総括
格付け据え置き、ペソ堅調も原油安で5.5台は維持できず
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント）
＊フィッチの格付けは据え置かれた
＊今週は原油安でペソ下落
＊4月GDPは20.6％増
＊4月のインフレは6％のせだが政策金利は据え置き
＊ドルペソは20割れで弱くはない
＊3月は貿易赤字
＊1Q・GDPは弱かった
＊USMCAでメキシコの労働争議が問題となる
＊コロナ感染者数は日本を下回る
＊外需は強いが内需は弱い
＊対米貿易依存度が頗る高い
＊米国は大型インフラ整備計画の財源として大型増税も案も表明
＊財務省は2021年成長見通しを上方修正
＊国営電力業者保護法案が民間業者や米加の不満を生む
＊大麻を解禁へ 世界最大の市場に
＊海外のメキシコ人労働者からの国内送金は増加し続けている
＊経常収支は3Qに史上最大黒字に
（格付け据え置き）
フィッチは5月17日、メキシコの信用格付けを「BBBマイナス」、見通しを「安定的」で据え置いた。一貫したマクロ経済政策、安定的な資金調達状況、低水準の債務が判断理由だ。南アやトルコがジャンク債格付け（投機的格付け）であることに対して一線を画した。ただ比較的弱い統治と長期的な成長の低迷が圧迫要因と指摘した。国営石油会社ぺメックスが抱える巨額の債務も、格付けを脅かす要因とされた。2021年の成長見通しは5％に引き上げ。ヨリオ財務次官は、「メキシコは増税や歳出調整なしに財政安定を維持してきた。格付けの据え置きは国内外の市場へのアクセスにおいてプラス」とした。
（原油安はペソにとってネガティブ要因）
今週は、原油安でペソにネガティブ要因となっている。米国とイランの関係改善でイランの原油増産が見込まれるため。
（メキシコGDP、4月速報値は前年比＋20.6％ 急減の反動）
4月の国内総生産（GDP）速報値は、前年同月比20.6％増となった。
昨年4月は、新型コロナウイルス感染流行で経済活動が打撃を受け、GDPは季節調整済みで同19.7％減少した。今年4月は、製造業などの第二次産業が同34.5％増、サービス業など第三次産業は同16.4％増だった。
昨年4月は、感染拡大抑制のためのロックダウン（都市封鎖）が初めて１カ月通して行われ、自動車生産などの主要部門が事実上停止状態となった。このため、今年4月の自動車生産は前年比で7000％以上の大幅増となった。
一部には、今年のメキシコ経済成長率は5％超との予想もあり、格付け会社フィッチは１７日、成長率予想を上方修正している。
（米通商代表、カナダ・メキシコにUSMCA順守を呼びかけ）
米通商代表部（USTR）のタイ代表は、カナダとメキシコに対し、「米国・メキシコ・カナダ協定（USMCA）」の政治的な支持を維持するために、実施と順守にともに取り組むよう呼び掛けた。3カ国はUSMCAに関する初の閣僚級協議を実施しており、タイ代表はカナダのエング貿易相とメキシコのクルティエル経済相とオンライン形式で会談。「この合意を耐久力があるものにするためには、米国だけでなく、メキシコとカナダの需要も満たさなくてはならない。これは、われわれが確約を守ることでしか実現できない」と述べた。
（10月までに全国民に少なくとも1回ワクチン接種）
ロペスオブラドール大統領は、同国が寒くなり始める10月までに全人口が少なくとも１回の新型コロナウイルスワクチン接種を受けられるようにすると表明した。
メキシコの人口は１億2600万人。これまでに計約2400万回分を国内に配布している。大統領は、米国からもっと多くのワクチン供給を受けられると確信しているとも述べた。
テクニカル分析
5.5台は維持できず
日足、5月14日から3日間、5.5台を維持したがその後反落し週足もここまで陰線となっている。5月19日-20日の下降ラインが上値抵抗。5月6日-13日の上昇ラインを下抜く。3月25日-5月6日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足、雲の上に出てボリバン2σ上限近辺。5月3日週-10日週の上昇ラインを維持できるか。3月22日週-5月3日週の上昇ラインがサポート、5月10日週-17日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、雲下での推移が長い（2016年1月以来）。ボリバン中位は上に抜ける。20年2月-21年4月の下降ラインを上抜く。20年11月-21年3月の上昇ラインがサポート。
年足、陽転。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
米副大統領のメキシコ訪問、投資・安全保障を協議へ
メキシコのエブラルド外相は、ハリス米副大統領が6月8日にメキシコを訪問する際の二国間協議では、投資、安全保障、サプライチェーンが議題となると述べた。
ハリス氏はこの訪問で、ロペスオブラドール大統領と初めて対面で会談する。
ハリス氏の訪問の第１の目的は不法移民問題に対する「最も完全な解決法」を見出すことだとしながらも、「安全保障はもう１つの重要な点であり、投資とバリューチェーンもきわめて重要な議題だ」と述べた。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。
