「ドルと円の動きが同調しやすい流れに」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年6月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 5月の推移
・5月の各市場 
・5月のドル/円ポジション動向
・6月の日・米注目イベント
・ドル/円 6月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のユーロ/円ポジション動向
・6月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 6月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 5月の推移

5月のドル/円相場は105.988~108.086円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.6%の小幅高(ドル高・円安)となった。各国で新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)が段階的に解除され、経済活動再開への期待が高まった半面、感染第2波への警戒感や米中対立への懸念もくすぶり続けた。このため、ドル/円相場は膠着商状となり、最終的に月間の値幅は2020年最小の2.10円ほどに留まった。

上旬は、トランプ米大統領の対中強硬姿勢などを背景に米中対立懸念が強まる中で3月17日以来の106円台割れを示現。しかし、本邦実需勢のドル買いなどに支えられて下値は堅く、11日には107円台を回復した。米5月雇用統計は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停止の影響で歴史的な悪化を示したがドル/円相場への影響は限られた。その後、19日には一時108円台に上昇したが、ドル買い・円売りも続かず、下旬はほぼ107円台に留まるなど、一層膠着した。

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1日
前週末にポンペオ米国務長官が「新型コロナの起源が武漢の研究所である事を示す膨大な証拠がある」と述べ、この日はトランプ米大統領が「中国は新型コロナを阻止できないか、しなかった」「中国への対応で関税を活用する可能性」などと発言。米中対立リスクで円が強含んだ。なお、米4月ISM製造業景況指数は41.5と、予想(36.0)ほどには悪化しなかった。

6日
米4月ADP全国雇用者数は2023.6万人減を記録(予想:2055.0万人減、前回:14.9万人減)。減少幅は過去最大となり、新型コロナの影響で米雇用が瞬間的に失われた事を示す結果となった。また、米財務省は翌週の四半期定例入札で発行する国債の規模を過去最高の960億ドルに引き上げた。いずれも、ドルの反応は小さかった。

8日
米4月雇用統計は非農業部門雇用者数が2053.7万人減と大幅な落ち込みとなり、失業率は戦後最悪の14.7%に上昇したが、いずれも予想(2200.0万人減、16.0%)ほどには悪化しなかった。なお、平均時給は前月比+4.7%、前年比+7.9%と伸びが急加速した。飲食・小売業など比較的低賃金の業種で失職者が増えたため、就業者の平均賃金が押し上げられた模様。

11日
米長期金利の上昇を背景にドル高が進むと、ドル/円は107.76円前後まで上伸。エバンズ米シカゴ連銀総裁がマイナス金利について「もっと研究する必要はあるが、米国で使用する政策手段になるとは見込まない」と述べ、ボスティック米アトランタ連銀総裁も「マイナス金利の熱心な支持者ではない」と発言した。

14日
トランプ米大統領が「強いドルを持つには良い時期だ」と述べた事でドル買いが強まった。なおトランプ大統領は「貿易の面では厳しいが、国や物価の面ではインフレもなく問題ない、現時点では強いドルを持つ事は良い事だ」との認識を示した。

15日
米4月小売売上高は前月比-16.4%と予想(-12.0%)を下回り、過去最大の落ち込みを記録。自動車を除いた売上高も-17.2%と大幅に落ち込んだ(予想:-8.5%)。米4月鉱工業生産も、前月比-11.2%と予想(-12.0%)ほどではないにせよ、大幅な減少を記録。その後、米商務省は中国通信機器最大手ファーウェイに対する事実上の禁輸措置を強化すると発表。外国で製造した半導体でも米国製の製造装置を使っていればファーウェイに輸出できなくなった。

18日
日本1-3月期国内総生産(GDP)・一次速報は前期比年率-3.4%と前の期に続いてマイナスを記録。ただ、マイナス幅は予想(-4.5%)ほど大きくなかった。なお、NY市場では翌日に行われるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言のテキストが公表された。「経済が最近の困難な出来事を乗り越え、最大限の雇用と物価安定という目標を達成する軌道にあると確信するまで、当局は金利をこの水準に維持する見通し」だと表明する事などが明らかになった。

22日
日銀は臨時金融政策決定会合を開き、中小企業などへの資金繰り支援として30兆円規模の資金供給策を決定。ただ、事前報道通りの内容であった上に、総裁会見が行われない事もあって発表後は「出尽くし」の円買いが優勢となった。

28日
中国の国会に当たる全国人民代表大会は、香港の統制を強める「国家安全法」の制定方針を賛成多数で採択。米国を始め国際社会の反対を押し切っての採択となったが、採択自体は織り込み済みのため市場に目立った反応は見られなかった。なお、NY市場終盤には、トランプ米大統領が翌29日に記者会見を開き中国に関する新たな政策を発表すると明らかにした。

5月の各市場

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5月のドル/円ポジション動向

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6月の日・米注目イベント

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ドル/円 6月の見通し

米国では、5月20日までに全50州が新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)の緩和または一部解除に踏み切った。これまで市場は、「経済活動停止による先行き不安」を「経済活動再開への期待」で打ち消してきたが、これからは、米経済が期待に沿った回復を歩んでいるかを数値で確認できる事になる。

市場には、非農業部門雇用者数が2053.7万人という歴史的な減少を記録した4月が米景気の底(ボトム)にあたるとの見方が多い。そうしたなか、6月は5月分の米経済指標の結果に注目が集まると見られ、予想を上回ればドル買い、下回ればドル売りという「是々非々」の反応が復活する可能性もある。まずは、非農業部門雇用者数が5月にどれ程減少幅を縮小するか注目したい(1日時点の市場予想中央値は800.0万人減)。その他、小売売上高や鉱工業生産も4月は過去最大の落ち込みを記録しており、5月の持ち直しの度合いが注目される。

新型コロナウイルスを巡る情勢や、米中の対立および、白人警官が黒人男性を死亡させた事件をきっかけとする米人種差別抗議デモなどはドル/円相場を動かす材料になりにくい(ドルと円が他通貨に対して同方向に動きやすいため)。

それだけに、6月のドル/円はもみ合い商状が続く公算が大きいと見るが、もし動きが出るとすれば、米経済に対する市場の見方に変化が出た場合であろう。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 5月の推移

5月のユーロ/円相場は114.417~119.895円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.0%の上昇(ユーロ高・円安)となった。新型コロナウイルス感染拡大による欧州経済の落ち込みが懸念される中、ユーロ売りが先行。独憲法裁が欧州中銀(ECB)の量的緩和に一部違憲の判断を示したことも重しとなり3年ぶりに115円台を割り込んだ。

7日には114.417円前後まで下落して2016年11月以来の安値を付けた。しかしその後は、断続的にユーロを買い戻す動きが強まり、29日には約2カ月ぶりに119.895円前後まで反発。ユーロ共同債の発行による復興基金創設への期待が高まった事や、独仏など主要国で景況感が改善し、新型コロナ不況の底入れ期待が浮上した事が反発の背景となった。

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5日
独憲法裁は、欧州中銀(ECB)による各国の国債購入を一部違憲と判断した。独政府や連邦議会の関与なしに政策が決定されている事を問題視した。ECBが新たに政策の必要性などを示さない場合、独中銀が実施している国債購入を3カ月以内に中止すべきだとの考えを示した。これを受けてユーロ売りが活発化した。

6日
ユーロ圏3月小売売上高は前月比-11.2%と予想(-10.6%)を下回り、過去最悪の減少を記録。欧州委員会は2020年のユーロ圏の経済成長率が-7.7%と過去最大の落ち込みになるとの見通しを示した。

8日
ユーロ圏財務相会合は、欧州安定化メカニズム(ESM)を活用してユーロ圏内各国に信用枠を設定する事で合意。財政不安がくすぶるイタリアやスペインなどの国債利回りが低下する中、ユーロはやや強含んだ。

11日
シュナーベルECB理事は、独憲法裁判所の違憲判断でもECBは今後も量的緩和(QE)を実行すると表明。「ECBは欧州の機関であり、ECBとその行動は欧州連合(EU)司法裁判所が独占的な裁判権を持っている。ECBが行動する意志と能力は妨げられない」と述べた。これを受けてユーロは買いが優勢となった。

15日
独1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比-2.2%と予想に一致。10-12月期が前期比-0.1%に下方改定された事で、ドイツの景気後退(リセッション)入りが確認された。なお、ユーロ圏1-3月期GDP・改定値は前期比-3.8%で修正はなかった。

18日
独仏首脳は5000億ユーロ規模の復興基金設立を支持する事で合意。資金は共同で調達し、新型コロナで打撃を受けた欧州連合(EU)加盟国に配分。返済はEU予算への寄与に基づいて行われる計画を提案した。今後、加盟27カ国の支持を取り付けられるかが焦点となるが、メルケル独首相は会見で「ドイツとフランスが指導力を発揮すれば、EU内の意見集約を進める事ができる」と述べた。米企業の新型コロナワクチン開発期待で欧米株が上昇した事も相まってユーロ買いが強まった。

21日
仏5月製造業PMI・速報値は40.3、同サービス業PMI・速報値は29.4といずれも予想(36.0、28.0)を上回った。独5月製造業PMI・速報値は36.8(予想:39.4)、同サービス業PMI・速報値は31.4(予想:26.0)とマチマチの結果になった。また、ユーロ圏5月製造業PMI・速報値は39.5(予想:38.0)、同サービス業PMI・速報値は28.7(予想25.0)であった。

22日
欧州中銀(ECB)は4月30日の理事会の議事録を公表。「6月までに入手できる新たな情報次第で追加措置が必要になるとの認識で一致した」などと、追加緩和の可能性に言及した。

25日
独5月Ifo企業景況感指数(期待指数)は80.1と予想(75.0)を上回り、過去最低を記録した前月(69.4)から大きく改善。独仏が提案したコロナ復興基金計画について、オーストリアなど4カ国が反対の共同文書を前週末に提出した事でやや弱含んでいたユーロは、これを受けて持ち直した。

27日
欧州委員会は7500億ユーロ規模のコロナ復興基金の創設を提案。共同債で資金調達を行った上で、5000億ユーロを助成金とする他、2500億ユーロを融資とする内容。独仏案を上回る規模の欧州委員会の提案を好感してユーロは上昇した。

5月の各市場

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5月のユーロ/円ポジション動向

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6月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 6月の見通し

5月のユーロの反発は、前ページで示した通り「ユーロ共同債」 によるコロナ復興基金への期待であった。6月18-19日の欧州連合(EU)首脳会議が全会一致で復興基金を承認すれば、ユーロ圏経済の回復期待を高めることになろうが、過剰な期待は禁物だろう。EUの財政協議がすんなりと纏まったケースは少ない。

財政移転に繋がる「ユーロ共同債」の発行を渋っていたドイツが賛成に回った事は好材料だが、オーストリア、オランダ、デンマーク、スウェーデンのいわゆる「倹約4カ国」の反対は根強い模様だ。仮に、18-19日の首脳会議で合意できないとなれば、ユーロは下落圧力に晒されるだろう。

首脳会議は、欧州委員会が提案した5000億ユーロの助成金と2500億ユーロの融資のうち、返済不要の助成金の減額などの部分合意に留まる可能性もありそうだ。その場合でも、これまで期待で買われてきたユーロにやや下落圧力がかかる可能性がある。

6月のユーロ相場にとって最大の注目ポイントは、EU首脳会議で「欧州の結束」を示せるかどうかであろう。

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