急落止まるが依然低迷、外貨準備枯渇懸念、リラ安の原因と対策は

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次回の掲載は2020年9月1日の予定です。


総括

急落止まるが依然低迷、外貨準備枯渇懸念、リラ安の原因と対策は

(通貨11位、株価10位) 

予想レンジ トルコリラ/円 14.0-15.0

(ポイント)
*先週のリラは対円、対ドルで4%下落
*トルコ中銀がリラ安を防衛出来ないとの見方か強まった
*オーバーナイト金利は1000%まで上昇
*リラ安の要因と対策は
*7月消費者物価は鈍化
*EUと3つの対立軸あり
*株価指数がプラス圏グループから脱落
*政府と民間の成長予想に差異
*貿易赤字が続く
*政策金利は据え置き。インフレ懸念が強まっている
*外貨預金の準備率を引き上げ
*外貨準備は減少
*リラ売り銀行の取引停止、外貨購入税の引き上げ、輸入関税でリラ安阻止
*1Q・GDPは前年比4.5%とまずまず
*預金準備率引き下げ
*VWは工場建設をコロナ感染で延期
*長期金利は14%台へ上昇
*カタールの枠増加に続きに続き中国ともスワップ協定締結
*フィッチこれ以上の格下げはないと表明
*非居住者との間の為替スワップを制限

(ドル売りの要因の一つ、実質マイナス金利)
 貿易赤字、経常赤字、高インフレ、通貨安なのでそれを抑制するためにトルコリラは高金利となる。トルコだけでなくメキシコペソ、南アランドもそうだ。かつては豪、NZ、英米もそうであったがこれらの国は高金利がインフレを抑制し需給も改善することによって通貨も安定することとなった。メキシコ、南アもそうだがトルコは投資規制で海外からのリラ売りを抑制したが、それはトルコへの投資も抑え込むこととなった。またエルドアン大統領の「低金利がインフレを抑制する」という持論での中銀への利下げ強制も限界がきてインフレが10%を越え、政策金利を上回り実質マイナス金利となったこともリラ売りを誘った。
 為替スワップ市場を規制することとなり、日本の個人投資家にも市場の高金利がもたらされなくなり、追加投資も阻まれたのだろう。
金融政策の矛盾が生じ、中銀は市場からは利上げを期待されている。エルドアン大統領が認めるかどうか、認めなければ再び混乱を生じさせる。
 リラ防衛介入も外貨準備の減少で思うようにできなくなった。また同じように高金利で通貨安の南アやメキシコであるが、インフレと金融政策には矛盾はない。トルコも先ずは理論通りの政策に戻すことや規制を緩和することが市場からの信頼を取り戻すこととなる。ただ南アやメキシコのように資源国でないこと、中国との貿易依存度が低いことが弱点となっている。

今週は注目の経常収支の発表がある。また毎週発表される外準にも注意したい。16年のクーデター未遂、18年の米国人牧師拘束による米国からの制裁とトルコの夏は厳しい。
取りあえず政府も危機感を表明し、対策を講じるようなので、それでどこまで戻せるか。対円15円以上、対ドルで7割れを目指さないといけない。

(トルコ中銀が金融引き締めへ)
トルコ中銀は、一部の資金調達コストを引き上げ始めた。最安値を付けた通貨リラを支援する措置。中銀介入の限界を示した状況となっており、市場では中銀が政府の圧力を振り切り、現在8.25%の政策金利を引き上げるのではないかとの憶測が台頭していた。
 中銀は、7月中旬に7.34%だった平均資金調達金利を7.88%に上げている。
同金利は3月、新型コロナウイルスのパンデミックによる金融市場の打撃を抑えるため大幅に引き下げられていた。しかし、リラが対ドルで最安値を付けると、中銀は声明で、流動性支援措置を8月上旬から段階的に廃止する方針を示した。
 中銀は別途発表した声明で、オペ(公開市場操作)でのプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)への資金供給の上限を10日から現在の半分に減らすと発表した。

(リラ安の原因と対処)
・原因
*貿易赤字
*経常赤字
*インフレ懸念
*金融緩和しすぎ(実質マイナス金利)
*EUから制裁を受け経済的打撃
*ジャンク債格付け
*対外対立や他国への軍事支援

・対策
*介入
*利上げ
*輸入関税引き上げ
*他国中銀とのスワップ強化
*外貨取引税引き上げ
*外貨預金準備率引き上げ
*投機的売りの銀行の取引制限
*非居住者との間の為替スワップを制限

(7月消費者物価は鈍化)
 7月の消費者物価上昇率は前年同月比11.76%と3カ月ぶりに伸びが鈍化し市場予想も下回った、は前月比で0.58%上昇した。予想は前年比12.10%上昇、前月比0.9%上昇だった。
セクター別で最も大きく上昇したのは運輸の2.44%。一方衣料品・履物は3.48%、食品とアルコールを除く飲料は1.28%それぞれ下落した。

テクニカル分析(トルコリラ/円)

急落止まるが依然低迷

日足、7月31日-8月4日の上昇ラインを下抜き急落。ただ8月6日、7日、10日と下ヒゲは出し始めているが上ヒゲも長い。一時ボリバン下限下抜くも、今週はバンド内へ戻る。8月7日-10日の下降ラインが上値抵抗、5日線下向き。
 週足、5月4日週-7月27日週の上昇ラインを下抜きボリバン下限以下へ下落。7月27日週-8月3日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、5月-6月の上昇ラインを下抜く。6月-7月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限
年足 5年連続陰線、今年は陽転して始まるも陰転。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。 

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メルハバ

トルコリラと逆の立場の円

トルコリラは通貨安の歴史だが、円は通貨高の歴史だ。両国ともに介入でその動きを阻止してきたが、どちらも効果が出なかった。円が円高傾向にピリオドを打ったのは2012年から貿易収支が赤字に転じた時からだ。リラも昨年、経常収支が一時黒字となりリラ高傾向となった時もあったが、すぐに経常赤字となり今に至っている。
 日銀の介入は円売りで自国通貨を売るので原資は無限にあるが、トルコの場合はドル売りなので資金が限られ外貨準備が減少している。

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