「大荒れ相場の心構え」松本英毅 FX特別インタビュー(後編)

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ニューヨークから様々なマーケット情報を発信する、「よそうかい.com」の松本英毅さんに直撃インタビュー。松本さんがマーケットに関わるようになったきっかけ、市場の変遷のほか、トレードの心構えを聞いています。

前編:
https://media.gaitame.com/entry/2020/04/16/125825
中編:
https://media.gaitame.com/entry/2020/04/23/170000

※2020年3月13日取材

▼目次

1.テクニカル分析は確率を高めることが大事
2.大荒れ相場の心構え
3.中国の回復に注目
4.米大統領選について

テクニカル分析は確率を高めることが大事

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PickUp編集部:
お話変わりまして、松本さんは大学では工学部だったと伺いましたが、テクニカル分析でトレードしようと思われないんですか?
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松本:
実は投資家としての最初のころはテクニカル分析をしていました。オプション取引のためにブラックショールズの勉強をして、エクセルでプログラムを組んだりしていましたね。ただ、エクセルは次第にスピードが遅くなり使い物になりませんでしたが・・・。

なぜやめたかというと、確率論で考えたときに個人のテクニカル分析は不利だと思ったからです。
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PickUp編集部:
・・・といいますと?
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松本:
確率論で考えたとき、サンプルは多いほうがいいですよね。資金が豊富にあって、AIのように数多くのトレードをすれば、確率高いトレードにつながる。例えばさいころを数回ころがした程度では、出る目の確率は6分の1にならないわけです。1万回、1億回転がすことによって、想定した確率に近づいていく。そう考えたとき、テクニカル分析でのアプローチは、一人でやるには限界があるという結論になりました。
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PickUp編集部:
理系の人間だからこそ、テクニカル分析は使えないと感じたというのが、興味深いですね・・・。
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松本:
まあファンダメンタルズ分析、楽しいですしね。

ちょっと脱線ですけど、相場のアノマリーってあるじゃないですか。過去20年間で、ある月は円高になりやすい、とか。これもたかだか20年分の、20回のサンプルしかないじゃないですか。
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PickUp編集部:
それを言われちゃうと・・・。
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松本:
アノマリーは、最後まで見ないと、当たったかどうかわからないという弱点がありますね。初めの段階で、わからないんです。 ある月はポンド/ドルは上がる、って言う話は、結果を見るために1か月間待たないといけない。我慢が前提のポジションって、致命的にアレですよね・・・。

しつこいですが、限りのある人生、今年は外れたけど来年頑張ろう、なんて悠長なことは言っていられないと思うんですよね。
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PickUp編集部:
アノマリーも、楽しいんですけどね(笑)。あまり捉えられないようにしたいと思います。

大荒れ相場の心構え

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PickUp編集部:
今回の新型コロナショックや原油価格の急落のような相場急変を、はじめて経験するような初心者のかたにメッセージをお願いします。
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松本:
正直な話、経験を積むほど、立ち向かっていい相場なのか休んだ方がいいのかわからなくなると思うんです。まさに今の相場がそうだと思います。 なので初心者の方にも、経験者にも難しい状況だと思います。

私はボラティリティの高い相場には入らないというルールを持っていますので、いまは積極的なトレードは控えています。 いま相場に入っていい条件としては、大きな値動きがあっても気にしないくらいの資金があることと、明確な相場見通しがある時だけです。
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PickUp編集部:
過去の相場急変時、たとえばリーマンショックを思い出しますと、その前の段階で、欧州系銀行がきっかけとなった金融不安がありましたよね。米系中堅の金融機関に飛び火して・・・
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松本:
はい。大きなショックがあった後は、結構長く続くんですよね。リーマンショックまでの間でも、急変のピークがいくつかあったわけですし、そのピークとピークの間は、結構相場は収まるんですよね。2008年9月のリーマンショックの前を思い出すと、みな楽観的だったんです。最後には、リーマンへの救済策が出るだろうと思っていた・・・。

実は2020年の今回の原油急落の直前も楽観していたんです。サウジが減産しているから、ロシアも同調するだろう、と。先週の今頃は、みんなそう思っていたんです。
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PickUp編集部:
やはり、楽観がひっくり返ると、インパクトが大きいですね。
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松本:
はい。何度かのピークがあるであろう2020年以降のマーケットも、ボラティリティが低い期間は出てきますので、そこでトレードしましょう。

中国の回復に注目

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PickUp編集部:
今後のマーケットについて、どんなシナリオをお持ちですか?
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松本:
皮肉ではありますが、中国から景気回復をしてくるでしょうね。 中国は共産党体制なので、なにをするにもダイナミックじゃないですか。民主的にやる必要がないので・・・。

逆に日本はなかなか物事が決まらない。アメリカは、普通なら回復は早い方なんですが、今回は状況があまりにも悪すぎる。リーマンショックのとき、対応する財務長官がポールソンさんだったんですが、彼は適任だったんです。当時の投資銀行のトップは、ポールソンさんの元部下ばかり。だからポールソン財務長官の一声でまとまったんです。そんな状況でも、米議会で財政政策案が否決されて、マーケットは二番底をつけに行きましたね。 楽観しているときに、まさかの議会否決で相場急変、のいい例ですね。 そのあとは対策が出そろって、何とかなったんですけど。

現在、トランプ大統領のもと、ムニューシン財務長官は全体をまとめあげる力はそこまではないと見ます。そもそもトランプ政権は慢性的にスタッフが足らない。つまり財政政策を大統領が発表しても、まとめあげるスタッフがいないから、後手に回ると考えます。
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PickUp編集部:
おお、なかなか厳しいですね。
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松本:
アメリカではナンシー・ペロシ下院議長に期待が集まっています。ペロシ議員は何といってもオバマケアをまとめあげた人なんです。政治力が強いんです。当時は与党の下院議長でしたけど、彼女の功績は大きいんです。 政治力があると、まとまるものがまとまる。ムニューシン財務長官の下、まとまるものがまとまらないと、このままズルズル行ってしまうでしょうね。 ペロシさんが動くかどうかも重要ですね、キーマンになります。 FRBにおんぶにだっこの状態は続くでしょうね。
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PickUp編集部:
中国の生産はもどりつつあるようですが。
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松本:
生産が止まった余波で、もの不足が続くとすれば、コストプッシュのインフレはあり得ますよね。 物不足が起きた場合、その分の値上がりが、どこまで行くのか。ITの進化で、在庫を持たない経営が一般化していますからね。効率化が高すぎると、上手くいかなくなったとたん、すべてが裏目に出ます。 秋くらいにインフレ圧力が出てくることがあれば、FRBが、利上げに転じないといけないかもしれない・・・
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PickUp編集部:
え、もう利上げですか・・・忙しいですね。
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松本:
まあ、ひとつのシナリオですけどね。利上げとなれば、新たな相場変調につながるかもしれないですよね。 いまは需要がないことが課題になっていると思いますがいずれ改善した時、スタグフレーションになった時は、たいへんかも・・・。これが今考える最悪シナリオですね。

物価動向はチェックしておいてほしいと思います。 社債市場の崩壊も考えておきたいリスクです。
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PickUp編集部:
リスクシナリオばかりなんですが・・・
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松本:
FRBが利下げして小康状態に行くのであれば、短期的には回復の早い中国株などは上がるかもしれませんね。スタグフレーションが意識されたら、すぐおわりますが。

米大統領選について

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PickUp編集部:
米大統領選2020について一言お願いします。
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松本:
4年前、トランプ大統領になってほしくないという気持ちは多かったと思いますね。さらに、トランプ氏が大統領に就任したとき、ここまで無茶をすると、誰も思っていなかったです。大統領という役職が人を作るように、もう少し落ち着くかなと。そうならなかったですけど。トランプ政権に優秀なスタッフがいないなどは問題だったんですが、いままで米経済が良かったので目立たなかった部分でした。この状況になってすべて悪いほうになってしまいました。 アメリカ国民としても、危機になった時はちゃんとした人が必要だと感じていると思います。
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PickUp編集部:
そのトランプ大統領の対抗馬ですが
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松本:
スーパーチューズデーを経て、バイデンさん一本化になっています。ポイントは、副大統領の人選だと思います。バイデン大統領になったとして、おそらくは一期だけでしょうから、彼の政策を託せるような副大統領をちゃんと選べるかということになると思います。 いま名前が挙がっているのはカーマラ・ハリス、ブティジェッジ、ベト・オルークですね。大統領選は副大統領候補込みでのキャンペーンなので重視ですね。

トランプ大統領としてもこの難局を切り抜けられれば再選のチャンスですよね。あと、FRBがゼロ金利にしてしまった今、できる振興策としては対中関税の撤廃でしょうね。
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PickUp編集部:
おお、なるほど。
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松本:
中国株が上がる要因になりますけど。いま関税を引き上げても、ものが入ってこないから意味ないですし。今は新型コロナを理由にできる時期というのもありますね。米議会の協力が不要な関税については、大統領判断でできるんじゃないですかね。早いうちにあれば、夏までは相場が落ち着くかもしれません。
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PickUp編集部:
本日はありがとうございました。

PickUp編集部

大荒れとなった3月ドル/円層相場は、ひと月で約10円の値幅を記録しました。
そのような状況とは打って変わり、ボラティリティが低い相場が続いています。

松本さんは 「ボラティリティの高い相場には入らないのがマイルール」とおっしゃっており、 「ボラティリティの低い期間でトレードしましょう」と話されていました。

なかなか方向感がつかめない相場ではありますが、 ボラティリティが低いからこそのトレードチャンスや、 マイルールやトレードシナリオを構築できる期間なのではないかと考えさせれました。

【インタビュー】

f:id:gaitamesk:20050928094155j:plain 松本英毅 氏
よそうかい・グローバル・インベスターズ・インク代表。 会員制米国市場情報サイト「よそうかい.com 」を運営。ニューヨークを拠点に活動し、実際のトレードに役立つ情報提供を身上とする。金融から商品市場まで幅広い知識を有しており、一つの銘柄に捉われることなく総合的な判断を下すことができるのが強み。中でも、1バレル=10ドル時代から追い続けてきた原油市場については造詣が深い。トレード経験を活かした切り口の鋭い分析に定評がある。
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