「『リフレ・トレード』復活なるか」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2021年3月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のポンド/円ポジション動向
・3月の英国注目イベント
・ポンド/円 3月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月の豪ドル/円ポジション動向
・3月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 3月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 2月の推移

2月のポンド/円相場は142.841~150.441円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約3.4%上昇した(ポンド高・円安)。ポンドは対ドルでも約1.7%上昇、対ユーロでも約2.2%上昇しており、主要先進国通貨の中では最も強かった。

ポンド高の背景は、4日の英中銀(BOE)金融政策委員会(MPC)でマイナス金利の導入観測が後退した事や、新型コロナワクチンの摂取が他の国より早く進み、その分景気回復が早まるとの期待が広がった事にある。22日にジョンソン首相が英議会でロックダウン(都市封鎖)を3月8日から段階的に緩和すると発表するとポンドは25日にかけて一段高となり、ポンド/円は約2年9カ月ぶりの高値となる150.441円前後まで上昇した。

米10年債利回りが節目の1.50%を超えて上昇したため世界的に株価が軟化する中で、月末にはいくぶん下落したものの148円台で2月の取引を終えた。

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出所:外為どっとコム

4日
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラム(8950億ポンド)の据え置きを全会一致で決定。注目のマイナス金利については、導入が近いとのシグナルとして受け止められるべきではないと強調した上で、必要な場合に導入できるよう準備を開始することが適切だとの結論に達したと説明した。

また、市中銀行への聞き取り調査を基に、マイナス金利導入には口座や住宅ローンを修正する対応策に最低6カ月必要になると発表。ベイリー総裁は会見で「こうした決定や行動から金融政策委員会(MPC)の将来の行動を読み取ろうとすべきではないと言いたい」として、市場がマイナス金利の導入を過度に織り込む事をけん制した。これを受けてポンドは上昇した。

12日
英10-12月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+1.0%、前年比-7.8%であった(予想:前期比+0.5%、前年比-8.1%)。2020年の英実質GDPは前年比-9.9%となり、マイナス幅は第2次世界大戦後の統計開始以来最大となった。

BOEの記録によると大寒波が起きた1709年以来の落ち込みになったとの事。同時に発表された英12月鉱工業生産は前月比+0.2%(予想+0.5%)、同貿易収支は143.15億ポンドの赤字(予想150.00億ポンドの赤字)であった。

17日
英1月消費者物価指数は前月比-0.2%(予想-0.4%)、前年比+0.7%(予想+0.6%)。エネルギー、食品、アルコール、たばこを除いたコア指数は前年比+1.4%(予想+1.3%)であった。ただ、ポンドの反応は限定的だった。

18日
欧州市場に入るとポンドが上昇。新型コロナウイルスワクチンの接種が進む英国では、新規感染者が減少しており、22日にはジョンソン英首相がロックダウン(都市封鎖)からの脱却へのロードマップを発表する予定となった。

なお、BOEの金融政策委員会(MPC)であるソーンダース委員は、金融セクターがマイナス金利の導入に合わせて事業体制を整えるための期間が6カ月ということは、早期に利下げする余地が非常に限定的であることを意味すると述べた。これらを背景にポンドは堅調に推移した。

19日
英2月製造業PMI・速報値は54.9、英2月サービス業PMI・速報値は49.7と、いずれも市場予想(53.1、42.0)を上回った。なお、これ以前に発表された英1月小売売上高は前月比-8.2%と、予想(-3.0%)を超える落ち込みとなった。

23日
英1月失業率は7.2%に低下(前月7.3%)、英1月失業保険申請件数は前月比2.00万件減であった。国際労働機関(ILO)方式の10-12月期失業率は、予想通りの5.1%となり、10-12月期週平均賃金は前年比+4.7%(予想+4.1%)であった。

25日
米長期金利が急騰した事から米国株が急落すると、2018年5月以来の150.441円前後まで上昇していたポンド/円も148円台半ばまで急反落した。

2月の各市場

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2月のポンド/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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3月の英国注目イベント

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ポンド/円 3月の見通し

ポンドの堅調推移が続いている。新型コロナワクチンの接種が他国より速いペースで進んでいる他、欧州連合(EU)からの正式な離脱に伴う経済的な打撃が当初の想定ほど大きくならない見通しとなった事で、英国景気の早期回復期待が高まっているようだ。

2月28日、英政府は第1回目のコロナワクチン接種を受けた人数が国民の約3割に上る2000万人を超えたと発表。新規感染者、死者数ともに減少傾向が続いている。こうした中、英2月PMIは製造業が55.1(改定値)、サービス業が49.7(速報値)に改善した。また、1月には煩雑な通関手続きのため滞りがちだった英・EU間の貨物輸送などが2月には概ね正常化した模様で、英国のEU離脱に伴う混乱は最小限に留まったとの見方が出ている。英国景気回復期待に支えられたポンドの堅調推移は当面続く可能性があろう。

まずは、3日もしくは4日に発表される英春季財政報告(予算報告)に注目したい。3月から4月にかけて期限が到来する個人や企業へのコロナ支援策が延長されれば、景気回復期待が一段と高まる事になろう。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 2月の推移

2月の豪ドル/円相場は79.538~84.950円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約2.5%上昇した(豪ドル高・円安)。債券安・資源高・株高の「リフレ・トレード」が世界的に大流行する中、豪ドル/円の上昇が継続。15日には82円台を回復、19日には83円台、24日には84円台に上伸と、豪10年債利回りの上昇が加速した中旬以降は豪ドル高のペースも上がった。

ただ、米10年債利回りが節目の1.50%を超えて急伸した事をきっかけに、NYダウ平均が月末の2日間で1000ドル超値下がりすると、82円台割れまで調整。25日に付けた2018年2月以来約3年ぶりの高値84.950円前後からほぼ3円の反落となった。

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出所:外為どっとコム

2日
豪中銀(RBA)は予想通りに政策金利と3年債利回りの誘導目標を0.10%に据え置いた。声明で「景気回復は順調に進んでおり、当初の予想を上回る勢いで推移」「国内総生産(GDP)は今年半ばには2019年末の水準に戻ると予想」などと前向きな見方を示した一方、4月に終了する債券買い入れプログラムを延長し、買い入れ枠を1000億豪ドル拡大すると発表。予想外の量的緩和の延長・拡大を受けて豪ドルは下落した。

4日
豪12月貿易収支は67.85億豪ドルの黒字となり、輸出の伸び悩みを背景に黒字額は予想(87.50億豪ドル)を下回った。

11日
バイデン米大統領は就任後初めて中国の習国家主席と電話会談を行った。バイデン大統領は「中国の経済面での威圧的で不公正な行いや、香港への統制強化、新疆ウイグル自治区での人権侵害、それに台湾への対応など地域で独断的な行為を強めていることに懸念を表明した」との事。これに対し習首席は「両国の協力が唯一の正しい選択だ」として両国の関係改善を呼びかけた上で、台湾、香港、新疆ウイグル自治区などの問題については「中国の内政であり、主権と領土の保全に関わる。アメリカは中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動すべきだ」とけん制した。

16日
RBAは、現行の国債買い入れプログラムの4月中旬終了に伴い、1000億豪ドル相当の国債追加購入の方針を決めた2月2日の理事会の議事録を公表。 今後については「当面は大規模な金融政策支援が必要になる」「金融刺激策の撤回を検討するのは時期尚早」との認識を示し、金融緩和の継続姿勢を改めて表明した。

18日
豪1月雇用統計は失業率が6.4%(予想6.5%、前回6.6%)、新規雇用者数は2.91万人増(予想3.00万人増、前回5.00万人増)であった。豪ドルはやや上下したが、反応は小さかった。

19日
豪1月小売売上高は前月比+0.6%と前月の落ち込み(-4.1%)から回復したが、予想(+2.0%)を下回る伸びに留まった。

24日
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、昨日の上院に続き下院で証言を行った。概ね前日と同内容の証言であったが、「インフレ目標の達成には3年以上かかる可能性がある」との見解を示し、改めて金融緩和の長期化を強調。

これを受けてNYダウ平均が史上初めて32000ドル台に上伸し、NY原油も1年超ぶりに63.50ドル前後まで上昇する中、豪ドル/円は84円台へと続伸した。

25日
豪10-12月期民間設備投資は前期比+3.0%と市場予想(+1.0%)を上回る伸びとなった。なお、RBAはこの日、定例国債買い入れオペで3年債の購入額を10億豪ドルから30億豪ドルへと引き上げた。3年債利回りをRBAの誘導目標(0.10%)付近に押し下げるための措置と見られる。それでも、欧州株や原油価格が上昇する中で豪ドル/円は約3年ぶりに84.95円前後まで上値を伸ばした。ただ、米長期金利の急騰をきっかけに米国株が大幅安になると83円台半ばに急反落した。

26日
米長期金利の上昇をきっかけに世界的に株価が下落する中、日経平均株価の下げ幅が1200円を超えた。その後も、欧米の株価や資源価格が下落する中でリスク回避の豪ドル売り・円買いが優勢となり81.90円台まで軟化した。

2月の各市場

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2月の豪ドル/円ポジション動向

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3月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 3月の見通し

豪中銀(RBA)は、3月1日の債券買い入れで5-7年債を40億豪ドル購入して買い入れ額を倍増させた。ただ、翌2日に発表した声明文では長期金利の上昇について「予想インフレ率の上昇を部分的に反映したもの」として強いけん制を行わなかった。昨年後半から続く豪ドル相場の上昇についても「レンジ上限に留まっている」として特段の懸念を示さなかった。

RBAのスタンスは市場容認的と見られ、株高・資源高の流れが変わらなければ、豪ドルの上昇も続きやすいと考えられる。こうした中、3月の豪ドル/円相場は、米長期金利の上昇に端を発した株価や資源価格の調整が早期に終了するかどうかにかかっていると言えそうだ。チャート面では、2月高値84.950円前後が強力な上値抵抗となる可能性が窺えるため、早期にこれを超えられるかが焦点となるだろう。(神田)

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