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長期海外分散投資を考える:第2回「外貨預金」とそのリスクについて

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着実な資産形成に欠かせない長期分散投資の方法を、外貨建ての金融商品にフォーカスし、そのリスクコントロールについて解説するシリーズ、第2回は「外貨預金」を取り上げます。
外貨建て金融商品のなかでもFXとよく比較されるのが日本円を外国通貨で預金する銀行の「外貨預金」です。
FXと「外貨預金」ではどこが違うのでしょうか。
そこで今回は、FXと比較しながら、外貨預金の特徴やメリット・デメリットを紹介し、さらに理解しておくべきリスクとその管理方法について解説します。

外貨預金とは

外貨預金とは、日本円を米ドルやユーロ、英ポンドなどの外国通貨に換えて金融機関に預け入れる資産運用のことです。

外貨預金も日本円の預金と同様に普通預金と定期預金があります。
外貨の普通預金では変動金利が適用され出し入れが自由なのに対して、外貨定期預金は預け入れ時に設定された固定金利が適用され、満期日まで引き出すことはできません。
また、定期預金の金利は普通預金よりも高めに設定されています。これは日本円の預金でも外貨預金でもかわりません。

外貨預金のメリット・デメリット

外貨預金のメリットはおもに2つです。

1)日本円よりも高金利(利息)

マイナス金利政策が長期化している日本の円よりも、現状では外貨のほうが高い金利が期待できます。
適用金利の水準は、預け入れる通貨によって異なりますが、米国のドルのような主要通貨の多くで日本円よりも高い金利が適用されています。新興国の通貨であれば、さらに高金利が狙えます。
外貨普通預金は年に2回利息が支払われます。定期預金であれば、満期時に一緒に払い戻されます。
途中解約すると普通預金と同じ利息になるケースも多く、定期預金で続けてきたメリットを得にくくなります。

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某大手都市銀行のケース(2021年4月現在)

ちなみに、FXでは日本円のような超低金利通貨を売って高金利通貨を買うと、ほぼ毎日、スワップポイントという「金利差調整分」が決済するまでの間に得られます(※)。
通貨を売って日本円に戻した場合、それまでのスワップポイントはそのまま利益になります。
ほぼ毎日得られるところが外貨預金との違いでしょう。

※ 通貨ペアを構成する通貨のうち、相対的に高金利の通貨を売った場合、または相対的に低金利の通貨を買った場合には、その取引数量相当のスワップポイント(通貨ペアを構成する両通貨の金利差の調整額)の支払い額が日々蓄積され、時間の経過に比例して損失額が大きくなりますのでご注意ください。
また、現時点でスワップポイントを受け取れるポジションであっても、将来にわたって通貨ペアを構成する両通貨の金利差が縮小または逆転した場合には、その受け取り金額が縮小したり、反対に支払いへと転ずる可能性がございます。

2)為替差益が得られる可能性

為替手数料を考慮した上で、預け入れ時よりも解約時の相場が円安になる場合、為替差益を得るチャンスがあります。

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FXはこの為替差益を獲得することが主な目的となる金融商品です。
外貨預金では円安になった場合にのみ、為替差益は得られますが、FXは円高になっても、円安になっても為替差益が得られます。
「売り」でも「買い」でも、どちらでも利益が狙える点は、FXと外貨預金の大きな違いです。

その一方で、外貨預金には以下のようなデメリットもあります。

1)為替手数料の負担

預け入れ時と引き出し時に為替手数料が発生します。

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金融機関によって手数料に違いはありますが、某大手都市銀行の窓口を利用すると、ドルと円を交換する場合、為替手数料は預入時、引出時にそれぞれ1円ずつ、合計で2円が発生します。
インターネットサービスを使った場合でも片道で25銭かかります。
なお、為替手数料は通貨によって異なります。

「FXでは手数料がかからない場合がほとんどですが、売買の際にはスプレッドを考慮する必要があります。
スプレッドとは売値と買値の差分を指しています。
米ドル/円の通貨ペアは会社によって異なりますが、多くは0.1~0.3銭で、外貨預金よりもはるかに安いコストです。
通貨によってスプレッドの金額は変わる点は外貨預金と同じです。

2)為替差損が発生する可能性

預け入れ時よりも解約時や引き出し時の為替レートが円高になった場合、為替差損が生じます。
上記の為替手数料と為替差損の合計が受け取り利息(金利分)を上回ると、元本割れとなってしまいます。

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3)条件次第で税負担が高額に

外貨預金で受け取る利息分(金利分)は、「源泉分離課税」として20.315% (国税15.315%、地方税5%)」が課されます(2037年12月31日までは利息には復興特別所得税が課されています)。
また、為替差益は「雑所得」として総合課税されます。
そのため、給与など他の所得が高額の場合は、最大で55.945%の税金がかかる可能性があります。
なお、為替差損が発生しても、株式など他の金融商品などの収益と「損益通算(相殺)」することができません。
もちろん雑所得以外の給与などの所得とも通算することができません。

一方のFXからの収入は雑所得ですが、申告分離課税となり、一律20.315%で源泉徴収はありません。
また、FXで損失が発生した場合、金や大豆などの「商品先物取引」やカバードワラントやCFDなど「金融先物取引」などの収益と「損益通算(相殺)」が可能で、もし、相殺しきれなかったときは、翌年以降3年間は繰越控除が可能です。

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外貨預金とFXにおける税制面での一番の違いは「損益通算」と「繰越控除」でしょう。

外貨預金のリスクについて

外貨預金のリスクを列挙してみましょう。

1)為替変動リスク

デメリットで指摘した通り、預入時よりも解約時(引き出し時)の為替レートが円高の場合には、為替差損が発生します。
例えば、1ドル=110円の時に100ドル分の外貨預金をした場合、預け入れに必要な日本円は1万1,000円です。
解約時のレートが1ドル=100円になってしまうと日本円で1万円となり1,000円の為替差損が生じます。
預け入れ期間中に得られた利息分は増えますが、為替手数料が差し引かれるので、為替差損と為替手数料の合計額が利息を上回れば「元本割れ」となります。
出金のタイミングが円高局面だと、元本割れリスクが高まります。

FXも外国通貨で運用しているので、同様に為替変動リスクがあります。ただし、売買のタイミングは自由です。
スキャルピングのような1分も経たない間に売買を繰り返すことも可能です。
つまり、円高、円安局面を見極めながら、有利なタイミングで通貨を売買できます。

2)信用リスク

金融機関が破綻した場合、元本1,000万円までとその利息などが保護される「預金保険制度(ペイオフ)」について、外貨預金はその対象外です。
外貨預金の預入先となる金融機関の財務状況が悪化すると外貨預金の払い出しに応じてくれない可能性があるばかりか、日本円での預金と異なりペイオフで預金が保護されることもないので注意が必要です。

3)流動性リスク

外貨定期預金は原則として満期までは解約できません。
中途解約する場合は、特別な利率が適用され、外貨普通預金の金利を下回ることがあります。また、状況によっては日本円に交換できないこともあります。

FXは平日であればほぼ24時間いつでも売買ができますが、取引量の少ないマイナー通貨を売買したり、メジャー通貨でも各国の祝祭日、経済動向、取引時間帯によっては流動性が低くなり、スプレッドと呼ばれる取引コストが高くなったり、売買できない可能性があります。

4)カントリーリスク

政治・経済・社会情勢が不安定な国では、相場の急激な変動、流動性の低下、外国為替市場の機能停止の可能性があります。これをカントリーリスクと呼びます。
この点については、外貨預金もFXも同じです。

外貨預金のリスク管理方法

これまで述べてきたように、外貨預金にはメリットがある反面、デメリットもあり、外貨投資であるがゆえのリスクもあります。
ただし、リスクは軽減したり、管理したりすることができます。

余剰資金で運用する

外貨預金に限らず、投資や資産運用を継続的に行うためには、余剰資金で行うことが鉄則です。
生活に必要な資金にまで手を出してしまっては持続しません。
為替相場は長い年月をかけて相場が上下に変動するトレンドがあります。
一時的に円高傾向となって為替差損が生じる局面が続くことはあるものの、長期で保有していると、やがて有利な為替レートに戻る可能性もあります。
そのタイミングを見計らって引き出せば利益が出ることになります。

複数の通貨にリスク分散する

通貨の種類によって日本円に対する為替レートの値動きには大きな違いがあります。
ひとつの通貨に預金を集中してしまうと為替差損や元本割れのリスクも大きくなるため、複数の通貨に分散して預け入れることで、リスクを軽減させることができます。

積立方式を検討する

為替レートは絶えず変動しているため、有利な為替レートのタイミングを見極めるのは困難です。
そこで預け入れるタイミングをいくつかに分散させれば、為替変動リスクに対して有効に対処できます。
毎月の指定日に自動的に外貨に預け入れる積立サービスを利用すれば、資金を不利な為替レートで預け入れるリスクを軽減しつつ、一度にまとめて預けるよりも平均預入単価を平準化させてくれます。積立方式は外貨預金だけでなく、FXでもできるようになっています。

以上のように、FXと外貨預金では同じ外貨投資でも、細かい点で違いがあります。
外貨投資をする場合はメリットだけでなく、元本割れの可能性などさまざまなリスクについても十分に理解し、対策をしておくことが大切です。
FXと外貨預金ではどちらが自分に合っているのかをじっくり考えた上で選択してみましょう。

PickUp編集部

media.gaitame.com

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