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「投資立国」で日本を豊かに(前編)   デフレの成功体験から抜け出せない日本人

f:id:navimedia:20201117105215j:plain 撮影:椋尾詩


日本人の資産は以前から現預金の比率が先進国の中でも高く、投資に対する姿勢が後ろ向だと指摘されてきた。長年、外国為替業務の第一線で活躍し、テクニカル分析の第一人者として『FX取引の王道 外貨資産運用のセオリー』 (日本経済新聞出版社)の著書もある大西知生氏は、「金融リテラシーを広め、投資で日本をさらに豊かにすること」が目標だという。その大西氏は、新型コロナウイルスという未知のリスクに直面した今の市場をどのようにみているのか。テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違い、投資における日本のと海外との比較など幅広くうかがった。

※以下の取材記事は、個人のご経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については、充分内容をご理解のうえご自身の判断にてお取り組みください。 ※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資方針や時期選択など、すべての決定はご自身で判断されますようお願いいたします。

 

▼目次

1.コロナで急落するも市場は回復
2.コロナショックとシステム危機の違い
3.各国中央銀行も「学習の効果」を発揮
4.少しだけ「金融教育」が広がってきた
5.若者はなぜ暗号資産に参入したのか
6.分散投資ではレバレッジを使う
7.デフレの「成功体験」から脱却できない日本人
8.FXはテクニカルが「お得」な理由

~後編へ続く~
「投資立国」で日本を豊かに(後編)~チャートの中にすべての答えがある~はこちら

■コロナで急落するも市場は回復

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編集部:
新型コロナウイルス感染拡大は世界経済や株式市場、為替市場などに大きな影響を与えました。まず、コロナショックの影響について、どのようなところに注目されましたか?
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大西氏:
コロナは今年の1月あたりに騒がれ始めましたね。2月から3月にかけて株が内外ともに大きく売られ、3月半ばに平均株価は急落しました。リスク回避目的で安全資産にお金が移動する展開でした。外国為替も“反射神経”的に円が買われ、ドル円が急落、私どもが手がける仮想通貨の暗号資産の世界でもBTC(ビットコイン)やXRP(リップル)、ETH(イーサリアム)などが売られました。 ただ、その後、株価は回復し、為替もドル/円相場は比較的安定しています。また、暗号資産の世界では、年初来高値を更新している通貨も増えています。金融市場は落ち着きを取り戻しました。リーマンショックのときもそうでしたが、各国の中央銀行と政府が資金供給を大量に行なった結果、その過剰流動性から金融資産にお金が回っている状況ですね。
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編集部:
急落後に急回復できたのは、各国政府の金融政策が奏功した結果ということですね。
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大西氏:
投資家は常に運用先を探してきましたが、今回さらに流動性が供給されたことで運用資金が増えて、そのお金が金融市場に回ったのだと思います。

■コロナショックとシステム危機の違い

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編集部:
リーマンショックと異なる点はどこなのでしょうか。
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大西氏:
当時は大手金融機関が破綻したことで、金融システムそのものの危機が叫ばれていました。そういう大きな危機に、各国当局も慣れていなかったために、対応が後手に回りました。そのため金融システム危機が長引くのではないかという不安が生まれ、株価下落も長引くことになりました。しかし、今回はシステム危機ではありません。これは「期待を込めて」というとこもありますが、コロナ収束とともに一気に経済は戻ると思っています。
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編集部:
ただ、航空会社の飛行機は飛ばず、大手自動車メーカーの工場でさえも、生産停止を余儀なくされました。各国経済の落ち込みは激しく、GDP成長率も相当に深刻な数字になりそうですが、実体経済は市場にどのような影響を与えると思いますか?
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大西氏:
確かに現時点で経済は厳しい状況でしょう。しかし、比較的早く戻るのではないかと思います。今回、先に落ち込んだのは個人消費中心ですから、ワクチンができるなどして、この病気を克服すれば、個人消費の戻りはリーマンショックのときよりも速くなるのではないかと期待しています。

■各国中央銀行も「学習の効果」を発揮

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編集部:
世界の金融当局の対応についてはどう見ていますか。
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大西氏:
かなりよかったと思いますね。よく分からないことに対する恐怖心から、物を買う動きが鈍ったとき、政府と金融当局にできることは、お金を供給して金融市場だけでも安定させることでしょう。今回、金融当局は素早い対応で、少なくとも株価と為替も含めて金融市場の安定化に成功しています。もし株価が落ちたままだったら、さらに傷んでくるセクターが出てきたはずですから。リーマンショックのときのような各国の金融当局に対する批判もそれほど聞かれません。
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編集部:
今のところはかなり効果的な対応ができたということでしょうか?
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大西氏:
リーマンショックのときは大手銀行でさえもドル調達が困難となり、ドルの金利が異常な動きをしたことで、半ばパニックみたいになっていましたからね。それに比べて今回は、国を超えるグローバルな金融取引や貿易取引でもシステムが問題で行き詰まったという話も聞きません。リーマンショックを経験したことによる「学習効果」があったのでしょうね。

■少しだけ「金融教育」が広がってきた

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編集部:
大西さんが『FX取引の王道 外貨資産運用のセオリー』 (日本経済新聞出版)」を出されてから3年が経ちました。投資に興味がありながら、資産運用をしない人たちの目を投資に向けさせることを目的に上梓された書籍と伺っています。3年経った今、日本人の資産運用に対する意識は変化してきたと思いますか?

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(日本経済新聞出版社 2017年6月初版)  

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大西氏:
金融会社のみならず、大学のような教育機関など、各方面の努力のおかげで、人々が「金融教育」に触れる機会は増えてきたようですね。3年前は「金融リテラシー」という言葉すらなじみがありませんでしたが、「金融リテラシー」という言葉もかなり広がってきたように思います。
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編集部:
確かにそれは私たちも感じています。
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大西氏:
この本を書こうと思ったきっかけのひとつが、「知るぽると」という金融広報中央委員会の情報サイトに「日本人はドイツ人やアメリカ人と比べて金融知識が乏しく、同じ内容のテストの結果がよくない」というデータが掲載されていたことなんです。その一方で調査結果では「金融について学びたい」という人たちが多かった。それにもかかわらず、そういう人でも金融教育を受けたことがある人が8%しかいませんでした。最新の統計は8.5%だそうです。少しずつですが、状況は改善してきているという印象です。

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■若者はなぜ暗号資産に参入したのか

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編集部:
金融ビックバンで政府は「貯蓄から投資へ」と国民に呼びかけました。
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大西氏:
ええ、「貯蓄から投資へ」というスローガンは90年代、橋本龍太郎内閣のころからですね。今は「貯蓄から資産形成へ」と言われています。どちらも同じ意味ですが、ただ、政府が一生懸命に“旗”を振っても、なかなか伸びなかったのが実態ですよね。特に若い人の動きが鈍いとされていましたが、2017年に大きな変化がありました。
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編集部:
“暗号資産”ブームですね。
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大西氏:
ええ、暗号資産では投資家の6割が20〜30代です。90年代後半の金融ビックバンでは、あれだけ国が旗を振ったのに、若い人たちは投資しなかった。ところが、暗号資産の世界では、プレーヤーの6割が若者ということです。「この国の若者も捨てたものではないな」と思いましたね。
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編集部:
若者が参入した理由をどう見ていますか。
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大西氏:
使いやすくて分かりやすいアプリなどの取引ツールが提供されたからでしょう。投資にはリスクがつきものですから、無理矢理、「投資をしろ」って言われても、誰もしませんよ。政府がスローガンを掲げて旗振りをするよりも、むしろ、使いやすいサービスが市場に出てくれば、若い人たちは投資の世界に入ってくることが証明されたということです。暗号資産がまさにその良い例になったということでしょう。歴史が浅いのに、稼働口座はすでに約200万です。若者がゲーム感覚でやっているという声もありますが、最初はゲーム感覚だったとしても、結果的に多くの人が、自分でリスクを取り、投資した資金が、2倍や3倍になったという成功体験をしたことで、「貯蓄から資産形成へ」ということに、大きな役割を果たしたのではないかと思いますね。

■分散投資ではレバレッジを使う

 
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編集部:
大西社長は『FXの王道』の中で、分散投資の大切さを語られていました。
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大西氏:
ええ、分散投資の対象として、FXは理想的ではないでしょうか。ルールが明確ですから。あとはリスク管理さえしっかりしていればいい。例えば、自分の金融資産が全部で100万円あったとして、投資モデルにかかわらず、分散投資を前提に、外貨資産は2割程度持っていたほうがいいということで、100万円のうちの20万円を投入するときに、FXはレバレッジが効きます。運用資金20万円と同じようなリターンを求めるならば、2万円でも十分です。10倍のレバレッジを使えばいいからです。言い換えると、資金効率が非常に高いわけで、こういうことを知れば、分散投資を効果的に行うことが可能になるでしょう。

■デフレの「成功体験」から脱却できない日本人

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編集部:
日銀が発表した2019年の資金循環統計では、大西さんが本を書かれた2016年よりも、むしろ預金の比率が上がっています。「投資より預金」という日本人の傾向が変わるまでの道のりは、まだまだ長そうです。変わらない原因は何だと思いますか?

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大西氏:
まず、過去の体験ですね。学生時代に私はバブルを謳歌しました。社会人になってからはずっとデフレです(笑)。金融の世界では「Cash is King」などと言われますが、デフレ時代は現金で持っていることが、最も有利な資産運用です。30年間は「ひと世代」以上ですよね。ひと世代以上の間、「現金で持つことが最も有利な資産運用」だったのです。物価が安くなる一方で、持っている100万円の価値がどんどん上がっていく。この“成功体験”が大きな影響力を持っていて、なかなか変えられないのかなと思います。
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編集部:
この30年間で平均株価は大きく下がりました。
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大西氏:
バブル最盛期には4万円弱だった日経平均株価は、リーマン・ショック後に7,000円割れ(※1)まで落ちて、アベノミクスで戻ったと言っても、2万円ちょっとです。結局、「株は危ない」とか、「金融商品に投資するのは危ない」とか、そういうイメージが拭いきれなかったんでしょうね。

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※1 2008年10月28日に日経平均は一時バブル後最安値の6,994円90銭を記録、1989年12月29日の大納会の日の場中につけた38,957円44銭と比較すると約32,000円も下回った。

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編集部:
資産の傾向が変わらない理由のひとつに、日本人のメンタリティの問題はありませんか?
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大西氏:
われわれの親の世代は「お金の話をすることはいやらしい」とか、「人前でお金の話はするな」とか、そういう育てられ方をしています。株式投資などに対して、ちょっと“蔑んだ”ような目で見る風潮もあります。「額に汗して働くこと」「いいものを作って稼ぐこと」を“善”とする擦り込みもあるでしょう。
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編集部:
なるほど。
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大西氏:
ただ、統計の多くは、人数ベースではなく、金額ベースですよね。先ほど暗号資産で20代、30代の投資家が増えつつある話をしましたが、暗号資産で1人当たりの投資金額は昨年度実績で平均19万円です。その一方で、FXは200万円前後です。10倍近く違いますよね。人数が増えても、金額ベースでのインパクトが小さいため、統計に表れにくかったのかなと思います。しかし、20年後には20代、30代が40代、50代になります。投資資産が増えるでしょうから、必然的に預貯金の割合は下がるのではないかと、期待を込めて思っています。

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■FXはテクニカルが「お得」な理由

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編集部:
ちょっと話題を変えましょう。FXの投資判断の手法には、ファダメンタルズとテクニカルの二つがあります。大西社長はテクニカル分析では第一人者として金融業界では広く知られています。どちらで投資判断するのが、「お得」だと思いますか?
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大西氏:
これは「永遠のテーマ」ですね。本当はどっちも大事というのが“優等生”的な回答なのですが、あえて踏み込んで言いましょう。「どっちがお得」というなら、それはチャート(テクニカル)です。
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編集部:
どうしてですか?
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大西氏:
理由ははっきりしています。ファンダメンタルズは、常に最新の情報を取り続けていないとダメなんです。ドル/円だったら、アメリカの政治や経済に関する細かな指標が毎週入ってきます。さらに、いろんな解釈を加えないといけない。個人で分析するにはとにかく時間とコストがかかります。サラリーマン、会社経営者、主婦の投資家が、本業が忙しくて、FXから数年離れたとして、いざ復帰しようとしたら、“ファンダメンタルズ”に追いつくのに、半年ぐらいはかかると思います。
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編集部:
時間とコストがかかり、復帰に時間がかかるのが「ファンダメンタルズ」のデメリットなんですね。それでは「テクニカル」のメリットとは?
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大西氏:
その一方で、テクニカル分析は、移動平均線などいくつかの手法を一通り覚えてしまえば、一生使えるんです。1年程度、必死になって覚えれば、かなりマスターできます。しかも、一度マスターしてしまえば、5年後であろうが、10年後であろうが、チャート分析はできるのですよ。「ゴールデンクロスだから今が買いかもしれない」とか「一目均衡表の雲を抜けたから」とか「RSIが20切っているから売られ過ぎだなあ」とかいうことは、どんなにブランクあってもすぐ判断ができます。“使い回し”が効くので、テクニカルのほうが“お得”ではないかと思います。
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編集部:
なるほど。
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大西氏:
私自身、チャートを勉強し、書籍も書いていますが、本当に集中的に覚えたのは20代ですよ。日本テクニカルアナリスト協会に入って資格を取ったり、アメリカから来た著名なテクニカルアナリストに話を聞きに行ったりしたのは20代、30代ですけど、それ以降、特に新しいことは取り入れていません。それでも、徹底的に勉強したお陰で「チャート分析の大家」みたいに、世間では言ってもらえます。ファンダメンタルズ分析ではあり得ないことなので、そういうことからも、チャートのほうが“お得”じゃないでしょうか。

 

~後編へ続く~
「投資立国」で日本を豊かに(後編)~チャートの中にすべての答えがある~はこちら

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大西知生氏
FXcoin株式会社 代表取締役社長 1990年慶応義塾大学経済学部卒業後、東京銀行に入行。その後、ドイツ東京銀行、ドレスナー銀行、JPモルガン銀行、モルガン・スタンレー証券など、常に外国為替業務に携わってきた。 「J-MONEY」誌において2011年〜13年および2017年テクニカル分析ディーラーランキング1位に輝く。日本金融学会員。経済学博士。前東京外国為替市場委員会副議長。