「不動のドル/円、可動のクロス円」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2020年6月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のポンド/円ポジション動向
・6月の英国注目イベント
・ポンド/円 6月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月の豪ドル/円ポジション動向
・6月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 6月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 5月の推移

5月のポンド/円相場は129.410~135.076円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.3%下落(ポンド安・円高)した。

新型コロナウイルスの発生経路などを巡る米中の対立が懸念された事や、英中銀(BOE)の追加緩和観測が高まった事などからポンド売り・円買いが先行。BOE金融政策委員会(MPC)のホールデン委員がマイナス金利に言及した18日には約2カ月ぶりに129.410円前後まで下落した。

しかしその後は、各国でロックダウン(都市封鎖)の緩和が行われ経済活動再開への期待が高まった事や、英経済指標に底堅い結果が目立ったことから買い戻しが優勢となった。月末の投資資金再配分(リバランス)の動きもあって29日には133.40円台まで下げ幅を縮小して5月の取引を終えた。

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6日
英4月建設業PMIは8.2と予想(21.7)を大きく下回り、統計開始以来で最低を記録した。

7日
BOEは政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラムの規模(6450億ポンド)をいずれも据え置いた。同時に公表した議事録では、9人のMPCメンバーのうち2人が資産買い入れプログラムの規模を1000億ポンド拡大すべきとして据え置きに反対した事が明らかになった。

また、BOEインフレレポートでは2020年の成長率が-14%、2021年は+15%との予測が示された。なお、ベイリーBOE総裁はその後の会見で「金融政策の手段がなくなったわけではなく、その都度適切に行動する」と表明した。

12日
ブロードベントBOE副総裁はメディアとのインタビューで、景気下支えのために追加緩和が必要になるかもしれないとの認識を示した。「BOEは全ての政策手段を検討」「これには政策金利をゼロ以下にする事も含まれるが、利益よりも害をもたらすリスク」があると述べて、次の一手は資産買い入れプログラムの拡大が有力である事を示唆した。

13日
英3月鉱工業生産は前月比-4.2%と予想(-5.6%)ほど減少しなかった。また、英1-3月期国内総生産(GDP)も、前期比-2.0%、前年比-1.6%と予想(-2.6%、-2.2%)ほどには落ち込まなかった。これを受けてポンドはやや上昇したが、米中対立への警戒感などから米国株が下落したため反落した。

15日
英国と欧州連合(EU)は将来の通商関係を巡る3回目の交渉を終えた。英国の対EU交渉担当責任者であるフロスト氏が「残る最重要課題の合意に向けた進展はほとんどなかった」と述べた一方、EU側のバルニエ主席交渉官も「非常に失望した」とした上で、「漁業と公平な競争条件に関するバランスの取れた合意がなければ、合意はあり得ないだろう」と述べた。

18日
BOEのホールデンMPC委員が「マイナス金利の検討が必要になる」と発言した事が、前週末に報じられた。これを受けてポンドは売り先行で取引が始まったが、新型コロナワクチン開発への期待で欧州株が上昇する中で持ち直した。

19日
英4月失業率が5.8%に急上昇(前回:3.5%)した他、同失業保険申請件数も85.65万件増と前回(0.54万件増)から急増。新型コロナウイルスの影響で英国の雇用が4月に急激に悪化した事が改めて確認された。

20日
英4月消費者物価指数は前月比-0.2%、前年比+0.8%となり、いずれも予想(-0.1%、+0.9%)を下回った。また、同生産者物価指数も前年比-0.7%と予想(-0.5%)を下回って低下した。また、ベイリーBOE総裁は、議会証言で「BOEは新型コロナウイルスによる危機の中で金利の下限について積極的に検証を続けており、マイナスにする事も排除しない」と発言した。

21日
英5月製造業PMI・速報値は40.6(予想:37.2)、同サービス業PMI・速報値は27.8(予想:24.0)であった。

22日
英4月小売売上高は前月比-18.1%と予想(-15.5%)以上に落ち込んだ。自動車燃料を除く売上高は前月比-15.2%(予想:-15.0%)であった。英中銀(BOE)のラムズデン副総裁が、マイナス金利の導入に「オープンマインド」との見解を示した事もポンドの重しとなり、ポンド/円はその後130.60円台まで下落した。

5月の各市場

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5月のポンド/円ポジション動向

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6月の英国注目イベント

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ポンド/円 6月の見通し

6月のポンド相場のメインテーマは、英国と欧州連合(EU)の通商交渉になると見られ、焦点は2020年末までの移行期間の延長の有無となろう。

延長の有無は双方の合意に基づき6月末までに判断する必要がある。EU側は延長に前向きと見られるが、ジョンソン英政権は、交渉の行方にかかわらず6月末で打ち切る方針だ。5月までに行われた交渉はことごとく不調に終わっており、6月1日から4日にかけて行われる第4ラウンドの交渉でも合意に至る公算は小さいと見られる。

なお、英・EU交渉における懸案事項は、英水域でのEU漁船操業を巡る「漁業問題」と、政府補助金などを巡る「公正な競争条件」となっている。6月末までに通商合意に至らない場合でも、英国側が移行期間延長に方針転換すればひとまず事なきを得る格好となり、ポンドは底堅く推移しよう。ただ、現時点ではその可能性は低そうだ。仮に、通商合意に至らず移行期間の延長もないとすれば、来年1月に英・EU間に関税障壁が生じ、「合意なき離脱」と似た状況に陥る可能性が高まる事になるためポンドは下落する公算が大きい。

この他、EU側が今後の方針を決定する18-19日の首脳会議および、月内の開催が決まったジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長のトップ会談が注目イベントとなる。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 5月の推移

5月の豪ドル/円相場は67.633~71.928円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.0%上昇(豪ドル高・円安)した。2カ月連続での上昇であり、3月に付けた約11年ぶりの安値59.875円からの上昇率は20%を超えた。

豪ドル高の背景は、(1)豪州における新型コロナウイルスの被害が比較的小さかった事、(2)豪中銀(RBA)がマイナス金利の導入に後ろ向きな事、(3)各国で新型コロナ対策の行動制限措置が段階的に解除され経済活動の再開期待が高まった事、(4)(3)によって原油や株式などのリスク資産価格が上昇した事、などが挙げられる。

一方で、香港問題を巡り米中の対立が再び激化している事や、豪中関係にも悪化が見られる事などはマイナス材料だが、5月相場ではそうした点が材料視されるケースは少なかった。

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1日
前日に、ポンぺオ米国務長官が「新型コロナの起源が武漢の研究所である事を示す膨大な証拠がある」と述べた事などから米中対立への懸念が強まると豪ドルは売り優勢となった。

5日
RBAは政策金利を0.25%に据え置くとともに、3年債利回りを0.25%に誘導するよう国債買い入れを行う「イールドカーブ・コントロール」も維持。声明では「債券購入を再び拡大する用意があり、債券市場の機能維持に必要なあらゆる措置を講じるつもりだ」と表明した。

6日
豪3月小売売上高は前月比+8.5%と予想(+8.0%)を上回った。ただ、新型コロナウイルスの影響が深刻化する前のデータとして材料視されなかった。

7日
豪3月貿易収支は106.02億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(60.00億豪ドル)を上回った。鉄鉱石などの輸出が急増した事が黒字拡大に寄与した。一方、直後に発表された中国4月財新サービス業PMIは44.4と市場予想(50.1)を下回った。また、中国4月貿易収支は輸出が前年比+3.5%と予想外に伸びた事から453.4億ドルの黒字(予想:86.8億ドルの黒字)となった。

8日
RBAは四半期金融政策報告を公表。「必要な場合には債券買い入れを拡大する用意がある」「雇用と企業を支えるために可能な対応にコミットする」「雇用とインフレが改善するまで政策金利は引き上げない」などと表明。

その後、中国の劉副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)およびムニューシン財務長官が電話協議を行い、第1段階の貿易合意の実行に米中双方が取り組む事で合意したと伝わった。米中対立懸念が和らぎ、豪ドル買い・円売りが優勢となった。

12日
中国が豪州の食肉処理場4カ所からの輸入を停止したと発表した事を受けて豪ドル売りが活発化した。中国は前日にも豪州産大麦に対する関税賦課を決めた。新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を主張する豪州と、これに強く反対する中国の対立が鮮明化した格好。

14日
豪4月雇用統計は新規雇用者数が過去最悪の59.43万人減、失業率は2015年9月以来の6.2%に上昇した(予想:57.50万人減、8.2%)。失業率は予想ほど悪化しなかったものの、労働参加率が63.5%に急低下(職探しを諦めた人が急増)したためであり、好評価には繋がらなかった。これを受けて豪ドル/円は下落した。

19日
RBAは5月5日の理事会の議事録を公表。「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により豪経済は『前例のない』著しい縮小に直面している」との認識が示された。ただ、「財政・金融両面の大規模な刺激策が打撃を和らげる見込み」とした。また、基本シナリオでは今年上半期の国内総生産(GDP)が10%、年間では6%、それぞれ減少すると予想した。

21日
ロウRBA総裁は、マイナス金利導入の可能性について問われ、「非常に低い」と答え、「コストが利益を上回ると私は考えている」と説明した。ただ、トランプ米大統領が「中国は簡単に新型ウイルスの感染拡大を防ぐ事ができたのに、上からの命令でそうしなかった」などとツイートし、米中対立懸念が強まった事で弱含んでいた豪ドルの反応は薄かった。

28日
中国の国会に当たる全国人民代表大会は、香港の統制を強める「国家安全法」の制定方針を賛成多数で採択。米国を始め国際社会の反対を押し切っての採択となったが、採択自体は織り込み済みのため市場に目立った反応は見られなかった。

5月の各市場

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5月の豪ドル/円ポジション動向

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6月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 6月の見通し

ここ2カ月の間、豪ドルを押し上げてきたのは、「コロナ禍でも意外に底堅い豪州経済」という評価や、「世界景気は4月に底入れし、5月以降は上向き」 という見方であろう。これらが持続するかが6月の豪ドル/円相場の焦点となる。

豪州経済については、豪中銀(RBA)のロウ総裁も5月28日の議会証言で「景気の落ち込みは想定ほど深刻にならない見込みだ」との見解を示しており、その上で「マイナス金利の導入や一段の量的緩和が必要になる可能性は低い」と述べた。2日のRBA声明や16日のRBA議事録でも同様の見通しが示されると見られ、豪ドルのサポート要因となりそうだ。

他方、世界景気回復期待の持続性については、主要株式市場が期待を過剰に織り込んでいる疑いも拭えないため、やや気掛かりだろう。NYダウ平均が2-3月の下げを5月までに65%以上埋めた他、豪州のASX200指数も下げ幅を50%超回復している。

米中関係の緊張などのリスク要因がくすぶる中、株価に上値余地が残っているかが豪ドル/円相場にとってカギとなりそうだ。仮に株価が失速するようなら、豪ドル/円は足元の上昇の反動で下げがきつくなる可能性がある点には注意が必要だろう。

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