「株価は大底を付けたと思われる理由」武者陵司 新型コロナショック

f:id:gaitamesk:20200317174217p:plain

株価は大底を付けたと思われる理由

新型コロナの感染は止まらない。しかし株価は大底から大きくリバウンドしている。米国株式、NYダウは3週間で高値から38%の史上最速の暴落を記録したが、その後これまた最速の2週間で32%のリバウンドを見せ、早くも下落幅の半分を取り戻した。半値戻しは全値戻し、との市場格言が当てはまるとすれば、市場の本格回復が視野に入ってきた、ということになる。この戻りは本物なのか、それとも偽りで、再度大きく崩れる可能性があるのだろうか。感染が止まらない限り都市封鎖などの経済遮断は続き、深刻な景気の落ち込みは続く。しかし、感染が止まり経済が正常化すれば、急速に景気は立ち直り、株価も上昇するだろう。私見を述べれば株価の最悪期は過ぎたのではないか、またジグザグを繰り返しつつも、値上がりトレンドに入っていると思う
第一の理由は、今回の危機は天災であり、経済と金融は健全だからである。1929年の大恐慌や、2009年リーマンショックでは、過剰なリスクテイク、経済のバブル化、デフレ化等の病が深刻で、株暴落の後、銀行の破綻、貸し渋り・貸し倒れなどの金融収縮、不良債権、不良資産の処理等の長くつらい行程が続いた。今回は銀行も家計も企業も財務は健全で、経済はジャンプスタートできる体制にある。また成長の推進力である情報ネット革命によるイノベーションは、コロナ禍によってむしろ加速するかもしれない
第二に政策の支援、安心感がある。過去の危機は全て、インフレ抑制、バブル抑制などを目的とした金融引き締めが起点となった。しかし今回は全く逆、主要国の政府と中央銀行は、できることは何でもやるとして、空前の金融緩和と財政拡大政策を打ち出している。

米国の対応

今や感染者数が4月24日時点で85.6万人、死者4.7万人と感染爆発の中心地になっている米国で株価が堅調なのはひとえにこの安心感による。米国政府はいち早く一家庭36万円の直接給付、失業手当の倍増を含む、2.2兆ドル(GDP比10%)の財政パッケージに続き、第二弾の失業手当上乗せと中小企業支援4540億ドルを決めた。また中央銀行は企業への事実上の直接融資を軸とする2.3兆ドルの資金供給を決めた。財政からの出資金4540億ドルをベースとすれば4兆ドルを超える追加融資が可能となる。加えて200兆円以上のインフラ投資が検討されている。新型コロナがどれほど荒れ狂っても、経済と金融への影響はほぼ遮断できる構えが出来上がったといえる。
今のところ失業者の増加が著しい。米国の新規失業保険申請件数は4週間で2200万人に達し、職を失った人は総雇用の8分の1に達している。これをベースに失業率を計算すれば13%と大恐慌時の25%に次ぐ記録となる。これらの困難は全て天災のせいであり、企業や個人に責任はない。真面目に努力をしている個人や企業が破綻していくことを座視することは政治の任務放棄である。The back stops here(ここですべてをくい止める)はトルーマン大統領の有名な言葉だが、今の米国指導部はまさしくその覚悟で一致しているのである。

日本の対応

日本でも108兆円の大型パッケージが打ち出されたが、新規財政支出(いわゆる真水)は16.8兆円とわずかであり、ケチケチぶりが顕著であった。緊急事態宣言が遅れたのも、財政制約から休業補償が出来ないためと見られている。これでは本末転倒であるが、ケチケチ政策は国民世論に拒絶される情勢である。安倍政権が当初打ち出した、一家庭当たり30万円、但し被害家庭や低所得者に限定という個人給付は、国民と野党、与党内からの大きな反発により棚上げとなり、全国民一人当たり一律10万円の支給となった。前者の予算規模は3兆円、後者の予算規模は12兆円、財務省が主導したケチケチ路線は国民の反発で砕け散ったのである。安倍首相はここで覚悟を決めたはずである。

今後のポイント

ここからのニュースフローは、ポジティブなものが多くなると予想される。

① 感染者、死亡者数がピークアウト、米国でも6月頃には、事態は大きく改善。

② 都市封鎖の用心深い解除の後の破局的に落ち込んだ経済指標の改善。

③ 新型コロナ感染症治療薬とワクチンの開発が世界各地で成果を見せて来る。
それらのすべてが、早ければ年内、遅くとも2年以内での、新型コロナ完全終息に結び付くはずである。パンデミックが収束した時には大きな需要と過剰流動性が想定される。

yoshizaki.jpg武者陵司氏
1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券(株)に入社。 1988年~1993年ニューヨーク駐在、(株)大和総研アメリカでチーフアナリスト、米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券(株)調査部長兼チーフストラテジスト、2005年ドイツ証券(株)副会長を経て、2009年(株)武者リサーチを設立。 著書に『超金融緩和の時代』等がある。

●免責事項 本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、当社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
top
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。 尚、本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。 店頭外国為替保証金取引および店頭通貨バイナリーオプション取引は元本や利益を保証するものではなく、相場の変動や金利差により損失が生ずる場合がございます。お取引の前に充分内容を理解し、ご自身の判断でお取り組みください。<『外貨ネクストネオ』 取引形態:店頭外国為替保証金取引 委託保証金:各通貨の基準レートにより計算された取引金額の保証金率4%以上に設定(法人のお客様は、保証金率1%以上となる額または金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうち、いずれか高い額以上の委託保証金が必要となります。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します) 売買手数料:0円 【注】お客様がお預けになった保証金額以上のお取引額で取引を行うため、保証金以上の損失が出る可能性がございます。また取引レートには売値と買値に差(スプレッド)が生じます。><『外貨ネクストバイナリー』 取引形態:店頭通貨バイナリーオプション取引(満期である判定時刻をもって自動権利行使となるヨーロピアンタイプ) 購入価格:1Lotあたり約40~999円 売買手数料:0円 【注】店頭通貨バイナリーオプション取引は期限の定めのある取引であり、相場の変動等の要因により原資産価格が変動するため、予想が外れた場合には投資元本の全額を失うリスクの高い金融商品です。権利行使価格と判定価格との関係がお客様にとって利益となる場合には自動権利行使によりペイアウト額を得られますが、損失となる場合には権利消滅により全購入金額が損失として確定します。またオプションの購入価格と売却価格には差(スプレッド)が生じます。> 株式会社外為どっとコム 〒105-0021 東京都港区東新橋2-8-1 パラッツォアステック4階 TEL:03-5733-3065 金融商品取引業者登録番号:関東財務局長(金商)第262号/金融先物取引業協会(会員番号1509) (C) Gaitame.com Co.,Ltd. All rights reserved.