バイデンが選ぶ副大統領候補はどんな女性か? 吉崎達彦(双日総研チーフエコノミスト) 米大統領選2020

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3000万人の新規失業保険申請件数

新型コロナウイルスによる全米の死者は急増し、6万7447人を数えるに至っている(5/4朝時点)。この数字は、朝鮮戦争(3.6万人)やベトナム戦争(5.8万人)の犠牲者よりも多い。今後も感染拡大が続くようなら、第1次世界大戦(約12万人)を超えるかもしれない。その次に控えるのは第2次世界大戦(約40万人)か、あるいは南北戦争(80万人)か。
 アメリカにとっては、文字通りの国家的危機と言っていい。経済面への影響も深刻度を増している。今年1-3月期GDP成長率(速報値)は年率▲4.8%の大マイナスだった。さらに足元の4-6月期は、「2割から3割減」と予想する声が上がっている。
差し当っての注目は、5月8日(金)に公表される4月の雇用統計だ。何しろ新規失業保険申請件数は、直近6週間の合計が3000万件余りとなっている。3000万人といえば、全米の労働力人口の2割程度に相当する。3月の失業率は4.4%だったが、4月分の数値はいきなり「大恐慌以来」の水準に跳ね上がるかもしれない。

新型コロナと大統領選への影響

 経済状況の急激な悪化は、トランプ再選戦略にも陰を落としている。当初、新型コロナ感染者はニューヨーク州やカリフォルニア州といったブルーステーツで多く、共和党支持者はあまり危機感を感じていなかった。今も保守派が経済活動の早期再開を求め、リベラル派は人命優先で外出禁止措置の継続を支持する、という「対立軸」が生じつつある。
最近はミシガン州やペンシルベニア州、フロリダ州といった激戦州で感染者が増え、これらの地域で政権支持率が低下するに至っている。トランプ大統領は強気のポーズを崩さず、中国を批判するなどして責任転嫁の相手を探しているようだ。
 これに対し、民主党内の正式候補となったジョー・バイデン元副大統領(77)は、バラク・オバマ元大統領、ヒラリー・クリントン元国務長官など、党内主要人物からのエンドースメントを受け、着々と足場を固めつつある。とはいえ、派手な動きができない辛さ、デラウェア州の自宅からビデオメッセージを発信するという「目立たない選挙戦」を展開中である。

女性副大統領候補の3人

 そんな中で、注目が集まるのは「副大統領候補の選定作業」である。既にバイデン氏は「女性を選ぶ」ことを明らかにしている。現時点で考えられる候補者を3人、挙げてみよう。
 1番手はカーマラ・ハリス上院議員(55)。インド系とカリブ系の両親を持つマイノリティで法律家出身。ディベートの達人で、序盤の大統領候補討論会でバイデン氏をきりきり舞いさせたことは語り草である。巨大州カリフォルニアの選出であることから、ファンドレイジング(資金集め)にも貢献が期待できよう。
 2番手はエイミー・クロブチャー上院議員(59)。ミネソタ州選出で、大統領予備選も最終盤まで残った。党内では穏健派に属し、考え方もバイデン氏と近い。高齢のバイデン氏が1期だけで大統領を引くとしたら、2024年にバトンを託す相手として適しているだろう。最近、夫が新型コロナに感染し、そこから無事に回復したのもグッドニュースだ。
 3番手はグレチェン・ホイットマー知事(48)。感染者数急増中のミシガン州にあって、その陣頭指揮に注目度が上がっている。彼女の売りは、とにかく地元中西部における人気の高さ。民主党が2020年選挙で勝つためには、前回失ったミシガン州やウィスコンシン州を取り戻すことが欠かせない。彼女が選ばれるとしたら、まさに「勝利への選択」となる。
 副大統領候補の選定作業は4月初旬から始まっており、そろそろ答えが出てもよい頃だ。11月3日の投票日までは残り半年を切った。誰を”Running Mate”に選ぶかで、バイデン氏が選挙戦において何を重視しているかがわかるだろう

バイデン候補に女性問題が浮上

しかしここへきて、バイデン陣営に頭の痛いスキャンダルが浮上している。かつて議会スタッフであったタラ・リードさんが、1993年にバイデン上院議員(当時)からセクハラを受けたと訴えている。バイデン氏は否定しているが、清廉潔白なイメージの同氏にとっては痛手である。
上述の「副大統領候補」の女性たちは、揃って「バイデン氏を信じる」としているものの、一抹の歯切れの悪さが残る。大統領選における「女性票」の重みを考えれば、この問題の扱いはまことに悩ましい。
 他方、似たような訴えを多数抱えているトランプ氏は、「かかる不当な訴えに対して共闘しよう」とバイデン氏に呼び掛けている。いかにもトランプ流の厚かましさだが、バイデン氏としては、「アンタと一緒にしてくれるなよ」と言いたいところであろう。

yoshizaki.jpg吉崎達彦氏
1960年富山県生まれ。1984年一橋大学卒、日商岩井㈱入社。米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て企業エコノミストに。日商岩井とニチメンの合併を機に2004年から現職。 著書に『アメリカの論理』『1985年』(新潮新書)、『オバマは世界を救えるか』(新潮社)、『溜池通信 いかにもこれが経済』など。ウェブサイト『溜池通信』(http://tameike.net )を主宰。テレビ東京『モーニングサテライト』、BS-TBS『Biz Street』などでコメンテーターを務める。フジサンケイグループから第14回正論新風賞受賞。

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