現在はスキャルピングとスイングトレードの二刀流というROMANISTA氏は、年間2,100万円超の利益を獲得するトレーダーだ。後編では、具体的な取引環境、取引方法、過去の失敗談、今後の目標などについて話を聞いた。
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
ROMANISTA氏 プロフィール
年齢性別 :40代男性
職業 :会社員
FX取引歴 :15年
トレードスタイル:スイング・スキャルピング
FX年間最高収支 :2,100万円超
投資商品 :FX、日経平均先物
趣味 :ヨーロッパのサッカー観戦(セリエAの「ASローマ」ファン)
▼目次
1.家族は後回しながら妻の理解は十分
2.ルーティーンを確立したのは本気で専業を目指したから
3.パソコン2台の画面で集中
4.自分に合ったテクニックを見つけよう
5.激しく動いているものに巻き込まれたくない
6.ときには自分で自分を殴る日も
7.思い込みで1億円超に失敗するも、新型コロナで命拾い
8.FXは人生を豊かにしてくれる
9.目標金額よりも相場を楽しみたい
家族は後回しながら妻の理解は十分
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編集部: - 帰宅後も休日もそのように取り組まれていることに、ご家族の理解はありますか?
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ROMANISTA: - 申し訳ないくらいにいつもチャートを見ています。でかけるときもクルマに乗っている間はタブレットを見て、クルマから出て行くときは、スマホを片手に。子どもも何も言わないですね(笑)。
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編集部: - 収支の状況も共有されていますか?
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ROMANISTA: - 投資に関する情報は、一切していないですね。
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編集部: - 普通の家庭では、毎月のお給料を全額使えるなんて、なかなかありませんが、ご家族に不安がられたことはないですか?
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ROMANISTA: - 信用してくれているのか、何も言われないですね。一度だけ、金融庁の報告書で「老後2,000万円が必要」というニュースが話題になったときに、ボソッと預金が2千万円以下になったらやめて」とだけ言われました(笑)。
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編集部: - 信頼されていらっしゃるんですね。素敵なご関係ですし、すごい奥様ですね! それだから週末もFXの相場分析に集中できるのですね。
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ROMANISTA: - 基本的に、翌週の分析よりも、今週の検証をしています。MT4を使って、ラインなどすべて消して、真っさらの状態から、もう一回、相場の展開をコマ送りにしながら、どこで入るべきだったのかを見ます。もともと、家のパソコンは、どこでインしたか、どこでアウトしたのかという印をつけているので、その入り方が正しかったのかを週末にチェックします。
ルーティーンを確立したのは本気で専業を目指したから
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編集部: - そういうルーティーンを確立したのはいつごろですか?
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ROMANISTA: - 割と最近なんです。本気で取り組んで「専業になりたい」という気持ちが芽生えてきたここ3年くらいの話です。昔は「どうにかなるだろう」「なんとなく勝てる」という“甘え”た考えでしたね。
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編集部: - 考え方が変わるきっかけはあったのでしょうか?
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ROMANISTA: - 仕事を辞めたいと思い始めたからですね。役職がつくとストレスしかないです(笑)。
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編集部: - なるほど!よく分かりますよ(笑)。
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ROMANISTA: - 役職がつくと、責任が増えて忙しくなります。相場と向き合えなくなるのが苦痛なのかと。投資ともっと向き合おうと思い、割り切って、定時で退勤するようにしました。
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編集部: - 専業になる目処は立ちましたか?
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ROMANISTA: - まだ全然です。ただ、入ってくるものが変わらず、今も普段通りに生活ができているということは幸せですね。投資の場合、実際に専業になって1億円を持っていても、それが8,000万円、6,000万円と減ったときに、誰も助けてくれません。専業はそんなに甘い世界ではないってことを理解しています。1億円が入ってきたから、もうそれでやめられるというものではないですよね。
パソコン2台の画面で集中
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編集部: - ご自宅ではどんな環境で取引されていますか?
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ROMANISTA: - 画面は2つですね。MT4を左側の画面に出して、右側に株とか、金とか、原油とか、その辺りのドル/円ミックスも含めて、チャートが見やすいように「世界の株価」というものを表示して、ツイッターの画面と口座のある3社のポジション、履歴、アラームが鳴るためのチャートをそれぞれ1社ずつ、取引画面を2つずつにして、違う通貨を指定して、6種類の取引画面を広げて、切り替えながら見られるようにしています。
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編集部: - 相場が動くと情報が入ってくるようにしてあるのですね。
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ROMANISTA: - もうひとつ立ち上げているのが、日足と週足のチャートです。スキャルピングするときは一時間足にします。普段は日足と週足で見て、スキャルピングするときは、1時間MT4で方向性を確認しています。
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編集部: - つまり、「森」も、「木」も、見えるようにしているわけですね。デュアル画面だと簡単にできますね。
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ROMANISTA: - モニターを増やすことも考えました。でも、上を見るのって、首が-疲れるんですよ。横を見るのも限界があります。それで2つの画面に集中させて、重ねて出しておいて、必要なときに画面を入れ替えると首を動かす必要がないのです。
自分に合ったテクニックを見つけよう
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編集部: - ちゃんとリスクを分析して、コントロールをされているのですね。そこまで至るのに、どんなことされていったのか、できれば順番に教えてもらえますか?
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ROMANISTA: - やはりインジゲーターをいろいろといじりまして、「ストキャスティクス」とか「MACD」とか、その途中で言えば「RSI」とか、インジゲーターではなかった標準偏差とかも試して、ある程度の利益はありましたが、勝ったり負けたりで思ったほどではありませんでした。でも、それらを使って大きく勝っている人がいるので、使い方やタイミング、使う人にもよるんだと思います。勝っている人は「そこで入る」と言うのですが、私は「そこで入るの?」と思う。「すごいなぁ」と思いながら「僕とは違うなぁ」と。要するに、いいとか悪いとかではなく、その人に合ったものを見つけることが大切なのです。
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編集部: - 最後にたどり着いたのがEMA指数ということですか? 出合ってからの運用成績は変わりましたか?
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ROMANISTA: - ギャンブル感が減りました。それまでも利益が出ていましたが、シンプルなものが自分に合っているとわかり、自分の中で戦略を立てられるようになって、落ち着いてトレードできるようになってきたことに、これまでとの違いを実感しました。
激しく動いているものに巻き込まれたくない
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編集部: - 取引されている通貨ペアは?
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ROMANISTA: - 基本、メジャー通貨しかやりません。取引量でぶっ飛ぶところ、たとえば、スイスフランなどは絶対に手を出しません。基本、ドル/円、ユーロ、ポンド、オージーのドルストレート。ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円のクロス円。これがメインです。
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編集部: - それを見ながら、動いている通貨ペアでトレード取引するのですか?
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ROMANISTA: - そうです。チャートを分析し、チャネルだったら、「このチャネルがひっかかった」「次のチャネルに移りそうだ」などいろんなパターンがあるのですよ。ですから、トレードするのがどの通貨がペアになりそうなのかを見て、画面に表示させます。私の場合、「相場が激しく動いているから入る」ということはありません。逆に激しく動いているときは離れます。巻き込まれるだけなんで。
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編集部: - そういうことなのですか。
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ROMANISTA: - ギャンブルになってしまいますから。今まで何十回も「死んでいる」んです(笑)。私のスキャルピングは、1銭、2銭で利食います。「利があるうちに利食いって負けたヤツはいない」と言いますから…。
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編集部: - シングルヒットを重ねるわけですね。
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ROMANISTA: - 積み上げが大事だという考え方ですね。あとはいかにうまく負けるかです。
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編集部: - スイングトレードの通貨ペアは?
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ROMANISTA: - 私のメインはドル/円です。日経平均とドル/円は、基本的に同じ方向ですね。今、ドル/円を売っています。だから日経平均も売っています。潮目が変わって、上がればドル/円も同じ方向です。自信がない限り、他の通貨ペアはしませんね。
ときには自分で自分を殴る日も
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編集部: - メンタル面でのアドバイスもおねがいします。孤独を感じることはありますか?
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ROMANISTA: - 私は常に孤独です。群れているとバイアスがかかってしまうのですよ。「コイツがいうのなら、そうやなぁ」と。それで一度も利益が出たことがありません。投資はすべて自己責任ですが、私は人間ができていないので、「アイツが余計なことを言うたからだ」と思ってしまうと、お互い良いことがないですよね。
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編集部: - 自分以外に負けた原因を求めてしまうから?
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ROMANISTA: - 結局、自分以外の誰も助けてくれません。成功するのも、失敗するのも、すべて自分次第です。
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編集部: - 失敗したときのメンタルの対処方法はありますか?
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ROMANISTA: - 「相場から離れる」とか、「完全にチャートを見ない」とか、「いくら以上負けたら取引しない」とか、ルールを決めている人の話を聞いたことがあります。私はFX中毒です(笑)。ゴロゴロと横になっていても、5分と持たずにチャートの前に座っている状況なのです(笑)。ダブル、トリプルを食らって、「これはさすがにマズい」と思って、いったん相場から離れますが、すぐ戻ってきてしまいます。できることといえば、ロットを下げるくらいです。でも、すぐに元に戻してしまって(笑)自分で自分を殴る羽目になります。
思い込みで1億円超に失敗するも、新型コロナで命拾い
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編集部: - 今までの大きな失敗談といえば?
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ROMANISTA: - 2019年末に大勝負をかけました。「ドル/円が下がる、日経平均が下がる」と思い、それまでいい感じに、利益が取れていたので、この雰囲気でいけば、FXの利益が「もうすぐ1億超えちゃうか」というときに、相場が逆行しちゃいまして(笑)、私の中では「絶対に下がる」と勝手に思い込んでいて、それであり得ないロットを張ってしまったのです。ポジションを維持するために保証金を増やしてナンピンしたのですが、それでも超えてしまって、諦めて損切りして、ロットを半分に落として、そのまま年を越えました。だから、2019年は一時約2,000万円程度のマイナス月がありました。
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編集部: - そうだったのですか。かなりのマイナス額ですね。
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ROMANISTA: - その後、トリガーが何になるのかは分かりませんでしたが、私には「下がる」という選択肢しかありませんでした。結局、新型コロナがきっかけで、相場が大きく落ちてくれたので、致命傷は免れました。イランのミサイル攻撃があったときでもトリガーにならなかったので、「これはさすがにヤバいぞ」と思って、半ば諦めかけていました。これが一番の失敗でしょうか。昔はそんなに大きなロットで売買していませんでした。調子に乗っていたのでしょうね。完全に自分の弱さでした。
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編集部: - 相場に対して、自分の考えを押し付けて勝負してしまったということですね?
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ROMANISTA: - そうです。そのまま我慢すればよかったのに、無謀なナンピンという「やってはいけないこと」をやってしまいました。
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編集部: - それはドル/円相場ですね。3月初旬の1ドル=101円になったところで取り返せたと?
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ROMANISTA: - ロット数を半分以下に落としていたので半分くらいしか取り戻せませんでしたが、もし、そのまま同じロット数で耐えていたら、致命傷は負わずに、最終的にはプラスだったんですよね(笑)。
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編集部: - 相場にはそうした難しさがありますよね。逆に成功談も教えてください。
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ROMANISTA: - アベノミクス相場で10円は抜いたのですが、その当時の運用益は1000万円くらいでした。2018年にもほぼ同じくらいの利益を上げています。
FXは人生を豊かにしてくれる
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編集部: - ずばりFXの魅力はなんでしょう?
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ROMANISTA: - 人生を豊かにしてくれるモノと感じています。FXは、お金だけでなく、世界経済を相手にしているものです。一般人がこんなに世界と対面できる機会はそうそうないですよね。世界の動きを敏感に感じないと勝てないという世界は、FX以外にないと思います。
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編集部: - 「FXにはロマンがある。FXをやっている人が経済の最前線にいる。経済が動いた時に、一番素早く動くのがFXだ」とおっしゃった人がいます。
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ROMANISTA: - それがまさに為替の世界ですよね。
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編集部: - 最後に、「FXがやりたい」といっている人になんて伝えますか?
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ROMANISTA: - そうですね・・・FXで人生が変わると伝えたいですね。FXがどんなに楽しくても、負けたら楽しくありません。「FXで人生が楽しくなる」とは言いにくい。安易に「楽しいよ、儲かるよ」と誘うのは反対ですが、私にとっては人生が変わるほど楽しい世界です。
目標金額よりも相場を楽しみたい
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編集部: - 最終的な目標はありますか?
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ROMANISTA: - やっぱり専業トレーダーに憧れています。スキャルピングは難しいとしても、FXは歳をとってもやれるものだと思うんで、定年を迎えても、FXは続けていたいですね。運用金額を下げても、ずっとやっていきたいです。
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編集部: - 利益的な目標はどうですか?
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ROMANISTA: - 利益ではまったく考えていないのですが、70歳になったときでも、専業としてやれるくらいのお金が入ればいいぐらいには思っています。
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編集部: - FXで「10億を稼ぎたい」みたいなのはないんですか?
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ROMANISTA: - 10億円あっても何に使えるか分かりませんしね。豪邸に住んだり、高いクルマに乗ったりということに私は興味がありません。FXの収益が10億円になったら、うれしいと思います。でも、それは自分がやってきたことが報われるというか、自分の成績が具体的な金額になって表れるからです。今はそんなことよりも、純粋に相場を楽しみたいというのが一番です。
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編集部: - 今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。
(後編ここまで)
PickUp編集部より
「FXは人生を豊かにしてくれる」と語ったROMANISTA氏。FXの一番の魅力は、一般人が世界経済を相手に利益を獲得できるところだと教えてくれました。そして、FXで獲得できる利益よりも、自分の知識や経験がどこまで通用するのかを、むしろ楽しんでいるようでした。ROMANISTA氏が専業になれる日が楽しみです。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】