「新たな合意期限は11月中旬 これを逃すと…」ポンド 11月見通し 松崎美子

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2019年のマーケットの主役は、ポンドであった。2020年も引き続き、主役を引き渡すつもりはなさそうである。
そこで早速、最新のポンドを取り巻く注意点をまとめてみたい。

▼注目点①:新型コロナ第2波リスク 
▼注目点②:Brexit交渉
▼注目点③:英中銀の動き
▼ポンド見通し

注目点①:新型コロナ第2波リスク

10月に入り新型コロナ第2波による感染者が急増している。英国経済は3月から4ヶ月に渡る全国規模のロックダウンで傷んでいるため、政府は全国規模ではなく、地域ごとのロックダウンの実施を発表した。

今回は感染度により各地域をTier 1〜3に分け、Tier 2と3の地域には、経済崩壊を食い止めるために、政府からの特別補助を出す方針で決定した。

https://www.gov.uk/government/speeches/pm-commons-statement-on-coronavirus-12-october-2020

https://www.gov.uk/government/news/plan-for-jobs-chancellor-increases-financial-support-for-businesses-and-workers

注意すべき点:

8月末から英国北西部の一部の都市ではロックダウンがスタートしている。その後、感染地域はどんどん広がり、英国北部全体に拡大中。ロックダウンが長期化した場合、レストランなどのホスピタリティ業界の失業者が大幅に増えることと、経済の停滞が長期化するリスクが高まるため、政府が早急に補助を決めた。

ロンドンもTier 2によるロックダウンとなっており、室内での他世帯との交流は禁止されている。

ロンドンがTier 3になってしまうと、他の地域からロンドンに入ってくることが出来なくなったり、室内/外を問わず他世帯との交流が禁止される。当然、レストランでの食事も難しくなるだろう。

その場合は、経済の毀損がさらに大きくなることが予想されるため、ポンド売りには注意したい

注目点②:Brexit交渉

10月15日から16日のEUサミットで発表された声明文に、「今後の交渉は英国の譲歩をベースに合意を取り付けたい」という趣旨の文章が入っていた。さすがにこれは、英国政府の逆鱗に触れ、一時はEUと英国間の交流が途絶えた

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2020/10/15/european-council-conclusions-on-eu-uk-relations-15-october-2020/

EU側も自分たちの犯した過ちに気づき、その後は態度を急変。今まで頑なに拒否していた法的条文の作成を受け入れる姿勢を見せ、漁業権でフランスのマクロン大統領が高飛車な態度で出ていたことに、他のEU各国が不満を表したことなどが重なり、10月22日から交渉は再開されている。

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注意すべき点:

EUが設定した合意期限は、11月中旬。ここで合意が出来ないと、11月23日から召集される欧州議会での批准手続きに入れなくなる。 

コンセンサスとしては、大まかな合意を取り付けられる可能性は80%程度と思われるが、一部の金融機関はほぼ100%合意と予想している。コンセンサスとは裏腹に、合意が絶望的となれば、ポンド急落リスクが出てくることを、忘れないようにしたい

注目点③:英中銀の動き

ベイリー総裁、ブロードベント副総裁などが、政策手段の一つとしてマイナス金利導入を示唆してから、しばらく経つ。

10月に入り、ラムズデン副総裁とホールデン主席エコノミストが続けて、マイナス金利導入に対し、乗り気ではない発言をしている。

ラムズデン副総裁は、今はまだマイナス金利導入の時期ではないとして、銀行が貸し出しに消極的になり、経済にダメージを与えるリスクについて言及。

ホールデン主席エコノミストは、マイナス金利導入による良い効果と悪い効果について、慎重に考慮しなければいけないと、これまた消極的な姿勢を示している。

注意すべき点:

個人的に、英中銀がマイナス金利導入に踏み切るタイミングとしては、Brexit交渉で合意が出来ず、それと並行して新型コロナ感染者数が増え、英国政府は全国規模のロックダウンに踏み切らざるを得ないタイミングではないか?と思う。

その意味でも、Brexit合意が実現すれば、マイナス金利導入期待は、一旦後退すると考えている

ポンド見通し

最近のポンドの動きを見ていると、悪い材料は無視し、良いニュースだけを拾っている印象を受ける。その証拠に、Brexitに関するネガティブ・ニュースや新型コロナ感染者数増という報道が出ても、御構いなしに上昇しており、個人投資家さんから何度も、「どうしてポンドがこんなに強いのか?」という質問を受けた。 

11月中旬までにEUとの貿易交渉が合意に至るのか、現時点ではわからないが、一部の報道では、ボリス・ジョンソン首相は、米大統領選の結果を見てから、合意なき離脱の切り札を出すか否かを決定するようだと、警鐘を鳴らしている

いずれにしても、交渉期限となっている11月中旬までは、ベガス・トンネルが通る1.2800付近をサポートとして、上は1.32台。下は1.25台で見ている。

ポンド/米ドル

f:id:gaitamesk:20191106165135p:plain 元外銀ディーラー
松崎 美子(まつざき・よしこ)氏
1988年渡英、ロンドンを拠点にスイス銀行・バークレイズ銀行・メリルリンチで外国為替トレイダーとセールスを担当。現在は個人投資家として為替と株式指数を取引。ブログやセミナーを通して、ロンドン直送の情報を発信中。

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