BOOK REVIEW『FX取引の王道 外貨資産運用のセオリー』(大西知生) (日本経済新聞出版社 初版2017年6月)

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著者プロフィール:大西知生  前東京外国為替市場委員会副議長 
1990年慶応義塾大学経済学部卒業後、東京銀行に入行。その後、ドイツ東京銀行、ドレスナー銀行、JPモルガン銀行、モルガン・スタンレー証券など、常に外国為替業務に携わってきた。
「J-MONEY」誌において2011年〜13年および2017年テクニカル分析ディーラーランキング1位に輝く。日本金融学会員。経済学博士。

外国為替による資産運用の真髄を解き明かす

FXのイメージを「ギャンブル」と重ねあわせる人がいます。
せっかくFXを始めても、使い慣れないチャートと変動する為替相場に“ほんろう”されて、大きな損出を繰り返してしまう人がいます。
なぜこのような誤解や失敗が起きてしまうのでしょうか?
その理由は「FX取引を正しく理解していないから」です。
取引の成り立ち、仕組み、資産運用、FXはグローバルな金融においてどのように位置づけられるべきなのか。
これらを正しく理解した上で、実際の相場分析を行い、投資手法の長短をつかんでおくことが理想です。

本書は、25年にわたり、外国為替のプロとして最前線で活躍してきた著者が、FX取引の真価を臨場感たっぷりに描いています。
外国為替の公的機関で要職を務めた著者の解説は、用語説明のひとつをとっても、正確かつ公平な姿勢がうかがえます。

マクロの視点からミクロの手法まで中身の濃い一冊

本書は、全編を通して、金融の知識がない読者にも分かりやすい文章で書かれています。
文章だけでは理解が難しい部分には図表をふんだんに取り入れ、専門用語にもていねいに脚注をつけています。
「為替ディーラーの一日」といったコラムも掲載されていて、本書の魅力のひとつになっています。

本書は7章から構成されており、章を追うごとに「マクロ」的な視点から「ミクロ」的な手法へと展開されています。
興味のある章だけを、拾い読みするだけでも十分に役立つはずです。
ただ、FXをしっかり理解していただくためには、最初から順を追って読み進めることをお勧めします。
FX取引を主人公にしたグローバル金融市場の物語が展開されているからです。

各章のポイント

第1章「外国為替の基本」を読むと、FXの取引経験のある人でも、初歩的なポイントについて、意外と身につけていないことに気がつくのではないでしょうか。
とりわけ「外国為替の歴史」では、実務の最前線に身を置いてきた著者ならではの“臨場感”があふれています。
ありきたりなFX教則本では、決して学べない外国為替の本質が凝縮されています。

第2章「これがFX取引だ」では、FXの3つの特徴「レバレッジ」「スワップポイント」「取引の柔軟性」が、具体的な例を引用しながら丁寧に解説されているほか、FX会社のビジネスモデルなどについても言及されています。

第3章「資産運用はこうすすめる」では、個人の外貨資産が少ない日本の現状を指摘した上で、外国為替を使った資産運用の魅力と留意点について、客観的かつ公平に解説しています。
著者は大事なポイントとして、「目的と目標を明確にする」「取れるリスクを決める」「常に謙虚に」「オイシイ話はない」などを、個人投資家にとって日々役立つ、実践的なことを挙げています。

第4章「FX取引を外貨預金の代わりとして使う」では、FX取引が銀行の外貨預金よりも低コストであることを指摘して、長期的なFX取引の使い方を提案しています。
その上で、外貨ポートフォリオを実践するために欠かせない考え方と、FXを利用したポートフォリオの作り方を具体的に解説しています。

第5章「相場分析を駆使する」は、今、思うように成果をあげられていない人たちにとって、きっと参考になるでしょう。
読者の多くは、いかに表面的な手法にとらわれていたかを、思い知らされるかもしれません。
また、チャートを豊富に使って、実践的なテクニカル分析手法を解説しています。
プロがさまざまな分析に基づいて一貫性のある戦略を立てていることに気がつくはずです。

第6章「マトリクス投資法で売買を判断」では、著者が20年以上使用している「マトリクス投資法」が紹介されています。
マトリクス投資法は、客観的に投資判断を下すために、著者が自ら発案した手法です。
本章では、実際のチャートを示しながら、このマトリクス投資法を詳細に解説しています。

最終章となる第7章「FX取引の未来」では、FX市場の未来を予測し、今後の課題として、「仮想通貨」や「金融リテラシー」に言及しています。


さて、本書は「FX取引の王道」というタイトルが付けられています。
ただ、本書の内容は、「FX取引」のみならず、「外国為替」「資産運用」「グローバル金融市場」など幅広い分野について詳細に解説されており、金融や経済について「ゼロから学びたい」と思っている人たちにも役立つ「絶好の入門書」ではないでしょうか。
興味を持たれた人は、ぜひ、書店やインターネットで探してみてください。


PickUp編集部

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