さらなる上伸には景気対策が望まれる

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総括

さらなる上伸には景気対策が望まれる

予想レンジ 4.6-5.1  

(ポイント) 
*9月3日の米株下げでメキシコボルサ指数も1.68%下げで年初来16.33%安
*7月貿易収支は過去最大を記録
*米国在住のメキシコ人からの送金が増加
*インフレが4%近くまで上昇
*景気は落ち込むがインフレ懸念高まり金融政策のかじ取りが難しい
*中銀は、20年の実質成長率が最悪でマイナス12.8%に落ち込むとの見通し
*大統領はコロナ感染を抑制していると主張
*8月企業信頼感指数は低下、製造業PMIは改善 
*メキシコでコロナウィルスワクチンの治験と製造が始まる
*7月自動車販売も前月比増加
*2Q・GDPは過去最大の落ち込み
*大統領は経済が4月と5月に「底を打った」と指摘
*ジャンク債懸念が出始める
*対米貿易依存度が頗る高い
*政府はペソ買い介入を示唆
*大統領支持率が急落
*2019年のGDPは10年ぶりのマイナス成長
*2019年は20年ぶりの貿易黒字

(さらなる上伸には景気対策が望まれる 過去最大の貿易黒字)
 8月のペソは対円で1.68%上昇したが、株価指数(ボルサ)は0.48%下落した。7月貿易収支は、67億5200万ドルの黒字で過去最大を記録した。これまでの最高だった6月を20億ドル強上回った。ただ黒字と言っても、輸出入ともに減少。前年同月比では輸出が8.9%減。輸入が26.1%減と輸入が輸出の減少幅を大きく上回るという黒字拡大で明るいものではなかった。ただ需給は需給でぺソ買い要因だ。

(金融政策のジレンマ)
 金融政策では、ディアスデレオン中銀総裁は、9月24日の次回の金融政策決定会合で11会合連続の利下げに踏み切る可能性を示唆した。「政策にどの程度の余地があるか」で判断すると語った。中銀は、2020年の実質成長率が最悪でマイナス12.8%に落ち込むとの見通しを示した。直近のインフレは4%に近く、中銀委員の中には、物価上昇率がなお目標より高い点からすると、現在の景気後退のデフレ圧力は想定よりも小さい可能性があり、外国資本の流出が続いていることも踏まえれば、追加緩和余地はより少なくなっているのではないかとの見方を示すものもあり、今後は意見が分かれることが予想され金融政策が注目される。
 景気回復には金融政策だけでは十分でないとの見方がある。政府による一段の景気刺激が必要ではないかとされているが、左派のロペスオブラドール大統領の姿勢は公約通り緊縮気味だ。IMFは、メキシコ政府による新型コロナウイルス対策の財政措置が「G20で最も少ない」と分析している。(高金利3通貨の中でメキシコだけがジャンク債格付けではない強みがある)

(メキシコへの送金が高水準)
 外国からメキシコへの7月の送金額が35億3185万ドルとなった。前年同月比で7%増えた。前年同月を上回るのは3カ月連続。過去最高だった3月(40億ドル)、6月に次ぐ過去3番目の水準だった。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、主要な就労先である米国の雇用情勢は悪化した。ただ米国での失業給付の上乗せやメキシコの親族の厳しい生活環境を背景に、送金額が増えている。
 1~7月の累計では228億2151万ドルと、前年同期を10%上回った。中銀のジョナタン・ヒース副総裁は、20年7月までの1年間の累計送金額が385億1560万ドルと、過去最高になったと指摘した。ロペスオブラドール大統領は、米国で働くメキシコ人に感謝を示して、「20年通年の送金額は400億ドルに到達する」との見通しを示した。

(一般教書演説)
 ロペスオブラドール大統領は一般教書演説を行い、新型コロナウイルスによる国内経済への打撃は一部の国よりは抑えられていると主張し、自身の新型コロナ対応を正当化した。
メキシコ経済は新型コロナ感染予防のためのロックダウンで、2Qの国内総生産(GDP)が前期比17.3%減と、過去最大の落ち込みとなった。大統領は「世界的大惨事にも関わらず、上期の経済縮小率は10.4%だった。打撃を受けたものの、イタリア、スペイン、フランス、英国より打撃を抑えることができた」と主張した。
「我々は新型コロナの世界的大流行に直面したが、対外債務を増やすことなく、また、モラルに反する救済に公的資金を投入することなく、経済危機を乗り切る」と述べ、メキシコ経済はV字型回復を達成すると強調した。
 国民の間では、新型コロナにより景気が悪化するなか、政府の支援策が十分でないとの声も出ている。首都メキシコ市の国立宮殿前には多数の人が集まり、失業者への給与補償などを訴えた。

(8月企業信頼感指数、製造業PMI)
 8月企業信頼感指数は38.1、7月の38.5より低下した。
製造業PMIは41.3と7月の40.4から改善した。

テクニカル分析

ボリバン上限を上抜いて長い上ヒゲ残す

 日足、9月3日にボリバン上限を上抜いたが、長い上ヒゲを残しボリバン内へ戻す。9月2日-3日の上昇ラインがサポート。雲上。5日線上向き。
週足、ボリバン中位は越えている。8月10日週-24日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上限は5.08。
 月足、ボリバン下限から反発。8月は6月-7月の下降ラインを上抜く。5月-8月の上昇ラインがサポート。17年7月-20年2月の下降ラインが上値抵抗。
 年足。16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。

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VAMOS MEXICO

過去2指導者の汚職裁判巡る国民投票実施を示唆

 ロペスオブラドール大統領は、来年予定される議会中間選挙と同時に、ペニャニエト氏、カルデロン氏という過去2代の大統領を汚職問題で裁判にかけることの是非を問う国民投票を行う可能性があるとの見方を示した。
 中間選挙は来年6月に実施され、ロペスオブラドール氏の与党が議会で過半数を維持し、政権基盤を盤石にできるかどうかが焦点。同氏は歴代の政権が汚職まみれだったと指摘する一方、自らは政治腐敗と対決する姿勢をアピールしている。
ロペスオブラドール氏は、9月半ばまでに国民投票を求める署名が約160万人分集まるか、議会が正式に国民投票を要請する形が望ましいと説明。憲法の規定に触れて、場合によっては自身で投票を求めることも可能だと述べた。
また国民投票を来年8月に行う案もあり、中間選挙との同時案とどちらでも構わないとしている。
ただロペスオブラドール氏に対しては、ペニャニエト前大統領とカルデロン元大統領の汚職を言い立てることで、景気後退や新型コロナウイルス対応のまずさ、国内の暴力犯罪まん延といった問題で責任を追及されるのを避けようとしているとの批判も出ている。

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