仕事のかたわら始めたFX取引。テクニカル分析に詳しいわけではなく、ファンダメンタルズで取引しているわけでもない。ただ、「週末は取引がないので寂しい」と感じてしまうほど、FXの魅力に“とりつかれた”という「トム」さん。7年前にFXを始めてから一昨年(2019年)までは、何度もロスカットを繰り返し、5年間で約700万円の損失を出していたが、2020年に入ってからは驚異の快進撃を続け、損失を回復させたという。どうしてトムさんは、わずか1年で6年間分の損失を帳消しすることができたのだろうか。トムさんにFXに対する思いや快進撃の秘密についてうかがった。
トムさん プロフィール
年齢性別 :50代男性
職業 :会社員
FX歴 :7年
トレードスタイル:デイトレ、スイング
投資商品 :FX
収支 :2020年〜2021年2月で約700万円
※㈱外為どっとコムでの収支
通貨 :豪ドル/円
▼目次
1.職場の先輩の勧めで30万円からスタート
2.失敗のたびデモに戻って練習
3.利益がないのに成功している
4.好転のきっかけ
5.ストップの逆指値注文はやるようになった
6.取引はスマホとタブレット
7.仕事時間以外はいつもFX
8.通貨は自分に合う豪ドルのみ
職場の先輩の勧めで30万円からスタート
編集部:- FXとの出合いはどのようなものでしたか?
トムさん:- 職場の先輩から話をきいて、まずバーチャルを試してみたんです。最初はよく分からなかったんですが、いろいろと触っているうちに、評価損益がプラスになったりマイナスになったりするので、それが面白くなって、その後も続けているうちに要領がわかってきたんです。これで利益が得られるならと、1ヵ月後に本番口座を開設して、約30万円を入金して本格的にFX取引を始めました。
失敗のたびデモに戻って練習
編集部:- 本番口座での、取引を開始され違いはありましたか?
トムさん:- 実は本番を始めると、すぐに損失が出てしまったんです。「これではいけない」と思いまして、また、バーチャルに戻って練習しました。でも、バーチャルだと、やはりどこか真剣味がないんですね。バーチャルと実際のお金で取引するのでは、まったく緊張感が違います。
編集部:- 最初の資産30万円の運用結果はどうなりましたか?
トムさん:- うまくいくときもあれば、まったくうまくいかないときもあって、実はすぐになくなってしまいました。不思議なもので「よし!利益が獲得できたぞ」となっても、また同じくらい損失をだして、なんというか、成功と失敗の繰り返しでした。結局のところ、資金を失っては、また資金を投入してというのを続けたのが実情でした。
利益がないのに成功している
編集部:- トレードがうまくいっていないのに、止めずに継続されたのはどうしてですか?
トムさん:- 不思議に思われるかもしれませんが、実際は利益が出ていないのに、自分では“成功している”という感覚があったからです。
編集部:- それはどういうことですか?
トムさん:- 自身の取引のトラックレコードというものを見ると確かに成績はいいんです。ただ、収益率が悪かったのです。だから“いつでも利益をだせるんだ”という気持ちが、自分の中であったのかもしれません。本当は収支はマイナスなのに、実際のお金がなくなっているという感覚が薄かったんだと思います。今思うと少し怖いのですが「トレードをすれば、いつでも利益を出すことができるんだ」と思っていました。
好転のきっかけ
編集部:- 勝率はいい反面、失敗したときの損が大きくて、損益で計算すると損していたということですね。それでも継続された結果、2020年から今年にかけては、素晴らしい成績を収められていますが、好転のきっかけはどのようなことなのでしょうか?
トムさん:- 自分でも考えているのですが、ひとつ思うのは、600万~700万円の資金を失うまではお金のやりくりはなんとかできたんですけれども、「これ以上の損失はダメだ」と真剣に思い始めたんですね。そのあたりから、利益が出てきたような気がします。
編集部:- そこで何かが変わったと?
トムさん:- それまでは損失をだしても「貯蓄のお金を使ったらいいや」とか「また失敗してしまったけれど、どうしようかなー」くらいの”軽い気持ち”でした。取引中のポジションを放置したまま「強制ロスカットになっても、精算ができるんだからいいや」くらいの感覚ですね。でも、これ以上、損失を出したら支障がではじめる金額にまで、損が大きくなってきまして、そこで、まずは強制ロスカットにならないように、徹底的にポジション管理に気をつけるようにしました。
編集部:- そうなんですね。いろいろな経験値の他にもきっと秘密があるのだと思いますので、もう少し質問いたします。チャートでテクニカル分析等は活用されていますか?
トムさん:- うーん、移動平均線とストキャスティクスは一応チャート上に出して見ていますが、実は、しっかりと分析した上で取引に臨んでいる、というほどではないですね。なんというか経験から「これくらい下がったら、次はもう上がってくる」とか「これぐらいだったら、しばらくはこのままだろう」とか、チャートをみていると、なんとなくわかってくるんですね。上手く表現できなくて申し訳ないのですが。自分の経験から相場を読み取っている、としか言いようがないです。というのが私の本音です。
ストップの逆指値注文はやるようになった
編集部:- 指値注文やストップ注文等の注文は活用されていますか?
トムさん:- 以前は活用はしてなかったんですけど、活用するようになりましたね。
編集部:- その辺、以前との大きな違いと思うんですが、ロングで入ったときには反対方向に行ったらストップを入れて仕切り直して、もう一度相場の展開を考え直すというようなことをされたんですね?
トムさん:- もともとFX取引での運用成績は良かったので、そこでうまく利益をのせられるようなサイクルができあがったのかもしれません。
取引はスマホとタブレット
編集部:- 取引環境はどのような環境で取引されていますか?
トムさん:- ほぼスマートフォンです。外出中に取引チャンスがないかを確認することもあります。
編集部:- スマホとiPadには十分な機能がついていますし機動性が魅力ですよね。アプリの使い方を覚えるとき、苦労されましたか?
トムさん:- いいえ、簡単でしたよ。結局、操作の基本は、上がるか下がるをアプリ上で操作することですからね。
編集部:- 初心者はログインしても、「何をどうすればいいのかわからなかった」という人も多いのですが。
トムさん:- 私はよくわからないまま触ってるうちに、なんとなく覚えたという感じですね。
仕事時間以外はいつもFX
編集部:- FXの取引をする時間は一日の中でどのくらいですか?
トムさん:- 朝起きてから必ず、すぐにどんな相場状況か確認します。特にエントリーしたままであれば、寝ている間にロスカットになってないかどうかなど確認してから仕事に向かいます。仕事中は休憩時間にエントリーすることもありますね。日中の仕事中は休憩に入らないとスマホに触れないので、仕事から戻って帰宅した後、20時位から本格的に取引を開始します。就寝時間はだいたい23~24時ぐらいですので、それまではiPadで相場を見ています。ニューヨーク時間は相場がよく動くので、つい夜更かしすることもあります(笑)
編集部:- 雇用統計など重要な指標の発表のときなどは遅くまで起きていますか?
トムさん:- はい。どうしても相場が気になってしまうので、ついつい遅くまで相場を眺めてしまいますね。
通貨は自分に合う豪ドルのみ
編集部:- 取引通貨について教えてください。
トムさん:- もともとはドル/円しかやってなかったんです。ただ、最近の相場では動かないですからね。その点、豪ドルは証拠金が安くてロット数がたくさん持てる。少しでも工夫して運用することを考えると、豪ドルが一番取引しやすくなったんです。それだけの理由なんですが、他の通貨にまで手を出す余裕がないというのが本音です。新たに取引通貨を増やすと、それなりに研究や分析が必要になりますので。
編集部:- ひとつの通貨ペアに注目してやるほうがいいのでしょうか?
トムさん:- そこまで深く考えてはいませんが、豪ドル/円の通貨ペアにしたのは、ロットがたくさん買えるからです。資金効率は良くなるのかなと。
編集部:- ご自身の生活リズムがあって、自分の取引時間帯にボラティリティがある通貨が、その人に一番適した通貨ペアという考え方もできますね。
トムさん:- その点、私には豪ドルが合っているのかもしれません。
編集部:- 豪ドルは、ボラティリティがあって変動幅も大きい通貨のひとつですよね。大きく動くのでリスクがある反面、チャンスもあります。お話をうかがっていると、レバレッジが高めの印象です。
トムさん:- そうですね。かなり高いですね。だから、しっかりと運用していくことが必要だと思っています。
(後編に続く)
PickUp編集部より
成績はいいのに、なぜかマイナスになっている。6年間に積み重なってしまった損失を約1年で回復できた最大の理由は、ストップ注文を入れることで、強制ロスカットを防ぐことにあったようです。結局、大きな損失を出さないようにすると利益が残せるようになったわけです。FXにおいてリスク管理が重要であることを、トムさんは話してくれました。後編では、さらに詳しいトレード手法や今後の目標を伺います。
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】