総括
金融市場安定へ 世界の中国批判は一様ではない（国家安全法で）
予想レンジ 人民元/円 14.8-15.8
（ポイント）
＊香港への国家安全法が採択される
＊米英加豪は国家安全法を批判
＊英銀は国家安全法を支持
＊製造業PMIなど経済指標はまずまず
＊中国は国家安全法は内政問題と主張
＊為替、株は小戻し
＊今年の成長目標を建てず(全人代）
＊景気回復を反映し金利が低下しなくなった
＊対豪関係も悪化
＊米中貿易交渉は進展
＊IMFは中国の回復を示唆
＊政府は2Qから経済が正常化するとしている
＊今年は「第13次5カ年計画」の最終年
＊政府は新型ウィルス感染は2月がピーク、4月に収束とした
＊米国は中国の為替操作国の認定解除
＊中国GDPが100兆元へ近づく
（一様ではない世界の中国批判（国家安全法で）」
米中関係が香港問題で悪化している中で、株安、元安、債券安が少しTづづいたが、軽度なものに過ぎない。5月31日に発表された5月製造業PMIは50.6と無難なものになった。中国はコロナウィルス感染や景気回復については、ほぼシナリオ通りに進んでいる。香港に関する国家安全法の制定でトランプ大統領を中心に批判が始まった。トランプ大統領は対抗措置として、香港に認めてきた貿易などの優遇措置を停止し、当局者に制裁を科す方針を発表した。中国は一歩も引かずという姿勢をとるだろう。トランプ大統領は、中国の新型コロナウイルス対策や産業スパイ行為も批判した。ただ、具体的にいつ、どのように実行に移すかには言及していない。大統領は、秋の大統領選挙を念頭に、中国に強硬姿勢を示すことで、新型コロナウイルスへの対応などでみずからに向けられた批判をかわすねらいがあると見られる。
ただ他国の動きは一様でない。EUのボレル上級代表は、中国への制裁は「中国との問題を解決する方法ではない」と述べたうえで、国連の会議で制裁に言及したのは27か国中1か国だけだったことを明らかにした。また「中国が重要であることに疑いの余地はなく、われわれの利益に基づいて今後も中国との関係を続けていく」と述べ、アメリカと中国の対立が激化する中で、米国とは一線を画し、気候変動や貿易などで中国と協力していく考えも示した。米国も米中通商合意は維持する姿勢を示している。
（5月財新製造業PMIは）
5月財新製造業PMIは50.7と、前月の49.4から上昇した。新型コロナウイルス感染拡大抑制策が緩和されたことを受けて好不況の分かれ目となる50を上回ったが、輸出受注は低迷が続き小幅な改善にとどまった。
企業が業務を再開し過去の受注をこなしたため生産が急拡大した。分断されていたサプライチェーンが安定してきたことも寄与した。
ただ需要は依然として低水準にとどまっている。主要な貿易相手国でロックダウンが終了していないことから新規輸出受注指数は50を大きく下回っている。
（HSBCとスタンダードチャータード、、香港安全法を支持 英政府は）
英金融大手のHSBCとスタンダード・チャータードは、中国が制定方針を採択した「香港国家安全法」に支持を表明した。これまで維持してきた政治的な中立性を破った格好となった。
HSBCは中香港国家安全法で香港に安定がもたらされることを望んでいるとし、スタンダードは、香港の長期的な経済、社会的な安定維持の一助になるとの見解を示した。
一方1997年に香港を中国に返還した英国は、香港国家安全法は「権威主義的」だとし、香港返還を巡る1984年の中英共同宣言に基づく「一国二制度」に違反するとの立場を示している。
(香港ハンセン指数 暴落とならず）
中国の香港に対する国家安全法制定で香港株は一時大きく下落したが今週は戻し、年初来13.71％安と、コロナウィルス感染で大きく下落している世界の他の市場と変わりはない動きに戻っている
（ドル元相場も落ち着く）
香港への国家安全法の制定でドル円相場も一時7.17台まで上昇するも昨日は7.11台へ下落、落ち着き始めている
(中国の言い分）
中国外務省は、中国の利益を損ねようとする米国の試みは断固とした対抗措置に直面すると警告した。トランプ米大統領が、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したことに反発した。趙立堅外務省報道官は、両国は相互協力で利益を得られる関係にあるが、中国は安全保障及び経済発展における自国の利益を断固として守る決意だと強調した。
「公表された措置は中国の内政への著しい干渉であり、米中関係を損ない、双方に打撃を与える。中国は強く反対する」と主張。「中国の利益を損なう米国のいかなる発言、行動は中国の強力な反撃にあう」と述べた。
テクニカル分析（人民元/円）
一気にボリバン上限越え
日足。ボリバン下位から一気に上限越え。6月1日-2日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足。ボリバン中位へ上昇。3月23日週-5月18日週の下降ラインが上値抵抗。5月4日週-25日週の上昇ラインがサポート。
月足、20年3月-4月の下降ラインを上抜く。3月-5月の上昇ラインがサポート。ボリバン下位。
年足、11年-19年の上昇ラインを下抜く。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
天安門事件の追悼集会を禁止
香港で集会が禁止されるのは、事件のあった1989年以降で初めてとなる。
当局は、新型コロナウイルスによる健康懸念を受けた決定だと説明している。
しかし中国は先月、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を全人代で採択しており、追悼集会が二度と開けなくなるのではないかとの懸念が出ている。
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