「ドル安継続の公算」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年1月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のドル/円ポジション動向
・1月の日・米注目イベント
・ドル/円 1月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のユーロ/円ポジション動向
・1月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 1月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 12月の推移

12月のドル/円相場は102.872~104.748円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.0%下落した(ドル安・円高)。新型コロナウイルスの感染が欧米などで再拡大する中ではあったが、財政・金融政策の支えで市場心理は良好を維持。米国株が史上最高値を更新するなど、世界的に株価が上昇する中、リスクオンのドル売りが優勢だった。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が前例なき大規模金融緩和の長期化を示唆した翌日(17日)には、約9か月ぶりに102.872円前後までドル安・円高が進んだ。ただ、リスクオンの環境下では円もドル以外の通貨に対して弱含みで推移したため、ドル/円の下落は緩やかなものとなり、103円台を割り込むと押し目買いが入り下げ渋った。

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出所:外為どっとコム

1日
米11月ISM製造業景況指数は57.5と予想(58.0)をやや下回った。内訳の新規受注指数は65.1、雇用指数も48.4と前月(67.9、53.2)から低下した。

3日
NYダウ平均が一時30000ドル台を回復するなど米国株が上昇する中、リスクオンのドル売りが活発化。ドル/円は103.67円前後まで下値を切り下げた。ユーロ/ドルが約2年7カ月ぶり高値、ポンド/ドルが約1年ぶり高値へと上昇する中、クロス円はドル円の下落に上値を抑えられた。

なお、米11月ISM非製造業景況指数は55.9と予想(55.8)を僅かに上回ったが10月(56.6)から低下した。これ以前に発表された米新規失業保険申請件数は71.2万件と予想(77.5万件)より少なかった。

4日
米11月雇用統計は、非農業部門雇用者数が24.5万人増、失業率が6.7%(予想:46.0万人増、6.7%)となった。非農業部門雇用者数は前月(61.0万人増)から伸びが鈍化。失業率も前月(6.9%)から0.2ポイントの低下に留まった。

改善のペースとしては、いずれもコロナ禍からの回復が始まった5月以降で最低となった。

10日
米新規失業保険申請件数は85.3万件と予想(72.5万件)を上回り、前週(71.6万件)から増加。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う新たな制限措置の影響と見られる。

一方、米11月消費者物価指数は前月比+0.2%、前年比+1.2%と予想(+0.1%、+1.1%)を上回る伸びとなり、食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+1.6%と予想(+1.5%)を上回る伸びを記録した。

14日
12月日銀短観は大企業製造業DIが-10と市場予想(-15)を上回り、前回9月(-27)からマイナス幅が縮小。大企業非製造業DIも-5と予想(-7)を上回り前回(-12)から改善した。

16日
FOMCは大方の予想通りに政策金利(0.00-0.25%)と資産買い入れ規模(月額1200億ドル)の据え置きを発表。声明では、資産買い入れを続ける期間について「完全雇用とインフレ安定の目標達成に向けてさらに著しい進展が見られるまで」として、これまでの「今後数カ月間」から修正した。材料出尽くし感などから一時ドル買いが、優勢となったが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で、資産買い入れに関する新たな文言は「強力」だなどと述べた事などからドルが再び売りに傾いた。

声明と同時に公表された経済・金利見通しでは、少なくとも2023年までゼロ金利を続けるとの方針が維持された。なおこの日、米財務省は半期に一度の為替報告書を公表し、スイスとベトナムを「為替操作国」に指定。「監視対象国」にはタイ、台湾、インドを追加し、従来の中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、シンガポール、マレーシアと合わせて10カ国がリスト入りした。その他、米11月小売売上高は前月比-1.1%と予想(-0.3%)を下回った。

22日
米7-9月期GDP・確報値は前期比年率+33.4%となり、改定値(+33.1%)から上方修正された。個人消費は+41.0%(改定値:+40.6%)だった。その後に発表された米12月消費者信頼感指数は88.6と、予想(97.0)に反して前月(92.9)から低下した。

28日
トランプ米大統領が、議会を通過済みの追加経済対策・歳出法案に署名した事が明らかになった。失業給付の再延長や中小企業支援などを盛り込んだ9000億ドル規模の新型コロナウイルス対策と、これを一体化した2021年度本予算が成立。予算成立によって政府機関の一部閉鎖も回避された。

12月の各市場

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12月のドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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1月の日・米注目イベント

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ドル/円 1月の見通し

2020年のドル/円相場は103.20円台で着地。ドル安の流れが鮮明化しており、過去最長に並ぶ5年連続の年足陰線で引けた。

ドル安の背景が、米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策が長期化するとの観測や、バイデン新政権の政策によって米国の経常赤字・財政赤字が拡大するとの観測である事を考えると、この流れがすぐに反転するとは予想しにくい。対円でも一段のドル安進行があってもおかしくないだろう。円もドルと同様に「安全通貨」に位置付けられるため、ドル/円の下落ピッチは緩やかなものになると見られるが、昨年末のサポートである102.80円台を下抜けるようだと、昨年安値の101.17円前後を意識した相場展開となりそうだ。

1月のドル安のペースを測る上では、5日の米ジョージア州上院決選投票や20日の米大統領就任宣誓式、26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などが注目されよう。ジョージア州では昨年11月の選挙で結果が確定できなかった2議席について決選投票が行われる。仮に2議席とも民主党が取れば、大統領・上院・下院ともに民主党が支配する「オールブルー」となるため、バイデン新大統領の政策実現が容易化するとの見方が広がり、ドル安の流れが加速する可能性もある。

今回の決選投票でも郵便投票が大幅に増えている事などから結果の確定に時間がかかる可能性はあるが、2021年最初の重要イベントとしてまずはジョージア州上院の決選投票の行方に注目したい。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 12月の推移

12月のユーロ/円相場は124.376~127.230円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.4%上昇(ユーロ高・円安)した。新型コロナウイルス感染拡大対策としてドイツで学校が閉鎖されるなど、欧州各国で規制が強化されたものの、リスク選好ムードに陰りは見られずユーロ高・円安が進行した。

懸案の英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)を巡る交渉が難航した事がユーロの上値を抑える場面も散見されたが、クリスマス前に合意が成立。合意直後こそユーロの反応は鈍かったが、クリスマス休暇明けには再び買いが強まり、29日には127.230円前後まで上昇して3月以来、約9か月ぶりの高値を付けた。

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出所:外為どっとコム

1日
中国11月財新製造業PMIが予想を上回った事などからアジア株が全面的に上昇。英国と欧州連合(EU)の通商交渉が「集中的な最終段階」に入ったとの報道や、米議会の超党派グループが9080億ドル規模の緊急経済対策を提案した事を好感して欧米株も上昇した。そうした中、リスクオンのユーロ買い・円売りが活発化した。

8日
独12月ZEW景気期待指数は55.0と市場予想(46.0)を上回り、前月(39.0)から大幅に上昇した。ユーロ圏12月ZEW景気期待指数も54.4と前月(32.8)から大きく上昇した。なお、ユーロ圏7-9月期GDP・確定値は前期比+12.5%となり、改定値(+12.6%)から僅かに下方修正された。

9日
EUの中期予算および新型コロナ復興基金に反対の立場を表明していたポーランドとハンガリーが、EU議長国であるドイツの予算案を受け入れる事で暫定的に合意。11日までにEU全体で合意がまとまる見通しとなった。

これを受けてユーロは一時買いが優勢となったが、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長による通商交渉のトップ会談が不調に終わった事などから失速した。

10日
欧州中銀(ECB)は主要政策金利を据え置いた一方、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による資産買い入れ枠を5000億ユーロ拡大して1.85兆ユーロとするとともに期間を2022年3月まで9カ月延長した。また、長期資金供給オペ(TLTRO)も2022年6月まで1年延長した。これを受けてユーロはやや乱高下したが、概ね想定内の追加緩和であったとの見方から買いが優勢となった。

ラガルドECB総裁がその後の会見で、PEPPについて「良好な金融状況を維持できるようなら買い取り枠をフルに活用する必要はない」との見解を示した事や、ユーロ高について「為替レートの動きを注視する」と述べるに留めた事などもユーロの上昇に繋がった。

16日
仏12月製造業PMI・速報値は51.1、同サービス業PMI・速報値は49.2といずれも予想(50.1、40.0)を上回った。続いて発表された独12月製造業PMI・速報値は58.6、同サービス業PMI・速報値は47.7と、こちらも揃って予想(56.5、44.0)を上回った。

これを受けてユーロ買いが強まると、ユーロ/ドルが約2年8カ月ぶりに1.22ドルの大台に乗せた。ドル/円の下落に連れて125.71円前後まで弱含んでいたユーロ/円も、独仏PMIを受けて126円台を回復した。なお、ユーロ圏12月製造業PMI・速報値は55.5、同サービス業PMI・速報値は47.3(予想:53.0、42.0)であった。

17日
フランスのマクロン大統領が新型コロナウィルス検査で陽性だったと伝わると、ユーロは一時下落したが、欧米株の上昇を背景に持ち直した。なお、マクロン大統領は7日間の自主隔離に入るが職務遂行は続けるとの事。

23日
英国とEUの通商交渉がこの日のうちにも合意に達する可能性があるとするEU外交筋の発言が伝わるとポンドの急伸に連れてユーロも上昇。その後、英国側が漁業権(漁獲高の削減幅)で譲歩した事などから通商交渉の大枠で合意したと報じられた。英国とEUが「FTAなき離脱」を回避した事で欧州景気の先行きに対する懸念が和らいだ。

12月の各市場

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12月のユーロ/円ポジション動向

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1月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 1月の見通し

ユーロ/円相場は昨年12月29日に付けた127.230円前後の高値からやや下落しており、1月4日の東京市場では126円台前半で推移している。それでも13週・26週・52週の各移動平均線がいずれも右肩上がりで推移しており、上昇基調は維持していると考えられる。

13週・26週の移動平均線は4日時点で124円台後半に位置しているが、1月中には125円台前半へと上昇する見込みであり、これらが下値支持となる公算が大きい。一方、ドルの先安観(≒ユーロの先高観)が強い中、上値抵抗と目される12月高値(127.230円前後)を超えられれば、2018年2月から2020年5月までの下げ幅の61.8%戻しにあたる128.684円前後まで上昇余地が拡大しそうだ。ただし、こうしたユーロ上昇シナリオが崩れるとすれば昨年後半から続く世界的な株価の値上がりがストップした場合であろう。

日本も含めて世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、ドイツやフランスなどでは一部でロックダウン(都市封鎖)などの行動制限措置が取られている。感染拡大に歯止めがかからず、世界経済の先行き懸念が強まれば、株価の反落とともにユーロ/円にも下落圧力がかかる可能性がある。主要国の株価動向には念のため注意が必要だろう。
(神田)

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