「政治や感情を投資に結びつける誤り」江守 哲 FX特別インタビュー(中編)

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以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。

エモリファンドマネジメント株式会社の代表取締役、江守哲氏にインタビュー。前編では新入社員時に飛び込んだ非鉄金属取引のお話やコモディティ価格と為替の関係について伺いました。中編では、コモディティ市場にも造詣が深い江守様に、覇権国であるアメリカについての考え方や、マーケットへの向き合い方などについてお聞きしています。

▼目次

1.最強の米国 米ドル
2.ポジショントークであることを知る
3.批判ばかりでは「思考停止」に。今起きていることが事実

最強の米国 米ドル

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編集部:
江守さんは数年前から、米国株は今後も上昇すると話をされていました。 2020年も、米国は新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われながらも、NYダウなどは史上最高値を更新しました。
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江守:
もうこれは、アメリカが持つイノベーションに力がなせる事かと思っています。 ハイテク系のサービスって、近年はほぼ全てアメリカから出てきていますよね。
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編集部:
はい。それこそインターネットやiPhoneとかですかね。
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江守:
軍事目的で国が開発したものは、民間に降りて来ていると私は理解しているんです。
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編集部:
おお、なるほど。 ではGAFAをはじめ、アメリカで力のある企業は、 表は民間だけど裏では国が指示をしているということになりますか?
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江守:
少なからず国の介入はあるのでしょうね。 自動運転の技術や、宇宙開発もそうだと思います。 だからもう国策として発展するための土壌があるのではないかと思うんです。
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編集部:
かなり壮大なお話になってきました。
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江守:
民間企業からアメリカ国民、さらに世界中に広がる。 みんなが使えばコストも下がるのでマーケットはどんどん支配されてるじゃないですか。 だからアメリカは強いんですよ。世界の投資家は強いアメリカの企業に投資をすると考えるのが普通だし。
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編集部:
なるほど。
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江守:
上場企業も多いし、時価総額も大きいじゃないですか。 今は金融緩和、財政出動などで、お金が市場に流れている。 そのお金が投資に回るので、米株はやっぱり下がらないんですよね。
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編集部:
お金の多いところに、お金が集まる、と理解しました。
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江守:
アメリカは家計の金融資産のうち半分以上が株や債券です。 構造的に株価を下げられないんですよね。 株価が下がると金融資産の目減り、当然住宅価格も落ちます。そして消費はできないという悪循環になります。 それを止めるには、株高基調を作るしかないんですよ。
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編集部:
2020年の米大統領選のときは、バイデン政権が誕生したら、増税懸念などでドルは下がる、だなんて言われていました。
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江守:
ええ。重要なことですが、政治と経済を結びつけちゃうと、結構ミスリードしちゃいますよね。 一番わかりやすい例が、さらに4年前のトランプ大統領が誕生した時です。 トランプ大統領の政策を批判して、米株の空売りしてたヘッジファンドは、みんな大損しましたからね。
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編集部:
確かにあの時も、トランプ氏が大統領になったらアメリカは終わりだ、ドル安になるという声が多かったですね。
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江守:
政治や感情を、経済と株に結びつけちゃうとミスリードして判断を誤ってしまいます。 投資判断と完全に分けないといけない。これをいつも私のセミナーでは言ってますね。
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編集部:
これって、江守さん自身のご経験からでしょうか。
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江守:
はい。トランプ大統領の誕生と聞いて、めっちゃ売りましたからね。 当選が決まった初日は、こんな儲かってもいいのかというくらいぼろ儲けしましたけど、 翌日、全部なくなりました(笑)。
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編集部:
そうだったんですね(笑)。
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江守:
私個人的には、バイデン政権はダメだと思ったんですけど、経済とは分けて考えないと危険だなとは思っていますね。 今年は円安でドル/円上昇というのは、かなり早くから各方面で発信していました。 市場予想をしている人の中で、私が一番当たっていると思いますよ(笑)。

ポジショントークであることを知る

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編集部:
ネット上で、様々なポジショントークをする方がいらっしゃいます。 YouTubeなど、ご覧になることとかあるんですか?
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江守:
わざわざ見るとかはないですけど、目には入ります。 株式投資ですとか、為替取引で、すごく収益だしている個人投資家さんっていらっしゃるじゃないですか。
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編集部:
はい。
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江守:
そういう方達の話を、聞くのはいいと思います。でも、真似はできないということも分かっておいてほしいと思います。 すごい利益を出す方のトレードって、独自のやり方なので、彼らがいくら口で説明しても、他の人は多分その通りにできないんですよ。 それでも気になったら試せばいいと思うんですけどね。
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編集部:
なるほど。
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江守:
プロの現場で様々な経験をしてきた、ある程度バックボーンがある人の話を、あくまで勉強するという感覚で眺めるのがいいんじゃないでしょうか。 投資は簡単ではないですから。 バックボーンがある方々が、トレード判断についてなかなか言い切ることが出来ないのはそのためです。
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編集部:
あくまで意見を参考に、個人が検証を重ねることで成功につながる、と。
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江守:
ええ。大事なのは何ごとも継続できるかどうかですから。 投資も退場しないことが第一。とにかく継続です。

批判ばかりでは「思考停止」に。今起きていることが事実

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編集部:
アメリカの金利についてお伺いします。 ここにきてアメリカの長期金利が上昇しています。
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江守:
実は債券トレーダーがポジションの調整を失敗したって話もありまして。一時的に上がっちゃったっていう。
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編集部:
え、作業ミスだったかもしれないんですか?
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江守:
まあ噂話ですけど。あとはやはり将来のインフレ懸念だと思いますね。 下落していた原油価格が戻ってきたことも効いてくると思います。 私の計算では、おそらくアメリカのCPIも4月ぐらいの数字がもう2%台半ばとか。 5月、6月の数字も下手すると3.5%などにハネ上がるという予想なんです。 そうなると、結構市場はパニックなりますよね。
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編集部:
では、長期金利は平均で2%を余裕で超えてくる、と。
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江守:
超えちゃうと思います。 原油価格が下がらなければ、年内は平均すると2%を超えちゃうと思いますね。 そうなるとやはり来年くらいにはゼロ金利解除、みたいな話になる可能性もありますよね。
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編集部:
来年にも・・・ですか。スピード早いですね。
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江守:
40年間、アメリカの金利は下がり続けたのですが、私は2020年でそのトレンド終わったと思っています。 これから先20年くらいは、多分金利は上がっていくフェーズかなと。
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編集部:
すると、2040年くらいまでアメリカの金利は上がっていくということでしょうか。
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江守:
はい。コンドラチェフの波動でも2040年という数字が導き出されますね。 あと、インドの人口動態を見ると世界経済が多分一番膨れ上がる時なんですよ。 ですので2035~45年の期間は、すごいことがあると思いますね。
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編集部:
国内総生産(GDP)で、日本や米国がインドに抜かれる日がくるのでしょうか。
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江守:
おそらくその頃には追い抜いているでしょう。 ですからインド株は買う、と。 私は少額ですけど定期的に買ってます。
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編集部:
インド株ですか。考えたこともなかったです・・・。
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江守:
人口動態の予測は、まず外れないんですよ。 だって今20歳の人は、必ずに20年後には40歳になるんですから。
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編集部:
未来を見渡すうえで、大事ですね。
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江守:
英語もできる、計算できる、ということでどんどん世界にインドの方が進出してくると思います。 マイクロソフトのトップはインド出身ですし、もう活躍し始めているのかもしれませんね。 これから、皆さんは素晴らしい人生になると思いますよ。 私が就職したところはバブル経済のピークで、日経平均は落ちっぱなしで、いいことなんてなかったですから。
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編集部:
良いことと言えば、ちょっと合コンがあったぐらいですか。
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江守:
一時の楽しさしか残らなかったですね(笑)

(後編へ続く)

PickUp編集部より

数年前から米国の株価の上昇を説いていた江守さん。インタビュー掲載時点でも米株は上昇基調、江守さんの先見の明に驚きです。また、自説にこだわりすぎることで陥る「思考停止」については、ハッとさせられました。インドの今後にも要注目ですね。

【前編】

【投資の真髄がここにある!伝説のディーラー列伝 インタビュー記事まとめ】

media.gaitame.com

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エモリファンドマネジメント株式会社 代表取締役
江守 哲(えもり・てつ)氏
1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事に入社し、非鉄金属取引に従事。英国住友商事(現欧州住友商事)に出向し、ロンドンに駐在。その後、当時世界最大の非鉄金属トレーダーだったMetallgesellschaft Ltd.(ロンドン本社、現JPモルガン)に移籍し、唯一の日本人として非鉄金属取引を極める。2000年に三井物産フューチャーズに移籍。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場の分析および投資戦略の立案を行う。2007年7月にアストマックス入社し、チーフファンドマネージャーに就任。2015年4月にエモリキャピタルマネジメントを設立。2020年12月よりエモリファンドマネジメント株式会社が業務を引き継いでいる。ヘッジファンド運用を行う一方、株式・為替・債券・コモディティ市場の情報提供や講演、テレビ出演を行っている。
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