「英連邦通貨は堅調を維持できるか」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2021年4月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のポンド/円ポジション動向
・4月の英国注目イベント
・ポンド/円 4月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月の豪ドル/円ポジション動向
・4月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 4月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 3月の推移

3月のポンド/円相場は148.115~152.778円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.8%上昇した(ポンド高・円安)。英国では、新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでおり、景気の早期回復が高まっている。

そうした中でポンド買い・円売りが先行。英中銀(BOE)が「経済回復が加速している」と表明した18日には152.50円台まで上昇した。その後、英国とは対照的にワクチン接種のピッチが遅いユーロ圏の景気回復期待が萎み、ユーロが急落した23日にはポンド/円も150円台を割り込んで下落した。ただ、それ以降、月末にかけては再びポンド買いが強まった。

景気回復期待のコントラストからユーロ/ポンドが約13カ月ぶりの安値へと下落(ユーロ安・ポンド高)した事などから31日には152.78円前後まで上値を伸ばして2018年4月以来の高値を付けた。

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出所:外為どっとコム

3日
スナク英財務相は下院で予算演説を行い、新型コロナ感染拡大に伴う一時帰休者への支援を9月末まで延長する事などを発表。一方で、新型コロナワクチンの接種が順調に進んでいる事から、英国経済は当初の想定よりも半年早い2022年半ばまでにコロナ危機前の水準に戻るとの見通しを示した。

その上で2023年には法人税率を約半世紀ぶりに引き上げる方針も表明した。これを受けて英国の株価と長期金利は上昇したが、ポンドの反応は限定的だった。

15日
英製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナワクチンについて、副反応への懸念から接種を一時見合わせる動きが欧州で相次いでいる事などから英国株が下落。ポンドも売りが優勢となった。

18日
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラム(8750億ポンド)の据え置きを決定。同時に発表した議事録では決定が全会一致によるものだった事が明らかとなった。

また、英経済の回復が加速しているとの見解を示しつつも、「2%のインフレターゲットの持続可能性を達成するために重要な進歩が見られたという明確な証拠が得られるまで、金融政策委員会(MPC)は少なくとも金融政策を引き締めるつもりはない」と表明した。これを受けてポンドはやや売りが優勢となった。

23日
英2月失業率は7.5%と前月(7.2%)から悪化、同失業保険申請件数は前月比8.66万件増となった。一方、国際労働機関(ILO)基準の英11-1月失業率は5.0%と予想(5.2%)に反して10-12月(5.1%)から低下した。ドイツのロックダウン延長などで欧州株が下落する中、ユーロに連れてポンドも下落した。

24日
英2月消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比+0.4%と予想(+0.5%、+0.8%)を下回る伸びに留まった。一方、英2月生産者物価指数は前月比+0.6%、前年比+2.6%と予想通りの伸びとなった。英3月製造業PMI・速報値は57.9と予想(55.0)を上回り、同サービス業PMI・速報値も56.8と予想(51.0)を上回った。

26日
英2月小売売上高は前月比+2.1%と予想通りの伸びとなり、ロックダウン(都市封鎖)の影響で-8.2%と大きく落ち込んだ前月から急回復した。また英政府は、金融規制協力を協議するフォーラムを設置する事で欧州連合(EU)と合意したと発表。EUを離脱した英国がEUの金融サービス市場へのアクセスをどの程度認められるかが焦点となる模様。

29日
欧州市場に入り、ユーロ/ポンドがストップロスを巻き込んで急落するとポンド/円が上昇する場面があった。ユーロ圏が新型コロナウイルスの感染拡大でロックダウンの強化を余儀なくされる一方、英国ではワクチンの接種が進む中、ロックダウンの緩和計画が進行している。
なお、英首相報道官はこの日「ロックダウン緩和に向けて順調に進んでいる」などとする声明を発表した。

31日
英10-12月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+1.3%、前年比-7.3%と、速報値(+1.0%、-7.8%)から上方修正された。

3月の各市場

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3月のポンド/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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4月の英国注目イベント

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ポンド/円 4月の見通し

4月はポンド/円相場を大きく動かしそうな材料は少ない。それだけに、英国における新型コロナウイルスワクチンの接種ペースの速さを評価する格好で進んできたポンド高が4月も継続する可能性は小さくないだろう。

ただ、英国と欧州連合(EU)が通商協定に合意した事を受けてポンド相場が明確に上向きに転じた昨年12月以降、ポンド/円相場は3月末時点で既に約12%上昇している。4月に入り3年ぶりに153円台へと続伸しており、週足RSI(相対力指数)が短期(9週)、中期(14週)共に75%超に上昇するなど、一部のテクニカル指標は「過熱感」を示し始めている。急激かつ大幅な下落は考えにくいものの、自律的な反落の可能性は捨てきれないだろう。

今後147~148円台に浮上してくるであろう13週移動平均線に向けた調整があっても不思議ではない。注目イベントは少ないだけに「需給」がポンド相場のポイントになる可能性もある。参加者が膨大な為替市場の需給を読みきるのは困難だが、その一端が垣間見えるシカゴマーカンタイル取引所(CME)の国際通貨先物(IMM)データなどにも注目しておきたい。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 3月の推移

3月の豪ドル/円相場は82.050~85.445円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.4%上昇した(豪ドル高・円安)。新型コロナウイルスの感染拡大鈍化を好感した世界的な株高基調や、豪中銀(RBA)による長期金利や豪ドルの上昇を黙認したとの見方などから上中旬は豪ドル高が進行。日経平均株価が30485.00円まで上昇して2月に付けた約30年ぶり高値(30714.52円)に迫った18日には85.45円前後まで上値を伸ばした。

その後、新型コロナウイルスの感染が再拡大した欧州経済への不安や、主要国株価の調整などを背景に24日には82円台前半へと押し戻された。しかし、月末にかけてはドル/円が約1年ぶりに110円台に上伸した事や、米政権の大規模なインフラ投資計画への期待が高まった事から世界の株価が反発する中で、84円台を回復した。

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出所:外為どっとコム

1日
豪中銀(RBA)は長期金利急上昇への対応として、通常の債券買い入れの2倍の規模となる40億豪ドルの5-7年債を購入。 これを受けて豪長期金利が大幅に低下すると豪ドルは一時弱含んだが、長期金利の低下を好感して豪州株が反発すると豪ドルも持ち直した。

なお、その後に発表された中国2月財新製造業PMIは50.9と予想(51.4)を下回り、前月(51.5)から低下した。

2日
RBAは市場予想通りに政策金利と3年債利回りの誘導目標を0.10%に据え置いた。声明では「インフレ率が2-3%の目標レンジの範囲内で持続的に推移するまで政策金利を引き上げない。これが起きるには、現状を著しく上回る賃金の伸びが必要だ。それには雇用が大幅に増え、タイトな労働市場に戻る必要がある。早くても2024年まではこれらの条件が満たされるとは予想していない」と慎重な姿勢を維持した。

ただ、最近の長期金利の上昇や豪ドル高について、特に懸念を示さなかった事から声明発表後は豪ドルがやや強含んだ。

3日
豪10-12月期国内総生産(GDP)は前期比+3.1%と市場予想(+2.5%)を上回る伸びとなった。7-9月期GDPも前期比+3.4%に0.1ポイント上方修正された。

4日
豪1月貿易収支は101.42億豪ドルの黒字となり、資源輸出の増加を背景に黒字額は予想(75.00億豪ドル)を上回った。石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟の産油国で構成するOPECプラスは、4月の産油量計画について、日量50万バレルの増産を否決。協調減産の維持を決定した事を受けてNY原油が急伸すると、資源国通貨である豪ドルが上昇した。

10日
ロウRBA総裁は、完全雇用の達成には少なくとも2024年までかかるとの見方を示し、RBAは必要な限り「景気刺激的な金融状況」を維持することにコミットしていると改めて表明。2024年以前の利上げを織り込もうとする市場の動きをけん制した格好となり、豪ドルは前日終値から下落して取引が始まった。

15日
中国1-2月鉱工業生産は前年比+35.1%、中国1-2月小売売上高は前年比+33.8%と、いずれも予想(+32.2%、+32.0%)を上回る伸びとなった。ただ、米中外交トップ会談を18日に控え上海株が下落する中、豪ドル買いの反応は一時的だった。上海株や大連鉄鉱石先物の下落も豪ドルの重しとなった。

17日
米連邦公開市場委員会(FOMC)が2023年末までゼロ金利を維持するとの見通しを示した事でドルが売られた一方、FOMCのハト派姿勢を好感して米国株が上昇する中で円も売られる中、リスクオンの豪ドル買いが強まった。

18日
豪2月雇用統計は、新規雇用者数8.87万人増、失業率5.8%となり、いずれも予想(3.00万人増、6.3%)より良好だった。これを受けて豪ドル買いが強まった。しかし、日銀が長期金利の許容変動幅を拡大するとの観測報道で円が買われたため豪ドル/円は軟化。フランス政府がコロナ対策でロックダウン(都市封鎖)を再導入した事も重しとなった。

31日
3月決算期末の特殊フローなどからドル/円が110円台に上昇すると豪ドル/円も連れ高した。豪2月住宅建設許可件数が前月比+21.6%と大幅に予想(+3.0%)を上回った事も材料視された。

3月の各市場

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3月の豪ドル/円ポジション動向

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4月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 4月の見通し

世界的な株高の流れが続くかどうかが4月の豪ドル/円相場の焦点となりそうだ。4月のNYダウ平均は2006年以降、昨年2020年まで15年連続で上昇しているだけに、米株高は今年も期待できよう。

バイデン米大統領が推進した1.9兆ドル規模の経済対策が執行段階に入り、今後8年間で2兆ドル超を投じるインフラ計画も進行中とあって米株続伸への下地は整っている。NYダウ平均が3月29日に付けた過去最高値の33259.00ドルを上抜けて上昇が加速すれば、日欧の株式市場にも追い風となる公算が大きい。

株価続伸に対する懸念点があるとすれば、米長期金利の上昇であろう。景気回復期待とインフレ高進観測を巻き込みながら、3月に一時1.77%台まで上昇した米10年債利回りが、節目の2.00%に向けて続伸するようなら史上最高値圏にある米国株の手仕舞い売りを誘発しかねない。

4月の豪ドル/円相場はリスク選好の流れに乗って3年2か月ぶりに87円台まで上昇する可能性もあると見るが、主要国の株価反落には一定の警戒が必要だろう。(神田)

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