「米大統領選睨みで神経質な展開に」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2020年10月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 9月の推移
・9月の各市場 
・9月のドル/円ポジション動向
・10月の日・米注目イベント
・ドル/円 10月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月のユーロ/円ポジション動向
・10月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 10月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 9月の推移

9月のドル/円相場は104.000~106.549円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.4%下落(ドル安・円高)した。上旬こそ106.50円台まで強含むなど堅調だったが、新型コロナウイルスの感染再 拡大などを受けて世界景気の回復が弱まるとの見方からグローバルに株価が調整する中、中旬はリスク回避の円買いが優勢となった。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は低金利政策の長期化を示唆してハト派スタンスを強化したが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が米経済の先行きに悲観的な見方を示したため米国株が崩れると21日には約半年ぶりに104円ちょうど前後まで 下落した。

もっとも、リスク回避局面では基軸通貨のドルも強含む傾向が強く、ドル/円の下落は比較的小幅に留まった。下旬にかけては四半期末に向けた買い戻しが入り、やや値を戻したが106円台を回復することはできなかった。

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1日
米8月ISM製造業景況指数は56.0と予想(54.8)を上回り前回(54.2)から上昇すると一時ドルが上昇。しかし、ブレイナードFRB理事が、新型コロナ感染拡大の影響克服に向けて、「向こう数カ月間に新たな措置を打ち出し、先週発表した雇用最大化と インフレ目標柔軟化の新戦略の実現を図る必要がある」と発言した事で米長期金利が低下するとドルの上値は重くなった。

2日
菅官房長官が自民総裁選への出馬会見で「安倍政権は経済再生最優先で取り組んできた。『アベノミクス』を責任をもって引き継ぎ、さらに前に進めていきたい」と述べた事を受けて円売りが優勢となった。なお、この日発表された米8月ADP全国雇用者数は42.8万人増と、予想(100.0万人増)を大幅に下回り、前月(21.2万人増)に続き2桁万人台の増加に留まった。

4日
米8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が137.1万人増、失業率は8.4%であった(予想:135.0万人増、9.8%)。失業率が予想以上に改善した事を受けてドル買いが強まると、ドル/円は106.50円前後まで上昇した。米8月雇用統計のその他の項目は、平均時給が前月比+0.4%、前年比+4.7%(予想:±0.0%、+4.5%)、労働参加率は61.7%(予想:61.8%)であった。米8月 雇用統計の好結果を受けて小高く始まった米国株が値を保てず反落するとドル/円は上げ幅を縮小した。

16日
FOMCは政策金利を0.00-0.25%に据え置くと発表。「労働市場が最大雇用に達し、インフレが2%に上昇するとともに当面それを超える軌道にあると判断されるまで現在の金利水準を維持すると予想」「インフレ率が平均2%となるよう、当面は2%を緩やかに超える水準を目指す」などとして、8月に示した「平均物価目標」の新戦略を声明に盛り込んだ。経済見通しでは、20年の成長率予測を-6.5%から-3.7%に上方修正。失業率も20年末の予測を9.3%から.6%に上方修正した。

一方、政策金利見通しでは、23年もゼロ金利を続けるとの予測が大多数であった。パウエルFRB議長は会見で「米経済の回復が進むまで政策金利を非常に緩和的な状態に維持するのがFRBの意図だ」と説明。その上で、「米経済の回復は進行中だが、そのペースは鈍化する事が予想される」「経済全体の見通しは新型コロナウイルスの抑制に大きく依存する」などと述べた。
なお、この日発表された米8月小売売上高は前月比+0.6%と予想(+1.0%)を下回った。

17日
黒田日銀総裁は、現状維持を決めた決定会合後の会見で「景気は引き続き厳しい状態にあるが、持ち直しつつある」「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する」と説明。また、菅新政権との関係性については「引き続きしっかりと連携しながら、政策運営していく」と表明した。

21日
新型コロナウイルスの感染拡大や欧米大手銀行のマネーロンダリング疑惑などを背景に欧州株や米国株先物が崩れるとリスク回避の円買いが強まり104.00円前後まで下落して約半年ぶり安値を更新。しかし、104円台前半に大口買いオーダーが入ったとの観測が広がった事で買い戻しが活発化。リスク回避のドル買いが円買いを上回り104.80円台まで反発した。

30日
米大統領候補のトランプ氏とバイデン氏による第1回のテレビ討論会が行われた(現地29日)。非難の応酬で決定打はなかったが、評価はバイデン氏がやや優位とされた。バイデン氏の法人増税などの主張が反市場的との見方で米国株先物が下落すると、円が強含んだ。

9月の各市場

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9月のドル/円ポジション動向

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10月の日・米注目イベント

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ドル/円 10月の見通し

10月のドル/円相場は、11月3日に予定されている米大統領選を睨んで神経質な展開となりそうだ。9月29日(日本時間30日午前)に行われた第1回目のテレビ討論会は非難の応酬となり、直後の世論調査では「イライラした」との感想が最も多かった 事が報じられている。

その世論調査によると、討論会の勝者はバイデン氏と答えた割合が48%と、トランプ氏の41%を上回った。反市場的ともいえる大企業への増税などを打ち出しているバイデン氏がこのまま優位を保てば、米国株が値崩れを起こす 可能性も否定できない。今後行われる、15日の第2回討論会と22日の第3回討論会にも注目したい。

とはいえ、2016年の大統領選挙でトランプ氏が下馬評を覆して当選した例を持ち出すまでもなく選挙結果は蓋を開けて見るまで分からないのが常だ。 今回も投票日が近付くにつれて市場に様子見ムードが広がる可能性が高く、ドル/円の値動きも控えめになりそうだ。

9月の値動きからも105円台以下での買い意欲は相応に強いと見られ、104円台前半に差し込めば反発する公算が大きい。一方、9月の 日銀短観で大企業・製造業が示した2020年下期の想定レート107.30円(事業計画の前提となるドル/円の想定レート)に近付けば実需の売りが上値を抑える事になるだろう。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 9月の推移

9月のユーロ/円相場は122.378~127.072円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.2%下落(ユーロ安・円高)した。スペインやフランスで新型コロナウイルスの感染が再拡大した事から、景 気回復への期待がやや萎んだ。また、レーン専務理事やラガルド総裁など欧州中銀(ECB)の主要メンバーが通貨高をけん制した事もユーロの重しとなった。

その他、米国株がハイテク銘柄を中心に 一時売り込まれるなど調整含みの展開となった事でリスク回避のユーロ売り・円買いも一時強まった。ユーロは、対円、対ドルともに5月から8月まで4カ月連続で上昇していただけに、反動によるユー ロ売りが出やすかったと見られる。

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1日
ユーロ/円はNY市場序盤に約1年半ぶりに127円台へと上昇したがその後は失速。米8月ISM製造業景況指数の好結果を受 けてドルに買い戻しが入る中、ユーロ/ドルが節目の1.20ドルを突破した達成感も相まって反落した動きに連れた。レーンECB専務理事が「為替レートを金融政策の目標にしていないが、ユーロ/ドルのレートは重要だ」などと述べた事も重しとなった。

7日
独7月鉱工業生産は前月比+1.2%と予想(+4.5%)を下回る伸びに留まった。これを受けてユーロはやや軟化した。英紙が「英政府は、欧州連合(EU)と結んだ離脱協定の一部を無効化する法案を準備」と伝えた事も重しとなった。

9日
英紙が「ECBは、英国の離脱移行期間終了を控え、ユーロ圏の大手銀行に行動計画を策定するよう圧力をかけている」と報じた事などから弱含んでいたユーロは、「ECBは景気回復見通しへの自信を深めており、翌日に発表する最新の経済予測では、2020年の成長率見通しが上方修正される」などとする当局者の発言が伝わると反発した。

10日
ECBが金融政策の据え置きを決め、ラガルド総裁の記者会見が始まる直前に「ECBはユーロ高に過剰反応する必要ないと合意」とする関係者の発言が伝わった。
総裁会見では、「中期的なインフレ見通しへの影響という点で為替相場を注意深く検証する」としつつも、ユーロ高に強い警戒感を示さなかった。なお、ECBは経済見通し(スタッフ予測)で2020年の成長率予測を-8.0%と従来の-8.7%から上方修正した一方、21年と22年は小幅に下方修正した。これらを受けてユーロは上昇した。 しかし、米国株がIT銘柄主導で再び大幅安となったためリスク回避のユーロ売り・円買いで上げ幅を失った。

15日
独9月ZEW景況感調査は期待指数が77.4と予想(69.5)に反して前回(71.5)から上昇。ユーロ圏9月ZEW期待指数も73.9と前回(64.0)から上昇した。

21日
新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気するなどして欧州株が大幅に下落する中、ユーロ売り・円買いが強まった。ラガルドECB総裁が「我々はユーロの上昇に注意を払っている」などと述べた事もユーロの重しとなった。

23日
仏9月製造業PMI・速報値は50.9と予想(50.6)を上回ったが、同サービス業PMI・速報値は47.5と、予想(51.5)を下回り、分岐点の50.0を割り込んだ。これを受けてユーロは一時下落した。
なお、新型コロナウイルスの感染再拡大でサービス業の景況感が落ち込む傾向はドイツやユーロ圏のPMIでも同様だった。独9月製造業PMI・速報値は56.6、同サービス業PMI・速報値 は49.1(予想:52.5、53.0)、ユーロ圏9月製造業PMI・速報値は53.7、同サービス業PMIは47.6(予想:51.9、50.6)であった。

28日
ラガルドECB総裁は欧州議会で証言。「インフレは今後数カ月、マイナスが続く見込み」「ユーロ高はインフレ率を押し下げるだろう」「必要に応じて全ての手段を調整する用意がある」などと述べた。これを受けてユーロ/円は上げ幅を縮小した。

29日
独9月消費者物価指数・速報値は前月比-0.2%、前年比-0.2%と予想(-0.1%、±0.0%)を下回った。欧州連合(EU)基準の消費者物価指数は前年比-0.4%と2015年1月以来の落ち込み幅となった。

9月の各市場

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9月のユーロ/円ポジション動向

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10月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 10月の見通し

ユーロ/円相場は9月1日に127.072円前後まで上昇して、5月安値(114.417円前後)からの上昇率は11%を超えた。9月2日以降の動きはこうした上昇の反動による調整と見られ、10月も調整含みの展開継続が警戒されよう。

スペインやフランスで新型コロ ナウイルスの感染が再拡大。これらの国では飲食店の営業制限などの新たな措置が取られており、こうした中でユーロ圏の9月サービス業PMI・速報値は47.6と、好不調の分岐点である50.0を下回った。ユーロ圏の景気回復期待が萎みつつあると言え そうだ。また、コロナ禍でドルに対するユーロ買いの先物ポジションが積み上がっており、過去最大規模に膨らんでいる事もユーロの重しとなりそうだ。シカゴマーカンタイル取引所(CME)の先物データによると9月22日時点のユーロロング(買い持ち) は約19.1万枚と8月末に記録した約21.2万枚に迫っている。これらを踏まえると、少なくともドルに対するユーロの上がり目は薄いと考えられる。

米大統領選を11月3日に控え、ドル/円相場があまり動かないとすれば、ユーロ/円も弱含みで推移する事にな ろう。5月以降の上げ幅の半値押しにあたる120.74円前後が下値のメドになりそうだ。 

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