「『リフレ・トレード』一服」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年3月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のドル/円ポジション動向
・3月の日・米注目イベント
・ドル/円 3月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のユーロ/円ポジション動向
・3月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 3月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 2月の推移

2月のドル/円相場は104.408~106.690円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.7%上昇した(ドル高・円安)。1月後半からの米長期金利上昇とドル高の流れを引き継ぎ5日に105.70円台へと上昇したが、米1月雇用統計の冴えない結果を受けて反落すると10日には104.40円前後まで弱含んだ。

もっとも、米景気回復とそれに伴うインフレ上昇への期待は根強く、長期金利が高止まりする中でドルの下値は堅かった。バイデン米大統領が提案した1.9兆ドル規模の追加経済対策の成立機運が高まった事や、新型コロナワクチン接種の進捗とともに新規感染者数が減少傾向となった事で、米長期金利の上昇が加速すると月末にかけてドルは一段と上昇。米国株が過去最高値更新後に急反落した事もリスク回避のドル買いを誘い、26日には2020年8月28日以来、半年ぶりに106.690円前後まで上値を伸ばした。

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出所:外為どっとコム

1日
米1月ISM製造業景況指数は58.7と予想(60.0)を下回り、前月(60.5)から低下。構成指数の新規受注が61.1に低下(前回67.5)した一方、雇用は52.6へ僅かに上昇(前回51.7)した。

3日
米1月ADP全国雇用者数は17.4万人増と予想(7.0万人増)を上回る伸びとなった。また、米1月ISM非製造業景況指数は58.7と予想(56.7)を上回り、2019年2月以来の高水準を記録した。

5日
米1月雇用統計は非農業部門雇用者数が4.9万人増、失業率が6.3%であった(予想:10.5万人増、6.7%)。失業率は予想外の改善となったものの、非農業部門雇用者数は前月分が22.7万人減に下方修正(速報値14.0万人減)された。なお、バイデン米大統領は「雇用統計は完全雇用が10年先になる事を示す」「経済対策はやり過ぎて困ることはない」との見解を示した。

10日
日銀は3月に行う金融政策の点検で、現在のマイナス金利を維持し、必要に応じて一段の利下げも辞さない方針の明確化を検討する事が一部報道で伝わると、一時円売りが強まった。この日発表された米1月消費者物価指数は前月比+0.3%、前年比+1.4%(予想+0.3%、+1.5%)、食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+1.4%(予想+1.5%)だった。

15日
日本10-12月期国内総生産(GDP)・一次速報は前期比年率+12.7%と予想(+10.1%)を上回る伸びとなった。これを好感した動きなどから日経平均株価が前日比500円超上昇して1990年8月以来30年半ぶりに3万円台に乗せた。

17日
米1月小売売上高は前月比+5.3%と、予想(+1.1%)を大きく上回る高い伸びとなった。自動車を除いた売上高は前月比+5.9%と、さらに大幅な伸びを記録した(予想+1.0%)。米1月鉱工業生産も前月比+0.9%と予想(+0.4%)を上回った。

その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)は、1月26-27日の会合の議事録で「米経済が最大雇用というFOMCの広範で包括的な目標を達成するまでには程遠く、労働市場が素早く改善した場合でも目標達成には時間がかかる」との見方を示した。

23日
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は上院で半期に一度の議会証言を実施。国内の景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」状態にあり、FRBが完全雇用の回復に向けて導入した大規模な緩和政策の変更を検討するまでには「しばらく時間がかかる」との認識を示した。

25日
米10-12月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比年率+4.1%と、速報値(+4.0%)から僅かに上方修正された(予想+4.2%)。同個人消費・改定値は前期比年率+2.4%に下方修正された(速報値+2.5%)。また、米新規失業保険申請件数は73.0万件と、2020年11月以来の水準に減少した(予想82.5万件、前週84.1万件)。

こうした中、米7年債入札が不調だった事もあって米長期金利の上昇が加速。米10年債利回りは節目の1.50%を超えて一時1.60%台へと急上昇した。一方、米国株は長期金利の上昇を嫌気する形で急落した。

26日
24日には一時32000ドル台に上昇して史上最高値を更新していたNYダウ平均が31000ドル台を割り込んで下落。豪ドルやポンドに対してドル買いが強まる中、ドル/円でも106.690円前後までドル高が進行した。なお、米1月個人消費支出(PCE)は前月比+2.4%と、予想(+2.5%)を下回ったものの、米1月PCEデフレーターは前年比+1.5%と予想+1.4%を上回った。

2月の各市場

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2月のドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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3月の日・米注目イベント

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ドル/円 3月の見通し

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が、ワクチンの普及も相まって下火になるとの期待が広がっている。こうした中で世界景気回復への期待も高まっており、金融市場では株高・商品高・債券安の「リフレ・トレード」が大流行。為替相場では、債券安で米長期金利の上昇が顕著となったため日米金利差の拡大が決め手となり、ドル高・円安が進んだ。

ただ、3月もこうした流れが続くかどうかはやや慎重に見ておきたい。米10年債利回りは2月後半に一時1.6%台へと上昇したが、米国株(S&P500)の配当利回りである1.5%を超えた事から株価の調整を誘発した。足元では米10年債利回りの1.5%が「リフレ・トレード」の限界点と見る事もできそうだ。

仮にそうした見方が正しければ、ドル/円相場が昨年のコロナショック後の高値である109.85円前後を目指して上伸する事は考えにくい。投機筋の円買いポジションが残っていると見られるため、手仕舞いの円売りによる107円台への上昇は十分に考えられるものの、米長期金利上昇の後押しがなければ108円台では伸び悩む公算が大きいだろう。

3月16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ハト派姿勢が改めて強調されると見ており、米長期金利の上昇も落ち着く事になろう。日銀も3月18-19日の金融政策決定会合で金融緩和の点検を行う予定で、マイナス金利も辞さない構えを強調すると見られる。超金融緩和維持への安心感から世界的な株高基調が復活すればドル安と円安の綱引きとなり、ドル/円は概ね105円から108円の間で安定的に推移する事になりそうだ。

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 2月の推移

2月のユーロ/円相場は126.099~129.973円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.2%上昇(ユーロ高・円安)した。ユーロ/ドルは前月比で約0.5%下落しており、ユーロ/円相場の上昇は主に円の下落に支えられたものであった。

バイデン米大統領が提案した1.9兆ドル規模の追加財政支援策が早期に成立するとの期待などから世界的に株価が上昇するリスクオンの流れの中で円安が進行。ユーロ/円は25日に129.973円前後まで上伸して2018年11月以来の高値を付けた。世界的に新型コロナワクチンの接種が進み、新規感染者が減少傾向となった事も市場のリスクオンムードに寄与した。

ただ、米10年債利回りが1年ぶりに1.5%を超えた25日のNY市場終盤以降は、株価の調整とともに市場のムードが暗転。ユーロ/円は26日には128円台半ばへと押し戻されて2月の取引を終えた。

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出所:外為どっとコム

2日
ユーロ圏10-12月期GDP・速報値は前期比-0.7%と予想(-0.9%)ほどには落ち込まなかったが7-9月期(+12.4%)から急減速となった。

3日
ユーロ圏1月サービス業PMI・改定値は45.4と速報値(45.0)から上方修正された。また、ユーロ圏1月消費者物価指数(HICP)・速報値は前月比+0.2%、前年比+0.9%といずれも予想(-0.1%、+0.6%)を上回る伸びとなった。

なお、ドラギ欧州中銀(ECB)前総裁が、マッタレラ伊大統領による首相候補指名を受託すると発表。コンテ首相の連立工作が失敗に終わり、不安定化していたイタリアの政局が落ち着く可能性が高まったとの見方からイタリアの株価と国債価格が上昇した。ただ、いずれもユーロの反応は小さかった。

11日
欧州委員会は2021年のユーロ圏の成長率見通しを従来の+4.2%から+3.8%へと下方修正した。ただ、ユーロの反応は乏しかった。

15日
ユーロ圏12月鉱工業生産は前月比-1.6%と予想(-0.8%)を下回る落ち込みとなった。一方、ユーロ圏12月貿易収支は275億ユーロの黒字と黒字額は予想(250億ユーロ)を上回った。

16日
独1月ZEW景気期待指数は71.2と市場予想(59.5)を上回り、前月(61.8)から大幅に改善した。ユーロ圏1月ZEW景気期待指数も69.6と前月(58.3)から回復。 なお、ユーロ圏10-12月期GDP・改定値は前年比-5.0%となり、速報値(-5.1%)から僅かに上方修正された。

18日
欧州中銀(ECB)は1月21日の理事会の議事録を公表。「理事会が為替レートの動向とインフレ見通しへの影響に関してその警戒を繰り返すべきである」としてユーロ高への警戒感を示したが、ユーロは特に反応を見せなかった。

19日
独2月製造業PMI・速報値は60.6、独2月サービス業PMI・速報値は45.9(予想56.5、46.5)だった。その後に発表されたユーロ圏2月製造業PMI・速報値は57.7(予想54.3)、ユーロ圏2月サービス業PMI・速報値は44.7(予想45.9)であった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限措置などでサービス業の景況感が悪化した一方、製造業は予想外の改善となった。

22日
ラガルドECB総裁は「最近の金利上昇を緊密に注視している」と発言して長期金利の上昇をけん制。これを受けてユーロは売りが優勢となった。なお、これ以前に発表された独2月Ifo企業景況感指数は92.4と予想(90.5)を上回った。

24日
独10-12月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.3%、前年比-3.7%となり、速報値(+0.1%、-3.9%)からそれぞれ上方修正された。

25日
ユーロ/円は、欧州株の上昇などを受けて129.973円前後まで上値を伸ばしたが、NY市場で急速に上げ幅を縮小。米7年債入札後に米長期金利の上昇が加速するとドル買いが強まりユーロ/ドルが急落した事が重しとなった。

2月の各市場

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2月のユーロ/円ポジション動向

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3月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 3月の見通し

ユーロ/円相場は2月最終週に130円目前まで上昇したが、その後は米長期金利の上昇を受けて世界的に株価が調整した事から128円台に押し戻されるなど失速気味だ。

52週移動平均線からの上方乖離が約5.8%に達し、昨年半ば以降の上昇局面で最高となった事も調整ムードを醸成したと見られる。昨年5月に52週移動平均線との乖離が約5.5%に達した際も、26週移動平均線を一時下回るなど、2カ月近くに渡り調整。高値からの下落率は約4.3%に及んだ経緯がある。

今回も125円台に位置する26週移動平均線を下回る調整があってもおかしくないだろう。株価の上昇基調が復活すれば、ドル安と円安に支えられてユーロが上昇する流れも復活すると見られるが、裏を返せば米長期金利の低下がなければ株価とユーロの反発も期待しにくい事になる。

3月に入り、コロナ禍で落ち込んだユーロ圏経済に急回復の兆しが見られなければ、ユーロ相場は上値の重い展開となりそうだ。(神田)

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