も認めていないほか、酒の販売も禁止し、ほかの国と比べても厳しい措置をとっている。
しかし、酒の販売禁止については不満が強く、貧困層が多く暮らす一部の地区では酒店の略奪が相次ぎ、警察当局によると、少なくとも16件発生した。また、酒を密売する犯罪も増えていて、中には警察官が加担していたケースもあったようだ。
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