「リスク選好の持続性がクロス円のカギに」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2021年1月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のポンド/円ポジション動向
・1月の英国注目イベント
・ポンド/円 1月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月の豪ドル/円ポジション動向
・1月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 1月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 12月の推移

12月のポンド/円相場は136.772円~141.245円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.5%上昇した(ポンド高・円安)。英国が欧州連合(EU)から離脱するにあたり通商協定を締結するために設けられた「移行期間」の終了が年末に迫る中、連日報じられる通商交渉の過程に一喜一憂する展開だった。

交渉決裂の可能性が報じられた11日には136.772円前後までポンド安が進んだが、クリスマス休暇直前の23日に合意が成立すると翌24日には141.20円台に上昇した。その後、「材料出尽くし」によるポンド売りが入る場面もあったが、一巡後は再び買いが優勢となり31日には141.245円前後まで上伸して9月4日以来の高値を付けた

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出所:外為どっとコム

2日
米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチンを先進国で初めて英国政府が承認。翌週にも接種を始める事も伝わった。これを受けてポンドは上昇したが、直後にバルニエEU首席交渉官が英国との通商交渉について悲観的な見方を示したため急落。

バルニエ氏はEU加盟各国の大使らに、合意を妨げている3つの主要な争点は依然未解決だと伝えた上で「合意なしの結果があるかもしれない」と述べた事が報じられた。

7日
バルニエEU首席交渉官は(一部で報じられた)漁業権で合意に近いとの見方を否定した事をEU外交官が明らかにした。続いて、英政府関係者から「EUとの通商交渉は、進展がなければ7日に打ち切る公算」と伝わるとポンド売りが活発化。

しかし、通商交渉に絡んで緊急協議を行った英国のジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長が共同声明を発表するとポンドは下げ幅を縮小した。声明で、公平な競争条件、ガバナンス、漁業権の3つの問題で深刻な隔たりが残っていると表明したが、数日以内にブリュッセルにおいて対面で協議を行う準備を進めるとして交渉継続で合意した事も明らかになった。

11日
フォンデアライエン欧州委員長がEU首脳らに対し、英国との通商交渉について「合意なしの公算が最も大きい」と述べた事が伝わるとポンドが下落。ポンド/円は、その後ジョンソン英首相が「合意なき離脱の可能性が高い」との見解を示した事から136.77円前後まで下落して11月9日以来の安値を付けた。

17日
英中銀(BOE)は政策金利を0.10%に据え置き、資産買い入れプログラムの規模も8750億ポンドで維持した。同時に公表した議事録では、「ロックダウンは2021年第1四半期成長率の重し」「景気の先行き不透明感が続く」などと慎重な見方が示された。

なお、英国とEUの通商交渉についてはこの日、フォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相が電話で会談を行った。会談後に欧州委員長が「特に漁業権で大きな相違が残っている」と述べたのに続き、英首相も「EUが立場を変えない限り合意なしの可能性が非常に高い」「漁業権に対するEUの立場は合理的ではない」との見解を示した。

21日
英国で新型コロナウイルス変異種の感染が「制御不能(ハンコック英保健相)」となった事や、英国とEUの通商交渉が20日の協議でも合意できなかった事から、ポンドは急落して取引を開始した。

しかし、NYクローズ間際にジョンソン英首相がEUとの通商交渉で懸案の漁業権問題について譲歩案を示した事が伝わるとポンドが急反発。英国は先週の段階で、英海域でのEU漁獲量を60%減らすよう求めていたが、今回は約3分の1削減案を提示した模様。

23日
英国とEUの通商交渉がこの日のうちにも合意に達する可能性があるとするEU外交筋の発言が伝わるとポンドが急伸。その後、英政府筋からも同様のコメントが伝わった。さらにその後、英国側が漁業権(漁獲高の削減幅)で譲歩した事などから通商交渉の大枠で合意したと報じられた。

24日
英国とEUが自由貿易協定(FTA)を含む将来関係を巡る交渉で正式に合意。ジョンソン英首相は会見で「この協定により、我々の法律と我々の運命の主導権を取り戻せる」と語り、英議会が30日にこの合意案の採決を行う事も明らかにした。

一方、EUのフォンデアライエン欧州委員長も会見を行い「英国と公平でバランスのとれた合意を得た。この合意のために戦う価値はあった」と述べた。ただ、ポンドは「材料出尽くし」の売りに押されて上げ幅を縮小した。

12月の各市場

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12月のポンド/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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1月の英国注目イベント

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ポンド/円 1月の見通し

懸案の英国と欧州連合(EU)の通商交渉は12月23日に一応の決着を見た。これにより自由貿易協定(FTA)が締結される運びとなり、両者の間に関税障壁が生まれるなどの混乱は回避される事になった。

英国経済にとって不測の事態を免れた格好で、ポンド相場も急落リスクは低下したと見られる。ただ、英国で新型コロナウイルスの変異種が猛威を振るっており、少なくとも2月半ばまでイングランド全土でロックダウン(都市封鎖)が行われる事も決まっている。そうした中ではポンドが上値を伸ばす展開にはなりにくそうだ。

世界的な株高などでリスク選好ムードが続くようならポンド/円は底堅い推移が見込まれ、昨年6月以降の下値支持である52週移動平均線(執筆時:136.86円前後)を割り込む公算は小さいだろう。一方で、昨年8月に付けた戻り高値の142.71円前後が上値抵抗になると見られ、上伸余地も限られそうだ。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 12月の推移

12月の豪ドル/円相場は76.574円~79.784円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約3.8%上昇した(豪ドル高・円安)。新型コロナウイルスの感染が豪州では比較的抑制されている事、豪州の長期金利が他の先進国に比べて高水準である事、豪州と経済的な結び付きが強い中国の景気回復基調が確認された事、世界的な株高などによるリスクオンのドル安が進行した事などが豪ドルを押し上げた。

豪ドル/円は31日に79.784円前後まで上伸して年初来高値を更新。月末にかけて、英国と欧州連合(EU)の通商交渉が土壇場で纏まり、英国の「自由貿易協定(FTA)なきEU離脱」が回避された他、米国の新型コロナ追加経済対策法案が成立した事で一段とリスクオンの流れが強まった。

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出所:外為どっとコム

1日
豪中銀(RBA)は予想通りに政策金利(0.10%)を据え置き、3年物国債利回り目標や国債購入プログラムなどの政策も現状維持とした。

声明では「豪州の景気回復は進行中で、最近のデータはおおむね予想以上だが、回復は不均一」「高い失業率に対処することを重要な国家的優先事項と見なしている」とした上で「少なくとも3年間はキャッシュレートを引き上げる事を想定していない」と改めて表明した。

2日
豪7-9月期国内総生産(GDP)は前期比+3.3%と予想(+2.5%)を上回る伸びとなり、4-6月期(-7.0%)から急回復した。その後、米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏が米紙とのインタビューで、トランプ大統領が課した「対中制裁関税」や「第1段階の貿易合意」について「直ちに見直すつもりはない」と発言。

これを受けて中国人民元とともに豪ドルが下落する場面があった。しかし、追加経済対策への期待などから米国株が強含む中、リスクオンの豪ドル買いが優勢となり反発した。

10日
豪ドル/円は本邦機関投資家の買い観測などから9月2日以来となる78円台へと上昇。鉄鉱石先物が中国の景気回復に伴う需要増を睨んで値上がりした事も豪ドルを支援した。なお、中国政府は豪州産ワインに反補助金の追加関税を徴収すると発表したが、豪ドル相場への悪影響は特に見られなかった。

15日
RBAは12月1日の理事会の議事録を公表。「労働市場は想定以上に回復」としながらも「失業率の高止まりが長期間続く見通しで、国家の優先事項として対処する方針」と表明。

その上で「必要なら追加緩和の用意がある」「債券買い入れにフォーカスする」とした。豪ドルは議事録の公表後に上昇したが、中国人民銀行が過去最大級の1年物資金供給を実施したため人民元が下落するとこれに連れて反落した。

16日
バーミンガム豪貿易相は、中国が豪州産の大麦に高率の関税を課した事について、この日のうちにも世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を示した。中国政府は5月に、豪州産の大麦に合計80.5%の反ダンピング関税・反補助金関税を課すと発表したが、豪州政府は国内の大麦生産に補助金を出しているとの中国側の主張を否定している。

17日
豪11月新規雇用者数は前月から9.00万人増加して予想(4.00万人増)を上回った。同失業率も6.8%と、予想(7.0%)を下回り前月(7.0%)から改善。同労働参加率は66.1%へと上昇した(予想:65.9%)。

23日
英国と欧州連合(EU)が通商交渉でこの日のうちに合意する可能性があると伝わり欧米株が軒並み上昇する中、リスクオンの豪ドル買い・円売りが強まった。

31日
中国12月製造業PMIは51.9と予想(52.0)を僅かに下回り、約3年ぶりの高水準だった前月(52.1)から小幅に低下した。ただ、活動拡大・縮小の節目である50.0を10カ月連続で上回っており中国景気が安定的に回復しているとの見方に変わりはなかった。こうした中、豪ドル/円は79.784円まで上昇して2019年4月以来の高値を付けた。その後もNYダウ平均が史上最高値を更新するなど米国株が上昇する中で高値圏を維持した。

12月の各市場

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12月の豪ドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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1月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 1月の見通し

2020年の豪ドル/円相場は前年比で約4.3%上昇。3月のコロナ・ショックで付けた安値59.875円前後からは実に30%超もの反発を記録した。こうした豪ドル選好の動きが2021年も続くかどうかは、世界的な株高の持続性がカギとなろう。

世界的な株高については足元の業績を無視した動きとの見方も一部にあるが、主要先進国が超低金利政策と巨額の財政支援に乗り出した事で正当化されるとの見方が多い。新型コロナワクチンの接種が進み、期待通りに効果を発揮できれば、世界景気の回復期待が高まるとともに株価が一段と上昇すると見られ、それに連れて豪ドルも上値を伸ばすと考えられる。

1月の豪ドル/円相場は、株価動向の他、中国景気の回復度合いもポイントになりそうだ。コロナ・ショックの震源地である中国はいち早く対策を講じた事などから景気回復も他国に比べて早いペースで進んでいると見られる。経済的な結び付きが強い豪州にとっても中国の景気回復はプラス面が大きい。18日に発表される中国10-12月期国内総生産(GDP)などの結果から同国の景気回復期待が一層強まれば豪ドル相場にもプラス材料となろう。

ただ、モリソン豪政権が中国に対し新型コロナウイルスを巡る第三者調査を要求した事をきっかけに、豪中関係が悪化している点は気がかりだ。中国が豪州産品の輸入制限をさらに強化するような事があれば豪ドルの下落圧力となるため注意が必要だろう。(神田)

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