「ポジション調整のユーロ売り円買いが強まる可能性」金融アドバイザー 深谷幸司 -新型コロナショック-

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 新型コロナウィルスの感染拡大はなお収束に目途が立たない。その悪影響は広範で深く、各国の政府・中央銀行はかつてない規模の財政出動や強力な金融緩和で対処。経済の立て直しを図っている。強力な財政金融政策を支えに景気回復期待・リスク選好を強め、米国株は9月初まで堅調。史上最高値を更新してきた。しかしここにきて変調がみられる。
 先進国あるいは新興国も含め幅広く実施された金融緩和は多くの資産価格を押し上げてきた。とくに基軸通貨であるドルを司るFRBによるゼロ金利政策、債券購入拡大など、超金融緩和は、ドル先安感とともに、市場のリスク選好・株高・金相場上昇を支える基盤となった。米国の10年債利回りは0.5%~0.7%に低下。期待インフレ率を差し引いた実質利回りはマイナス1%に達した。これが今後も資産価格上昇に追い風との見方は根強い。
 しかしFRBの超金融緩和を材料とする株高、いわば金融相場による株価上昇は、いずれ壁に突き当たる。景気回復・業績回復期待による株価上昇は、足元で株式の益回り(1株利益/株価)を低下させ割高感を強める。実体経済から乖離した株高との認識が広がっているのは足元の企業業績を踏まえれば当然だ。それでも株高が正当化されるには実際の増益が必要。金融相場から業績相場への移行が市場全体のリスク選好が維持される鍵だ。そうなればクロス円相場中心に円安となるが、市場が景気回復を確信するにはしばらく時間がかかり短期的には調整が先行。その間は資源国通貨や新興国通貨には逆風が続くだろう
 ここにきてハイテク株に調整色が濃くなってきた。現状はあまりにも急速な金融相場の後で、業績相場への移行に難航する時間帯に入ったようにみえる。右肩上がりの株高は一服し、上値の重い展開が続くのではないか。FRBは追加緩和を排除してはいないが、現状の政策は強力だとして、それをいつまで継続するかに焦点を絞っているようにみえる。ここからは財政政策が重要との認識だ。米大統領選挙を前にした与野党対立で追加経済対策の実施が進まないが、今後はいずれにしても財政拡大へ動くだろう。米国の長期金利には今後上昇バイアスがかかり、イールドカーブが立つ可能性は高い。実質金利の低下も限界だろう。これまで上昇した資産価格の上昇一服とともにドルが底固さを増しそうだ
 為替市場では金利差や政策金利の動向による通貨の強弱が生じにくくなっている。あらゆる国・地域で超低金利政策がとられ、しかも長期化する可能性が高いためだ。今後は景況感格差・経済指標の強弱や長期金利の動向が従来以上に相場に影響する可能性が高い。秋冬にかけては新型コロナウイルス感染再拡大の度合いも、景気回復期待の強弱を通じて通貨強弱に影響しよう。短期金利差がなくなっているだけに為替リスクのヘッジやトレンドに乗る投機ポジションも構築しやすい。このことは相場の方向が短期間に変化しやすいことにつながる。一方で潜在的なトレンドとしては実需の為替需給が効いてくる。貿易収支や直接投資関連のフロー情報にも要注意だ。当面はクロス円相場主導の円高、とくにポジション調整によるユーロ売り円買いがなお強まる可能性がある。ただ円高トレンドが長期にわたると決め打ちするのは危険だ。いずれにしても機動的なポジション操作が必要となっていることは間違いない。

ユーロドル 日足

f:id:gaitamesk:20200214172637p:plain 深谷 幸司(ふかや・こうじ)氏
オフィスFUKAYA コンサルティング 代表
1984年4月 三菱銀行に入行。支店、資金証券部、本店営業部、を経て1995年5月為替資金部。為替アナリストとして活動を開始。
2004年6月 同行・経済調査部チーフエコノミストに就任。
2007年1月 東京三菱UFJ銀行を退職、ドイツ証券に入社。為替ストラテジストに就任。
2010年9月 クレディ・スイス証券に移りチーフ通貨ストラテジスト。外国為替調査部長。
2013年3月 FPG証券・代表取締役に就任。
2019年6月 オフィスFUKAYA コンサルティング 代表 中小企業やオーナーに対する為替リスクヘッジ・財務戦略策定、資産運用アドバイスを中心に活動。メディアでの為替コメント多数。金融機関の為替経済セミナー講師も務める。
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