総括
ワクチン効果不透明で下落、資源価格上昇は好感、予算教書待ち
「通貨8位、株価首位」
「予想レンジ 南アランド円 6.9-7.4」
（ポイント）
＊今週は予算教書の発表がある
＊年初来の通貨最下位を脱出した
＊南ア株価指数は世界最強
＊ワクチン接種はまもなく始まる
＊年初は資源価格が下落したが現在上昇中
＊貿易収支は8か月連続黒字
＊1月製造業PMIは改善
＊エスコム社は計画停電を実施する
＊政策金利は3.5％で据え置かれた
＊南ア発のコロナウィルス変異種が世界に拡散している
＊従来のワクチンが南ア変異種に効くかどうかは意見が分かれる
＊世銀の21年成長見通しは3.3％
＊南アへの投資は順調
＊南アの財政赤字は対GDP比62.2％
＊経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
＊IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8％に据え置く
＊中銀の20年インフレ見通しは3.84％
(ワクチン効果不透明）
ワクチンの報道はまだ揺れている。アストラゼネカ製は南ア変異株に対する効果が弱まるとされたが、米ファイザー製は「非常に有効」とされた。ただ南アの感染者が推計で人口の半数前後に上ることが、最新の研究結果などから分かったとの報道もあった。死者数も公式発表の数字を大幅に上回るとみられている。公式発表では南アの感染者は人口の2-3％に当たる約150万人で、死者は約4万8500人。しかし、先週公表された研究では、4州の約5000人の抗体を検査したところ、32-63％が感染していたことが判明した。 昨年5月以降、過去の統計から予測される死者数を実際の死者数が上回る「超過死亡」が14万人以上に達している。ただその中でも、白金を中心とする資源価格が上昇し南アランドを支えている。
（予算教書発表）
今週は2月24日に予算教書の発表がある。既にジャンク債に格下げされた南アの財政の改善がサプライズ的に改善されることはないだろう。財政赤字の削減には公務員給与の凍結や砂糖税の引き上げなどが示されている。ランドを持ち上げるには何といっても資源価格上昇が続き、景気回復に繋がることだ。
今週はその他、12月景気先行指数、20年4Q雇用統計、1月卸売物価、1月貿易収支の発表がある。
（1月消費者物価=CPI）
1月消費者物価は前年比3.2％上昇、前月の同3.1％から伸びが加速した。
前月比でも同0.3％上昇で前月の同0.2％上昇から伸び率が高まった。
食品と非アルコール飲料、燃料、エネルギーを除いたコアCPIは、前年比3.3％上昇と前月から横ばい。一方、前月比伸び率は同0.1％で、前月の同0.2％から鈍化した。
（新型コロナ関連の支援策を無期限に続ける余裕ない）
ラマポーザ大統領は、新型コロナウイルス感染拡大で深刻化した不況を国民や企業が乗り切るために導入した失業給付や補助金について、無期限に続けることはできないとの考えを示した。大統領は、「これらの支援策が政府債務を膨らませることなく、より広範な回復に向け堅固な基盤を確実に提供する必要がある」と指摘。その上で「国の債務を持続可能な水準まで引き下げることができなければ、意味のある景気回復はできない」と説明した。
（一般教書＝経済再生復興政策、トヨタの名も上る）
ラマポーザ大統領は一般教書演説を行った。2021年に優先して実施する政策として、1.新型コロナウイルス対策、2.経済再生の加速化、3.雇用創出のための経済の構造的改革、4.汚職の撲滅、の4点を柱に掲げた。
また、新型コロナウイルス感染拡大により、2020年を通して経済が低迷したことを受け、国内で貧困や格差、失業の問題がさらに悪化していると危機感を示し、政府が2020年10月に発表した「経済再生復興政策（ERRP）」を実行していくと説明した。具体的には、パイプラインの施設をはじめとする国内での大規模なインフラ整備プロジェクト、発電容量の増加、（自動車などの）現地生産のさらなる拡大などを挙げた。中でも、電力公社エスコムの改革は引き続き最重要課題だとの認識を示した。自動車の現地生産に関しては、トヨタ、日産、いすゞ、フォードなど具体的な企業名を挙げ、ハイブリッド車をはじめ国内の生産施設拡大に向けた投資を行っていると強調した。
テクニカル分析（ランド/円）
ボリバン2σ上限から反落
日足。ボリバン2σ上限からジリ安。2月17日-19日の上昇ラインがサポート。2月18日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。ボリバン上位。
週足6週間ぶりに陰線、カブセ線。ボリバン2σ上限から反落。2月8日週-15日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上位。
1月は6か月ぶりに陰線。ただ下ヒゲは残し2月は陽線スタート。20年12月-21年1月の下降ラインを上抜く。20年11月-21年1月の上昇ラインがサポート。18年12月-20年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。今年は陰線スタートも陽転。
喜望峰
南ア、周辺国との主要な陸路国境を再開 陰性証明書が必要
南アは2月13日、物流を除いて1月13日から一時閉鎖していた6カ国、計20の主要陸路国境を再開することを発表した。
陸路国境の再開を受けて、モツァレディ内務相は、全ての南ア入国者は有効な新型コロナウイルス陰性証明書の国境での提示が必要だと、あらためて呼びかけた。また、偽造の陰性証明書の提示が発覚した場合は、最短でも今後5年間、南アへの入国を認めないと警鐘を鳴らした。
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